東洋医学講座 390

東洋医学講座 390 腎と耳 人体における「根」と「葉」の関係

耳は腎と脳を映す鏡 ー 「根」と「葉」の関係で読み解く健康と聡明さ

東洋医学の世界では、耳は単なる聴覚器官ではなく、その人の健康状態や能力、さらには生命力の根源である「腎」や「脳」の状態を映し出す重要な窓口と捉えられています。本稿では、「根(=腎)」と「葉(=耳)」という比喩を用いながら、耳を観察することで何がわかるのか、その深遠な関係性について紐解いていきます。


この記事を読めば、東洋医学について理解できるかと思います。分かりやすく、丁寧に解説するので、ぜひ一緒に学びましょう!

今回の講義の概要

  • 耳は腎を映す「葉」
    東洋医学では、耳を植物の「葉」や「苗」、腎をその「根」と捉え、耳を観察することで身体の根源である腎の健康状態を推測します。
  • 耳は脳の力を示す鏡
    人相学(相学)では、耳の大きさ、厚み、形、血色などからその人の総合的な能力や聡明さ、すなわち脳の力を読み解きます。
  • 腎は全ての根源
    腎は人体における「根の中の根」であり、肝・心・肺といった他の臓腑系統は、腎を中心として伸びる枝葉のような関係にあります。

腎と耳

人体における「根」と「葉」

耳で何をみるのか

全身的な視点から見ると、耳はどのような部位を占め、どのような働きをしているのでしょうか。まず、耳は五つの感覚器官(五官)の一つであり、聴覚を司っています。生理学的には平衡感覚とも関連し、そして東洋医学的には「腎」と深いつながりを持っています。

以前にも説明したように、耳は「腎の苗」であると言われます。これは、耳という「葉」や「苗」に対して、その「根」に腎の働きが存在することを意味します。つまり、腎機能の働きが根となり、両耳はその葉や苗に相当するわけです。苗・葉・根といっても、これらは一体のものであるため、耳は腎臓の状態が体外に現れた「外候」であるとも言えます。耳に限らず、五官は全て、脳または五臓の状態を反映する「花」や「苗」のようなものなのです。

このように、身体の末梢部分や体外に現れる働きを手がかりとして、耳という器官を捉えていきます。したがって、耳を観察することで、その人の腎臓の働き具合を推測することができます。もちろん、先天的に持っている生命力と、後天的な生活の中で培われた機能の状態も、ある程度読み取ることが可能です。

次に、耳から具体的にどのようなことを見立てていくかと言いますと、例えば相学では、耳を見ることでその人の聡明さが分かるとされています。聡明さとは、その人の総合的な能力であり、実務的な能力も脳の働きも含まれますが、総じて脳の力が現れると考えられます。脳の力と技能の力は相関関係にあるため、それらを総合した能力が耳に現れるとされるのです。

例えば、耳が大きくて厚みがあり、形が整っていて血色が良いという条件が揃っている人は、聡明であると言われています。また、耳、脳、そして腎臓は、三つとも互いに深く関連し合っています。

「腎」とは、生命の生成のところで解説したように、人体の大本(おおもと)となるものですから、腎はまさに「根の中の根」と言える存在です。身体全体の根本でありながら、同時に一つの枝葉を伸ばしているような側面も持っています。

腎を中心に据えると、肝系統、心系統、肺系統などがその枝として伸びていると考えることができます。そして、「腎」それ自体も、根本としての役割を持ちながら、他の系統と同様に一本の枝としての機能も有しているのです。

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