肺系統の治病観 ー肺と健康の関係を探るー東洋医学的視点と咳の役割
肺系統の治病観 * 肺の健康を守るためには、季節や食生活の影響、咳の役割を理解することが重要です。本記事では、東洋医学の視点から肺の特性や関連する疾患について掘り下げ、肺疾の特徴や五臓のバランスを保つ方法を具体的に解説します。
肺系統の治病観
肺金は母である脾土に養われており、腎水を生じさせます。また、肝木を剋しやすい関係にあり、心火に剋される傾向があります。肺が虚すると、腎水が不足し、肝木との拮抗バランスが崩れて力が余ることで心火に加乗します。
肝木・心火の剋が平衡を超える力を持つ場合、肺金に大きな負担がかかります。この肺気不足の主な原因は、母である脾土の不足に由来します。脾土が堅実であれば、肺金は衰えず、腎水も疲弊せず、肝木に侮られず、心火が高ぶることもなく、五臓の健全なバランスが保たれます。
肺疾は、熱と寒さに弱い性質を持ち、温暖な状態を好みます。熱や辛味が過剰になると肺を傷つけ、体を冷やし過ぎると肺の機能が損傷します。
肺疾の特徴として、衛気が全身に届かず、上逆の症状を引き起こすことがあります。この上逆が激しい場合は、苦味を摂取して亢進する肺気を抑えるのが良いでしょう。
肺と咳の関係
咳(欬)は、肺臓に変動や病変が生じた際に肺活動を促進させるための反応です。肺気管活動を補助し、肺機能低下を防ぐ目的で発生します。また、賦活作用や補助発熱効果を発揮する役割も果たします。
肺系統の病気の原因
なぜ発病するのか?
肺金は母である脾土に養われ、金生水により腎水を生じます。また、肝木とは相剋拮抗関係にあり、剋すか剋されるは、肺金と肝木の力の条件によって異なりますが、肝木を剋しやすい関係にあります。そして、心火に剋されやすくもあります。
相生相剋論に基づけば、肺金の母である脾土が虚すると、腎水が不足し、肝木との拮抗バランスが崩れます。その結果、肝木の力が強まり心火がさらに亢進し、逆剋の力が大きくなることで肺金に大きな負担がかかります。この肺気不足は多くの場合、母である脾土の不足から始まります。
脾土不足は、過食や栄養不足のどちらにも起因し、急激に起こるものではありません。数年から十年以上の長期間にわたる後天的要因が積み重なった結果として現れることが多く、発病直前の誘因は実際には引き金に過ぎません。このようにして平衡が極限に達し、誘因と重なり発病に至ります。
『素問』には、「脾土堅実ならば肺金衰えず、水疲れず、木侮らず、心火亢らず」と記されており、後天脾化作用が健全であれば五臓のバランスが保たれることを示しています。この後天脾化作用は食物と空気によって行われるため、正しい食事は健康維持の中心となります。
肺は、秋のように暑すぎず寒すぎずという適度な条件が最も良く機能する季節の臓器です。しかし、熱や辛味が過剰になると肺を傷つける原因となり、逆に体を冷やし過ぎることも肺の損傷を招く可能性があります。腎に十分な力があれば肺の代行を務めることができるため、寒さが大きな問題になるわけではありません。ただし、それでも肺力の消耗は避けられません。風邪をひいた際には、咳が多い場合は腎力よりも肺力の低下が目立ちます。また、鼻水や扁桃炎の症状が伴う場合には腎力の低下がさらに顕著であることが推察されます。
肺疾の場合、気が全身に巡らず、逆上する症状が現れることがあります。このような症状には、のぼせや咳などが含まれ、苦味のある食べ物を用いて亢進した肺気を抑えることが一つの手段です。ただし、過剰な摂取は逆効果をもたらすことがあるため注意が必要です。
咳の二つの作用
咳は、肺に病変が生じた際に肺活動を活発化させる目的で発生します。例えば、外部から刺激物が侵入し、肺内に滞留した場合には、その刺激物を排除するために咳が生じます。これは肺器官の活動を促進するための反応です。また、肺や皮膚が冷えた場合には、肺が機能する際の温度低下を防ぐために咳が起こります。このように咳には、賦活作用と補助発熱効果という二つの重要な役割があります。
この記事を読めば、東洋医学について理解できるかと思います。分かりやすく、丁寧に解説するので、ぜひ一緒に学びましょう!
今回の講義の概要
・肺の特性とケア
・肺疾の特徴と対策
・咳の役割