「暦」と聞くと、少し難しく感じるかもしれません。しかし、私たちの体調や歴史のドラマは、この暦と密接に関係しています。現代の私たちが使っているカレンダー(新暦)と、かつての日本人が大切にしていた季節感(旧暦)のズレを紐解くと、日々の体調管理のヒントが見えてきます。
旧暦(太陰太陽暦)と
新暦(太陽暦)の違いとは?
今私たちが当たり前に使っているカレンダーは、実は日本に導入されてからまだ150年ほどしか経っていません。
日本人が1000年以上使い続けた
「月のカレンダー」
明治初期まで使われていた旧暦は、正確には「太陰太陽暦」と呼びます。これは「月の満ち欠け(太陰)」を基準に日付を決め、そこに「太陽の動き(二十四節気)」を組み合わせて季節のズレを補正する仕組みです。
時計がない時代、夜空を見上げれば「今日は何日か」が誰にでも分かりました。また、月の引力による潮の満ち引きは、漁業や物流において命に関わる重要な指標でした。日本人の生活は、文字通り「月」と共にあったのです。
なぜ日本は明治時代に「暦」を変えたのか?
日本が現在の「太陽暦(グレゴリオ暦)」に切り替えたのは、明治5年(1872年)のことです。当時の明治政府は突然、「明治5年12月2日の翌日を、明治6年1月1日とする」と宣言しました。
表向きの理由は「欧米諸国と基準を合わせるため」でしたが、裏には切実な財政事情があったと言われています。旧暦のままだと明治6年には「閏月(うるうづき)」があり、1年が13ヶ月になります。月給制を導入したばかりの政府にとって、13回分の給料を払うのは大きな負担でした。改暦によって「1ヶ月分を消去」し、支払いを免れたという驚きのエピソードが残っています。
暦を知れば歴史がリアルに!
赤穂浪士が感じた「真の寒さ」
暦の仕組みを理解すると、歴史の情景がより鮮明に浮かび上がってきます。
12月14日は、
今の暦では「1月末」だった
忠臣蔵で有名な「赤穂浪士の討ち入り」は、元禄15年12月14日に行われました。今のカレンダーで見ると12月中旬ですが、当時の暦を現在の新暦に直すと1703年1月30日になります。
1月末といえば、一年で最も寒い「大寒」の時期です。彼らが雪の中を突き進んだあの夜は、単なる寒さではなく、指先が凍りつくような極限の状態だったはずです。そう考えると、義士たちの覚悟の重さがよりリアルに伝わってきませんか?
季節感のズレが解ければ、
古典や歴史の解像度が上がる
「春はあけぼの」と歌われる春の始まり(立春)は、今の2月初旬。新暦の感覚ではまだ真冬ですが、旧暦ではここからが「春」です。古典文学や歴史を読み解く際、この「約1ヶ月のズレ」を意識するだけで、当時の人々が見ていた景色や感じていた風の温度をより正確に追体験できるようになります。
東洋医学の知恵「二十四節気」を
現代の健康管理に活かす
カレンダーの日付と体の感覚がズレてしまうと、自律神経を乱す原因になります。そこで役立つのが東洋医学の知恵です。
「天人合一」— 自然と体は繋がっている
東洋医学には「人間も自然の一部である」という天人合一の考え方があります。季節の移ろいに合わせて生活習慣を変えることは、健康を維持するための基本です。
自律神経を整える!季節の変わり目におすすめの養生法
特に今の時期(1月末〜2月上旬)は、冬から春への大きな転換点です。
- 冬の締めくくり(大寒)
まだまだ冷えが厳しい時期。腎を労わるため、足腰を冷やさず、黒い食材(黒豆やひじき)を摂ってエネルギーを蓄えましょう。 - 春の始まり(立春)
少しずつ「気」が上昇し始めます。急に激しい運動をするのではなく、ゆったりとしたストレッチで体を緩め、冬に溜まった老廃物をデトックスする準備を始めましょう。
今日からできる!
月の満ち欠けに合わせたリズムの作り方
太陽の動きだけでなく、月の満ち欠けも意識してみましょう。
- 新月の頃
「浄化・排出」の力が強まる時。心身のデトックスに適しています。 - 満月の頃
「吸収・蓄積」の力が最大になる時。栄養のあるものを摂り、リラックスして過ごすのがおすすめです。
まとめ
カレンダーの余白に「季節の気配」を感じて
カレンダーの日付は便利ですが、私たちの体はそれ以上に繊細な「自然のリズム」の中にあります。時折、旧暦や月の形に目を向けることで、忙しい日常で忘れがちな季節の気配を取り戻すことができます。
自然のリズムに歩幅を合わせる。それこそが、心と体を健やかに保つための、最も古くて新しい秘訣なのです。









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