東洋医学講座 4 宇宙生成論と陰陽の法則

東洋医学講座 4

なぜ東洋医学は「外見」で病気を診断できるのか?「気が形をつくる」宇宙生成論と陰陽の法則

東洋医学では、顔色や皮膚の状態、極端に言えば「髪の毛一本」を見るだけでも、その人の体質や健康状態を推測できると考えます。なぜ、外に現れた「形」を見るだけで、内側の「見えない働き」が分かるのでしょうか?

その答えを探るためには、東洋思想の根源である「宇宙生成論」まで立ち返る必要があります。

本稿では、冷気と熱気から万物が生まれたというダイナミックな宇宙の成り立ちから、東洋医学の診断の基礎となる「気と形の相関」について論理的に解説します。

1. なぜ「気」が「形」を作るのか?東洋の宇宙生成論

東洋医学では「気が形をつくる」と考えますが、その根拠は宇宙の始まりにあります。

東洋の宇宙生成論では、宇宙の元始には形あるものは何もなく、ただ非常に低温の「冷気(霊気とも呼ばれる)」だけが存在していたと考えます。しかしこの冷気は単なる冷たさではなく、後に鉱物や生物など、万物を生み出す目に見えない霊妙な元素(エネルギーの元)を内包していました。

やがて、この霊気が非常に速い旋回運動を始めます。空気同士が摩擦して熱を生じるように、この旋回によって宇宙に「熱」が生み出されたのです。

2. 万物を生み出す「冷と熱(陰陽)」の交流

熱が生じると、今度は温度を一定に保とうとする自然の働きにより、冷気と熱気が激しく交流し、「風」が生じます。暖房の効いた部屋の窓を開けると、中の暖気と外の冷気が入れ替わって強い風が起きるのと同じ原理です。温度差が激しいほど、気流の変化も激しくなります。

この風が生じるダイナミックな過程で、冷気の中にあった霊妙な元素が熱せられて膨張し、互いに融合しやすくなります。そして次第に集結し、最後に再び冷気によって凝固されることで、星などの「形あるもの」が形成されたと考えられています。

現代の宇宙物理学のビッグバン理論なども、表現こそ違えど、エネルギーの膨張と冷却によって物質が生まれたという点で、非常に似た考え方をしています。要するに、太陽系も地球も、そして私たち人類も、大本をたどれば「冷気と熱気の交流」という二大元気(陰陽)によって作られたのです。

3. 「気」と「形」は連動する ~ 心と体の相関関係

宇宙の成り立ちをこのように捉えた結果、東洋思想では「あらゆる『形』は、もとを正せば『気(エネルギー)』から成っている」という結論に至ります。そして、いったん形が作られた後は、「形」と「気」は互いに同等の力を持ち、相関(影響し合い)しながら生々発展していくと考えます。

これは人間においても同様です。

まず、精神(陰気)と神気(陽気)という目に見えない気によって人間の形(肉体)が作られます。しかし形が完成した後は、精神(気)と肉体(形)は相互に平衡を保ちながら、その人の全体像を形作っていくのです。心が病めば体が弱り、体が傷つけば心も沈むのは、この気と形が不可分の関係にあるためです。

4. 小宇宙としての人体 ~ 外見から内面を読み解く「望診」の原理

万物は形や種類が異なっていても、すべては「冷と熱(陰陽)」の二気から成り立っています。そして、人間は宇宙の法則によって作られた存在(小宇宙)です。宇宙の成り立ちを知れば人間の仕組みが分かり、人間の仕組みを深く知れば宇宙の法則が理解できます。

芸術作品を見ればその作者の制作過程や心情が推測できるように、作られた「形」には必ずそれを作った「見えない力(気)」の痕跡が残ります。

手相や人相に限らず、極端なことを言えば「髪の毛一本」からでも、その人の性質、体質、体力、運勢などを読み取ることができるというのは、この「形と気は完全にリンクしている」という法則に基づいています。

私たちが日常生活で、相手の言葉、態度、顔色を見て内面(感情や体調)を判断するように、東洋医学ではこの原理を応用し、外に現れた「形」を緻密に観察することで、外部からは見えない内臓の「働き」や「病」を読み解き、治療を行います。これが東洋医学の根幹をなす診断法「望診ぼうしん」の科学的な(自然法則に則った)理由なのです。

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