免疫 63

組織障害と免疫学ー消炎鎮痛剤が招く病態の悪化

組織障害と免疫学
消炎鎮痛剤が招く病態の悪化 

発熱や痛みを抑えるために広く使われる消炎鎮痛剤(NSAIDsやステロイド)ですが、その使用には深刻なリスクが潜んでいます。これらの薬剤は、組織の修復を促すはずの治癒反応を抑えるだけでなく、病態によっては免疫細胞を過剰に刺激し、かえって胃潰瘍や膠原病などの組織障害を悪化させる危険性があるのです。

ツボ丸くん

この記事を読めば、免疫について理解できるかと思います。分かりやすく、丁寧に解説するので、ぜひ一緒に学びましょう!

今回の講義の概要

消炎剤は治癒反射を抑制し、顆粒球炎症を悪化させる
NSAIDsの連続投与は顆粒球増多と交感神経緊張を招く
ステロイドの長期使用は深刻な組織障害につながる

免疫学から考える組織障害

非ステロイド性、ステロイド性の消炎剤

非ステロイド性消炎鎮痛剤NSAIDs)やステロイドホルモンは、発赤や発熱を伴う、いわゆるプロスタグランジンが関与する炎症を鎮める作用を持っています。これらの炎症は、主にリンパ球の関与するカタル性、フレグモーネ性、アレルギー性の炎症です。

しかし、炎症の中には、顆粒球の関与する化膿性の炎症や組織破壊を伴う炎症もあります。特に、生体内の無菌的な状況で起こる顆粒球の炎症は、その放出する活性酸素によって組織破壊を引き起こします。

このような顆粒球性の炎症に対し、NSAIDsやステロイドが投与されると、かえって激しい炎症を引き起こすことになります。このような概念を知らないと、多くの組織障害性疾患で誤った治療が行われてしまいます。

発赤、発熱、痛み、かゆみを伴う炎症のかなりの部分は、組織に豊富な血流を送ろうとする副交感神経反射、すなわち治癒反射です。このときにNSAIDsやステロイドが投与されると、治癒が抑制されます。

顆粒球の炎症は痛み止めで悪化する

痛み止め(NSAIDs)を連続して飲むと胃の調子が悪くなり、ついには胃潰瘍を引き起こすことがあります。いかなるメカニズムによってこのような現象が起こるのでしょうか。

この問題を解明するために、マウスにNSAIDsの一つであるインドメタシンを連続投与し、全身の顆粒球のレベルを調べたところ、激しい顆粒球増多が全身性に誘導されていたことが分かりました。

NSAIDsは、プロスタグランジンが関与する発熱や痛みには特効薬ですが、顆粒球の炎症に対しては増悪剤となります。

NSAIDsはプロスタグランジンの産生を抑制しますが、プロスタグランジンはカテコールアミンと拮抗系をなしています。このため、NSAIDsの連続投与で交感神経が緊張状態になります。これは、湿布剤としての外用であっても同様です。

潰瘍性大腸炎、痔、慢性関節リウマチは、全て顆粒球の炎症です。もし、これらの症状にNSAIDsを投与すると、病状は悪化することになります。

ステロイドの長期使用は潰瘍形成につながる

ステロイドホルモンも交感神経緊張状態を引き起こします。ステロイドを長期使用している患者は冷えに悩まされますが、これは血流障害によるものです。その結果、ステロイド潰瘍、大腿骨骨頭壊死、老化促進、白内障、発がんなどの症状が現れてきます。

マウスにステロイドを連続投与した上で拘束ストレスを加えると、炎症性のサイトカインが激しく分泌されます。これは顆粒球の活性化のためであり、容易に潰瘍や組織障害が起こります。これがステロイド潰瘍と呼ばれる病態です。

ステロイドによる消炎作用は、激しい冷えからも分かるように、組織反応の低下によってもたらされていると考えられます。これは真の治癒にはつながりません。そして、ステロイドの長期使用を続けると、変性したステロイドを中和するために、さらなる増量を強いられることになります。

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