組織障害と免疫学
顆粒球増多が招く病態
体の修復に不可欠なはずの顆粒球が、かえって組織を傷つけてしまうことがあります。これは、ストレスによる交感神経過緊張が引き起こす免疫バランスの崩壊が原因です。顆粒球とリンパ球が持つ拮抗的な役割から、胃潰瘍や関節炎といった多くの組織障害の発症メカニズムを深く理解することができます。
免疫学から考える組織障害
顆粒球増多は組織障害を起こす
傷口に炎症細胞、主に顆粒球、その中でも好中球が浸潤してくることは、よく知られた事実です。この好中球は、適度な量であれば細菌感染を防ぎ、上皮の再生を助けると考えられます。しかし、過剰になると常在菌と反応して化膿し、創傷の治癒を妨げます。
生体にストレスが加わると、交感神経過緊張になることが多く、この状態が持続すると血流障害と顆粒球増多によって組織障害をもたらします。
この概念を取り入れると、胃潰瘍、潰瘍性大腸炎、関節炎など、多くの組織障害の発症メカニズムを正しく理解できます。顆粒球とリンパ球はそれぞれ自律神経によって拮抗的に調整されているため、顆粒球増多によって組織障害が引き起こされる際には、必ずリンパ球の減少と免疫抑制が伴います。
リンパ球が関与する炎症時には、血管拡張や発赤を伴い、むしろ血流は上昇することが多くなります。このような働きもリンパ球の大切な役割の一つです。したがって、リンパ球が減少した体調では、血流障害が助長され、組織障害も進行してしまうのです。













この記事を読めば、免疫について理解できるかと思います。分かりやすく、丁寧に解説するので、ぜひ一緒に学びましょう!
今回の講義の概要
・顆粒球増多による組織障害のメカニズム
・リンパ球減少と免疫抑制の併発
・リンパ球の血流維持作用