東洋医学講座 436 病気の原因は何か 体質と病因

心旺タイプが冒されやすい疾病

「なぜ自分は太りやすいのか」「なぜいくら食べても太れないのか」「どうしてこんなに暑がりなのか」。こうした体質や体型の悩みに対し、東洋医学ではカロリーや遺伝だけでなく、「五臓のエネルギーバランス」からアプローチします。今回は、心臓など血液や熱を巡らせる働きが強い「心旺(しんおう)タイプ」を例に挙げ、熱が身体の引き締め機能(肺系)を奪う「火剋金(かこくきん)」という病理メカニズムについて解説します。

1.心旺タイプと「火剋金かこくきん」の病理

心旺タイプとは、五臓のなかで「心(火)」の力が100と最も強く、他の四系(肝・脾・肺・腎)が80といった力関係にある体質を指します。

このタイプが不摂生などでバランスを崩した際、真っ先に軽度な病症として現れるのが火剋金かこくきんという問題です。

これは、過剰な心(火)のエネルギーが、肺系(金)を攻撃し、機能を低下させてしまう五行の相剋原理です。力関係が「心100 対 肺80」であるため、弱い肺のシステムが必然的にダメージを受けやすくなるのです。

2. 「金(肺)」の引き締め効果と体型の関係

五行における金気ごんき」は「収斂性しゅうれんせい、つまり外に向かうものを引き締める働きを持っています。

したがって、肺系や、同じく収斂の働きを持つ腎系の機能が低下すると、全身の組織を引き締める力が弱まり、結果として水太りのような「肥満」になりやすくなります。

反対に、常に機敏で気が強い(気の生理が勝っている)人は、あまり太れません。全身の「気」の働きが活発すぎると、肺(金)が肝(木)の働きを強く剋制し、筋肉が過剰に引き締まってしまうためです。体型もまた、臓器の力関係によって作られています。

3. 熱がもたらす最大の弱点と肺系の不調

この金気(引き締める力)にとって、最も悪条件となるのが「熱」です。

金気の収斂性は、強い熱に当てられると気発(拡散・散逸)してしまいます。したがって、肺系は五臓の中で一番「火」を苦手としています。

本来、人体は平熱(約36.5度)の恒温を保つよう調整されていますが、心旺タイプの人は他タイプより血液循環が旺盛なため、この恒温を超えやすい傾向にあります。心旺タイプに「暑がり」が多いのはこのためです。

これが「火剋金」の具体的な体生理です。過剰な熱(心)が引き締める力(肺)を奪うため、心旺タイプの不調は、まず「肺系の症状(呼吸器や皮膚のトラブル、のぼせ等)」という軽度の機能低下からサインを発し始めるのです。