東洋医学講座 395

東洋医学講座 395 腎と唾

口の渇き・口臭は「腎」のサイン? ー 唾液でわかる健康状態

口の渇きや気になる口臭。その原因を、口の中だけの問題だと思っていませんか?東洋医学では、潤いの源である「唾(唾液)」は生命力を司る「腎」と深く結びついており、その量や質は腎の健康状態を映すバロメーターと考えられています。本稿では、唾液から読み解ける身体のサインと、年齢による変化、そして重要な腎の働きについて解説します。


この記事を読めば、東洋医学について理解できるかと思います。分かりやすく、丁寧に解説するので、ぜひ一緒に学びましょう!

今回の講義の概要

  • 唾液は「腎」のバロメーター
    東洋医学では唾液は腎によって作られ、その分泌量は腎の健康状態を反映します。口の渇きや口臭は、腎機能低下のサインである可能性があります。
  • 年齢による唾液量の変化
    幼児のよだれが多いのは腎が旺盛な「腎旺体」の証拠であり、加齢とともに唾液が減るのは腎が衰える「腎衰体」への自然な変化です。
  • 腎機能の維持が重要
    腎機能は一度大きく損なわれると回復が非常に困難です。口の潤いを保ち、健康を維持するためには、腎の働きを低下させない生活習慣が大切です。

腎と唾

つばは、顎下腺や耳下腺、舌下腺などの唾液腺から分泌される口腔内の液体ですが、東洋医学では、その源は生命力を司る「」にあり、腎と非常に深い関係を持つと考えられています。唾は腎の健康状態を示すバロメーターであり、その分泌は腎によってコントロールされているのです。

唾液と腎機能の関係

腎機能が低下すると唾液の分泌が減って口が渇き(口渇)、口臭を発しやすくなります腎精(生命エネルギーの根源)を消耗したときなどに口臭が強くなるのも、唾液量が減少し口内の自浄作用が弱まることで、発酵臭が呼気とともに外に出やすくなるからです。

口腔内は、希釈作用粘膜保護消化作用などを持つ唾液によって常に潤されています。しかし、腎機能が低下すると、この潤いが不足し、常に口の中がさっぱりせず、喉の渇きを感じるようになります。また、体の上部にある液体は全身の循環が良い状態でないと順調に巡りにくいため、腎機能が低下している人は特に口や喉が渇きやすくなるのです。

目、鼻、口腔、咽頭といった器官は常に潤っている必要があり、この潤いが低下すると、食べ物のカスや体からの分泌物が発酵・腐敗し、不快な臭いの原因となります。

ここで知っておくべき重要なことは、腎機能は一度大きく損なわれると、他の臓器と違ってなかなか元のようには回復しないという点です。腎はそれだけ丈夫な臓器ですが、長年の生活習慣によって機能が低下すると、回復が非常に困難になることを覚えておく必要があります。

年齢による唾液量の変化と対処法

年齢によって唾液の分泌量が変わるのも、腎の働きと関連しています。

幼児によだれが多いのは、生命力に満ち溢れた「腎旺体じんおうたい」である証拠です。この時期は鼻水や涙など、身体全体の水分量が多い傾向にあります。

しかし、年齢を重ねるにつれて身体の水分は徐々に少なくなり、特に老人になると腎が衰えた「腎衰体じんすいたい」へと変化し、身体全体が潤いを失っていきます。お年寄りが餅などを喉に詰まらせやすいのは、この唾液不足が大きな原因です。

もし餅などを喉に詰まらせた際の応急処置として、酢や醤油を少量飲ませるという民間療法があります。強い酸味や塩味の刺激で口腔内に唾液が一斉に分泌され、むせる反射とともに異物を外に出そうとする働きを促すためです。

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