2024/11/06
『国民生活基礎調査』(2016)によると、日本人が訴える自覚症状の第1位は腰痛、第2位が肩こりです。
人の背骨は、椎骨と呼ばれる骨と、椎間板という特殊な軟骨が交互に積み重なってできています。背骨の重要な役割の一つは、上半身を支えることです。特に、背骨の下部にある腰椎は上半身の重みを支えており、大きな負担がかかっています。さらに、腰は下肢の起点となり、曲げたりひねったりといった動きが背骨の中で最も大きい場所です。このため、腰椎や椎間板、その周囲の靭帯・筋肉などに負担がかかり、結果として腰痛が現れます。二足歩行をする人類にとって、腰痛は宿命ともいえます。
背骨のもう一つの役割は、大切な神経を保護することです。背骨の中心には脊柱管というトンネルがあり、その中を脊髄や脊髄から枝分かれした神経の束である馬尾が通っています。これらの神経は全身に伸びています。椎骨や椎間板が変形して神経を圧迫すると、手や足の痛みやしびれ、麻痺を伴う腰痛が生じます。
肩こりは、うなじから肩に広がる僧帽筋を中心に発症することが多く、首から肩、背中にかけて筋肉が硬く感じたり重く感じたりする症状です。その他にも、疲労感や張った感じ、不快感、鈍痛など感じ方は様々です。肩こりは自覚症状であり、筋肉の硬さなど客観的な指標で判断することは難しいです。
肩こりは局所的に筋肉の血行が悪くなり、筋肉が硬くなることで起こると考えられます。運動不足や姿勢の悪さ、寝不足、眼精疲労などの身体ストレスや精神ストレスが要因です。心臓疾患など、心筋につながる神経と肩につながる神経は途中で合流して脳につながるため、心臓の痛みを肩の痛みと勘違いする関連痛もあるので注意が必要です。
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