怖がり・驚きやすいのは「腎」の弱さが原因?東洋医学で解き明かす心と体のサイン
物音に人一倍ビクッと反応してしまったり、なぜか漠然とした不安や恐れを感じやすかったりしませんか? 周りから「小心者」「怖がり」だと思われているかもしれません。実はその性質、東洋医学の観点から見ると、生命エネルギーの源である「腎」の働きが関係している可能性があるのです。本稿では、「恐れ」や「驚き」といった感情と「腎」の深い結びつきについて解説します。
この記事を読めば、東洋医学について理解できるかと思います。分かりやすく、丁寧に解説するので、ぜひ一緒に学びましょう!
腎と恐驚
東洋医学において、感情と臓腑は深く結びついており、「恐れ」や「驚き」といった感情は、生命力の根源である「腎」と密接に関連しています。
恐れや驚きは腎の力に関係する
腎が持つ「水」のエネルギーには、物事を引き寄せ、凝縮させて固めることで、自らの身を守るという働きがあります。腎の力が充実していると、精神的にも肉体的にも安定し、どっしりと落ち着いていられます。
しかし、腎の力が不足すると、この防御機能が正常に働かなくなります。身体は自らを守ろうとして過剰に緊張し、身を縮こませます。これが精神面に現れたものが「恐れ」という感情です。また、腎の守る力が弱いために、外部からの些細な刺激にも過敏に反応してしまい、すぐに「驚く」「小心になる」といった状態になります。
逆に、大胆で何事にも動じない人は、腎の気が盛んである証拠です。身体が弱い人が全般的に用心深いのも、この腎の守る力が不足しているため、全身のエネルギーを使って自らを守ろうとする、自然な反応なのです。
五官においては、耳にその状態がよく現れます。耳が小さく薄い人は、比較的気が小さく(小胆)、恐れ驚きやすい傾向があります。一方、耳が大きく厚く、活気のある人は大胆で悠然としており、多少のことでは動じません。
腎力と性格・体質の現れ
この「恐れ」や「驚き」やすさという性質は、腎の力が不足しているサインと捉えることができます。男性に比べて女性の方が一般的に用心深い傾向があるのも、東洋医学的には守る力が相対的に少ないことの現れと見ることができます。
この原則は、肉体の生理面にも精神面にも当てはまります。身体が丈夫な人は、多少の不摂生を気にしない傾向がありますが、身体が弱い人は、心身ともに自然と用心深くなります。
いわゆるノイローゼのような精神的な不調も、東洋医学では腎機能の低下が深く関わっていると考えられます。自分の考えを積極的に表に出して行動に移すためのエネルギーが不足し、内に閉じこもってしまう。さらに、力がないために思い悩み、迷ってしまう。こうした状態も、腎の力が低下した結果として捉えることができるのです。
結論として、人よりも恐れやすかったり、驚きやすかったりする性質は、先天的に腎が弱いか、あるいは後天的な生活習慣によって腎の力を低下させてしまった結果であると考えられます。
今回の講義の概要
東洋医学で心身の安定を司る「腎」。その力が弱まると、身体が過剰に自分を守ろうとして、「恐れ」や「驚き」といった感情が生まれやすくなります。
大胆で何事にも動じない人は腎が強く、用心深く怖がりな人は腎が弱い傾向にあります。耳の大きさや厚さも、腎の状態を知る一つの手がかりになります。
いわゆるノイローゼのように内にこもりがちな状態や、思い悩んで迷ってしまうのも、物事を前に進めるエネルギー、つまり腎の力が不足していることが一因と考えられます。