東洋医学講座 382

東洋医学講座 382 母胎内の化育について 腎精

腎精と自然律動に学ぶ、母胎内の生命誕生と人体の成り立ち

妊娠によって母胎内で育まれる生命は、先天の腎精が自然界の五季の変化(寒・暖・熱・湿・燥)と呼応しながら、骨から皮膚に至るまでの精緻な組織へと段階的に形成されていくと考えられています。本稿では、この東洋医学的な生命誕生のメカニズムと、宇宙の法則にも通じる人体の成り立ちについて考察します。


この記事を読めば、東洋医学について理解できるかと思います。分かりやすく、丁寧に解説するので、ぜひ一緒に学びましょう!

今回の講義の概要

腎精と五季の気候変動による身体形成
細胞分裂から組織形成への熱変化
生命活動と宇宙法則に根差す体温変動の真理

母胎内の化育について

妊娠した腎精は、自然の律動に呼応しながら、胎内で六十四の組織へと精緻に分化し、五つの系統へと育まれていきます。

水が冬の寒さによって氷へと凝固するように、腎精もまた低温に触れることで凝り固まり、骨を形成します。そして、春の暖かな陽気に包まれると、凝固した表面は緩やかに解け、しなやかな筋腱へと変化します。夏の強い熱気にさらされれば、気化や液化が促され、血液をはじめとする生体に必要な熱エネルギーを生み出します。さらに、季節の変わり目である長夏土用の冷と熱が交錯する気を受けると、全身の筋肉が豊かに膨らみ成長します。そして、秋の急な涼気に触れることで、柔らかく膨らんだ体表は薄く引き締まり、皮膚へと形を変えていくのです。このように、先天の腎精は、後天の寒・暖・熱・湿・燥という五種類の気候変動の影響を受けながら、私たちの身体を形作っていくと考えられています。

人体の成り立ち

腎精による身体の生成機序は、まず卵子が卵巣から放出され、卵管で精子と受精することから始まります。受精卵は、最初に陰と陽の二つに分裂します。その後、子宮に向かって緩やかに下降しながら、四分裂、八分裂と細胞分裂を繰り返し、十六、三十二、そして六十四の細胞塊へと増殖し、最終的に子宮内壁に着床します。

六十四にまで分化した細胞塊がどのようにして成長していくのかについては、筆者の想像による部分がありますが、それは単なる個人的な思いつきではありません。宇宙天文学の法則を方程式のように当てはめた考察に基づいています。

まず、腎精体は一定の恒温である36.5℃で、一つの定まった形へと凝集していきます。その生成作用が始まるには、おそらく発熱現象が伴うと考えられます。この発熱がなければ変化は起こらず、その部位は加熱状態となります。この現象は、あたかも固まったものが伸びやかに変化していく木の成長に似ているため、「木化現象」と捉えられます。すなわち、この加熱温度において、神経や筋、腱といった木の組織に相当するものが形成されていくのです。

次々と変化が連続する生成運動は発熱を伴うため、熱は最高温度に達します。すると、火星に対応する組織が熱の力を受け、今度は自らの働きを発揮し始めます。そして、気化、液化、熱化といった状態へと変化していくのです。しかし、熱が際限なく上昇すれば生命は維持できないため、その生命体が耐えうる最高温度に達すると、今度は下降へと転じます。自然界の温度が上昇と下降を繰り返すように、人間の生理機能もまた、そのような自然の摂理に従っていると考えられます。

一般的に私たちの体温は一日を通して36.5℃であると考えられていますが、それは誤りです。体表の温度が36.5℃程度であっても、内臓の温度は昼夜で変動しています。私たちの体内は、地球の気候変動と同様に、常に温度変化を繰り返しており、その変化こそが生命活動を支えているのです。

そして、今度は熱い状態から冷却していく過程で、体の表面が凝縮し固まっていきます。その際に、筋系の組織がその作用を受け、皮膚が形成されていくのです。このように、昼夜を問わず繰り返される変化によって、私たちの身体は形作られていきます。これは最も簡潔な説明ですが、これまでどこにも記されてこなかった真理だと私は考えています。おそらく、誰もこの話を聞いたことも、読んだこともないでしょう。それは、この真理が非常に深遠で難解だからです。これは、宇宙の根源を説く『易経』を深く学ぶことで理解できる領域です。たとえ今理解できなくても、この考えをノートに書き残しておけば、おそらく百年後の子孫が「これこそ真実だ」と気づいてくれるかもしれません。

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