皮膚呼吸 と肺呼吸の重要性ー陰陽のバランスと高齢者の健康
東洋医学講座 334
肺と皮毛
皮膚呼吸について
肺呼吸と皮膚呼吸
呼吸には、肺呼吸と皮膚呼吸の二つがあることはよく知られていますが、皮膚呼吸の仕組みについては、まだ分からない点が多くあるようです。よく、体表の三分の一以上をやけどすると酸素不足になって窒息死するといわれていますが、このようなことから考えても、皮膚呼吸は重要であることが分かります。
人間は、片方の肺をとられても死にませんが、皮膚は三分の一やられると危険となります。そうすると、皮膚の方が本当の肺臓で、私たちが知っている肺臓は、副肺臓ではないかという疑問をもつ人がいるかもしれません。次のように考えると、少し理解ができるかと思います。陰陽では、肺呼吸が陰で、皮膚呼吸が陽となり、陰陽拮抗して働いていると考えます。その一つの具体例を挙げれば、皮膚呼吸は陽遁期(春夏、朝昼、青年期)に盛んに働き、肺呼吸は陰遁期(秋冬、夕夜、老年期)に盛んに働くことになっています。昼間、肺呼吸をしているかしていないかは、よほど意識しないと気がつきませんが、夜はものすごい勢いで肺呼吸をしています。いびきをかく人なら音として聞こえるので、よく理解できるかと思います。もちろん、昼間でも走れば話は別で、肺は必要に応じてすぐ働きを開始します。
ところで、なぜ昼間、皮膚呼吸が盛んになるかといえば、陽遁期は気の穴が開き、血管も上に浮いてくるので、皮膚を通しての酸素の血中への吸入が容易になるからです。朝、乾布摩擦を行うのもこのためです。
一方、陰遁期は収斂作用が働くので、皮膚が堅く閉ざされて、血管も下に沈んで、皮膚呼吸は低下します。高齢になると、皮膚の目詰まりを起こしてくることも重なって、皮膚呼吸が非常に低下します。そうなると、ますます老衰が進行してしまいます。なぜかといいますと、これは酸素の取り入れが不十分になるからです。つまり、酸素には若返る効果があるのです。酸素は、木気ですが、木気はとくに伸びようとする働き、若い働きを持ちます。したがって、朝マラソンをしたり、三碧木星の方位をとったりすると、活気が出て若々しくなります。老人に対する治療法は、吸角療法が適しています。体力が弱っていない人なら瀉血を併用し、うっ滞している瘀血と共に取ってあげることです。しかし、弱っている人には、瀉血は血と一緒に気も出るので、行わないほうがいいでしょう。無理して行うと、気が抜けて、ぐったりとしてしまいます。
夕方や秋の陰遁期は、収斂求引の気が働き、皮膚呼吸の代わりに、肺の吸引作用が活発に働きます。
この記事を読めば、東洋医学について理解できるかと思います。分かりやすく、丁寧に解説するので、ぜひ一緒に学びましょう!
今回の講義の概要
・皮膚呼吸と肺呼吸の重要性
・陰陽による呼吸の特性
・高齢者の皮膚呼吸の低下