東洋医学講座 6 全身が心臓である

東洋医学講座 6 全身が心臓である

なぜ指は5本なのか?「全身が心臓である」と捉える東洋医学のダイナミックな身体観

心臓の働きと聞くと、多くの人は「血液を全身に送り出すポンプ」を想像するでしょう。現代医学では臓器をそれぞれ独立したパーツとして捉える傾向がありますが、東洋医学の視点は全く異なります。

東洋医学では「血管もまた心臓の一部」であり、究極的には「全身が心臓である」と考えます。本稿では、心臓と血管の本当の関係性、皮膚に現れる内臓のサイン、そして「なぜ人間の指は5本あるのか」という人体の不思議を、陰陽五行の哲学から紐解いていきます。

1. ポンプだけではない?「全身が心臓」という東洋の視点

現代医学において、心臓は胸腔内の左下部にあるこぶし大の臓器であり、ポンプ作用によって血液を循環させると説明されます。血管は単なる「通り道(管)」として扱われがちです。

しかし、東洋医学では「心臓そのものは根本(根っこ)であり、血管はその根から伸びた枝葉である」と考えます。自分の体幹だけが自分で、右手や左手が自分ではないということはあり得ません。それと同様に、血管も心臓の一部とみなすのです。 実際、血管は全身の隅々まで張り巡らされており、顕微鏡でしか見えない毛細血管まで含めると、その表面積は心臓よりも圧倒的に大きくなります。

2. 血管自体が意思を持って働いている

機能面から見ても、血管はただ血液を流しているだけではありません。心臓以上に複雑で自律的な働きをしています。

このように見ると、心臓が血管を動かしているというより、「血管が心臓を動かしている(助けている)」とも言えるのです。根(心臓)と枝(血管)は、相互に影響し合いながら全身の生命活動を維持しています。

3. 皮膚に現れる五臓のサインと鍼灸のメカニズム

この「根と枝」の考え方は、心臓に限った話ではありません。例えば、体の表面にある「皮膚」を一つ取り上げてみても、そこには五臓すべての枝が到達していると東洋思想では考えます。

したがって、「全身が心臓」であると同時に、「全身が肝臓」であり「全身が腎臓」でもあると言えます。 東洋医学が、顔色や皮膚の状態を見るだけで内臓の働き具合を推測でき(望診)、皮膚の表面に鍼やお灸などの刺激を与えることで内臓の調整ができるのは、この「体表(枝葉)と内臓(根本)がすべて繋がっている」という揺るぎない法則があるからなのです。

4. 指が5本ある理由 ~ 人体は自然(五行)の写し鏡

では、なぜ人間の手足の指は「5本」ずつあるのでしょうか。これも偶然ではなく、東洋医学の根幹である自然法則で説明がつきます。

指という「枝葉」が5本に分かれているのは、その根本に「五臓(心・肝・脾・肺・腎)」という5つの根があるからです。 さらに、その五臓がなぜ5つ作られたのかと言えば、私たちの人体が「宇宙・自然の働き」によって作られた存在(小宇宙)だからです。自然界の働きは「木・火・土・金・水」という5つのエネルギー(五行)に分類されます。

人間はこの五行の法則によって構成されているため、内臓が五臓に分かれ、それに連動して指が5本になり、五官(目・舌・口・鼻・耳)に分かれているのです。人体は単なる物質の寄せ集めではなく、自然界の法則をそのまま写し取った、精巧で美しい小宇宙なのです。

したがって、「全身が心臓」であると同時に、「全身が肝臓」であり「全身が腎臓」でもあると言えます。 東洋医学が、顔色や皮膚の状態を見るだけで内臓の働き具合を推測でき(望診)、皮膚の表面に鍼やお灸などの刺激を与えることで内臓の調整ができるのは、この「体表(枝葉)と内臓(根本)がすべて繋がっている」という揺るぎない法則があるからなのです。

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