1日2リットルはウソ?
最適な量とがぶ飲みNGの理由
こんにちは。鍼灸師の日吉です。
「健康のために水を1日2リットル飲みましょう」
一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。健康意識の高いあなたなら、すでに取り組んでいるかもしれませんね。しかし、その一方で「そんなに飲めない…」「お茶やコーヒーじゃダメなの?」「冷たい水は体に悪いって本当?」といった素朴な疑問が次々と湧いてきませんか?
巷には様々な情報が溢れていて、一体どれが本当なのか分からなくなってしまいますよね。ご安心ください。この記事を読めば、西洋医学的な知識だけでなく、東洋医学の視点も交えた、あなたに最適な水分補給の「正解」がきっと見つかります。
私たちの体のほとんどは「水」でできている
まず、なぜこれほどまでに「水」が大切なのでしょうか。驚かれるかもしれませんが、私たち成人の体は、その約60%が水分で満たされています。新生児期には約75%、年齢とともに少しずつ減っていき、高齢になると約50%ほどになります。
この体内の水分は、血液として栄養素や酸素を全身に運び、老廃物を回収し、体温を一定に保つなど、私たちが生命を維持するための根幹を担っています。
東洋医学では、この体内の水分を「津液」と呼び、体を巡るエネルギーである「気」や、栄養を運ぶ「血」とともに、健康を支える非常に重要な要素と考えます。津液が不足すると、気や血の巡りも滞り、乾燥やのぼせ、便秘といった様々な不調の原因となるのです。
まさに「命の水」。この体内の水分がわずか数パーセント失われるだけで、私たちの体は不調をきたし、パフォーマンスが低下してしまうのです。
【結論】あなたが本当に「飲むべき」
水の量とは?
では、本題です。一体どれくらいの水を飲めば良いのでしょうか。「1日2.5リットル必要」という話も聞きますが、これは食事から得られる水分なども含んだ総量です。
私たちが普段の食事(ごはん、味噌汁、おかずなど)から得られる水分は、意外と多く約1.0Lにもなります。つまり、飲み物として意識して摂るべき水分は、差し引いた「1.2L〜1.5L」がひとつの目安になります。
もちろん、これはあくまで目安。より正確に知りたい方は、以下の計算式を参考にしてみてください。
- 30歳未満:体重(kg) × 40ml
- 30~55歳:体重(kg) × 35ml
- 56歳以上:体重(kg) × 30ml
例えば、体重60kgの40歳の方なら「60kg × 35ml = 2.1L」が1日に必要な水分総量。ここから食事分の約1.0Lを引けば、飲み水として約1.1Lが必要、という計算になります。夏場や運動で汗をたくさんかいた日は、もちろんこれ以上に追加で補給が必要です。
「がぶ飲み」はNG!賢い水分補給のタイミング
量を満たすことと同じくらい大切なのが、「飲み方」です。一度に大量の水をがぶ飲みしていませんか?実はこれ、体に大きな負担をかけてしまう危険な行為なのです。
腎臓が一度に処理できる水分量には限界があり、それを超えると血液中の塩分濃度が急激に下がる「水中毒(低ナトリウム血症)」を引き起こすことがあります。頭痛やだるさ、むくみだけでなく、重篤な場合は意識障害などを起こすことも。
正解は、「喉が渇く前に、コップ一杯(150〜250ml)程度の量をこまめに飲む」こと。
具体的には、以下のタイミングで意識的に水分を摂るのがおすすめです。
- 起床時
睡眠中に失われた水分を補給 - 食事時
消化を助ける - 運動の前後
パフォーマンス維持と疲労回復 - 入浴の前後
発汗による水分不足を防ぐ - 就寝前
睡眠中の脱水を予防(ただし、夜中にトイレに起きてしまう方は量を調整しましょう)
【Q&A】その疑問
東洋医学の視点からもお答えします!
さて、ここからは患者さんからもよく聞かれる質問にお答えしていきましょう。
Q1. お茶やコーヒー、ジュースではダメですか?
「水分なら何でもいいのでは?」と思いますよね。気持ちはよく分かります。しかし、カフェインを含む緑茶やコーヒー、紅茶には利尿作用があり、飲んだ量以上に水分が排出されてしまう可能性があります。水分補給のつもりが、かえって脱水を助長しかねないのです。
また、ジュースや清涼飲料水は糖分が多く、カロリーの摂りすぎや血糖値の急上昇につながります。
もちろん、これらを嗜好品として楽しむのは全く問題ありません。しかし、体の細胞が本当に求めている純粋な水分補給としては、「水(またはカフェインを含まない麦茶や白湯など)」が最適解と言えるでしょう。
Q2.「年寄りの冷や水」って言うし、冷たい水は体に悪い?
「年寄りの冷や水」とは、高齢者が行うには無謀で危険なことのたとえで使われる慣用句ですね。この言葉のイメージから、「冷たい水は体に悪い」と思っている方が非常に多いようです。
東洋医学では、この考え方は非常に重要です。「冷えは万病のもと」という言葉があるように、体を冷やすことは気血の巡りを悪くし、様々な不調を引き起こすと考えられています。特に、飲食物を消化吸収する「脾胃」(胃腸)は冷えに非常に弱い臓器です。
冷たいものを飲むと、この脾胃の働きが弱まり、消化機能が落ちてしまったり、腹痛や下痢の原因になったりします。エネルギーを生み出す力が弱まるため、夏バテやだるさにも繋がるのです。
もちろん、真夏の運動後など、体に熱がこもりすぎた時には、適度に冷えた水が助けになることもあります。
しかし、大切なのは、普段の水分補給では体を冷やさないこと。胃腸への負担が少なく、体の巡りを助ける「常温の水」や「白湯」を飲むのが、東洋医学の観点からも強くおすすめです。体の声に耳を澄ませて、心地よいと感じるものを選んでください。
まとめ
あなただけの「最適」を見つけよう
いかがでしたでしょうか。水分補給の「正解」とは、誰にでも当てはまる画一的なものではなく、あなた自身の年齢や体重、生活スタイルによって変わる、オーダーメイドのようなものです。
朝起きて一杯、朝・昼・晩の食事で一杯ずつ、そして日中の休憩時間に二杯、といったように生活の中に組み込んでいくと、無理なく続けられるかと思います。 きっと、体の中から巡りが良くなり、すっきりと軽やかになっていくのを感じられるはずです。
正しい知識を身につけ、ご自身の体と相談しながら、最適な水分補給を見つけていきましょう。あなたの健やかな毎日を応援しています。








コメントを残す