東洋医学講座 442 病気の原因は何か 体質と病因

東洋医学講座 442

高血圧や歯周病の意外な原因?東洋医学が教える「腎」の弱りと過食の関係

「血圧が高いから塩分を控える」
「歯周病予防のために念入りに歯を磨く」

こうしたケアを続けていても、なかなか改善しないことはありませんか?東洋医学では、血圧の変動も歯のぐらつきも、単なる循環器や口腔内の問題とは捉えません。胃腸が強い「脾旺ひおうタイプ」の人が過食を続けることで、生命力を司る「じん」がダメージを受け、血管の弾力や骨の強度が失われることから生じるサインと読み解きます。本稿では、高血圧や歯周病の根本的なメカニズムと、腎機能を回復させるための東洋医学的なアプローチについて解説します。

1. 血圧変動の2つのパターン:心臓の亢進か、血管の硬直(腎虚)か

高血圧と聞くと、心臓の働きが強すぎる(血流が多すぎる)ためだと考えられがちですが、東洋医学の視点は少し異なります。血圧とは、「心臓の押し出す力(血流)」と「腎がコントロールする血管の弾力性」のバランス(拮抗)によって決まります。

血流が100で、血管の弾力(広がる力)が100であれば正常血圧です。しかし、血流が100のままでも、腎機能が低下して血管が弾力を失い、50に硬直・収縮すれば、血圧は跳ね上がります。

一番注意を要するのは、この「腎機能低下による血圧上昇(血管の硬直)」です。心臓の亢進(運動や興奮など)による血圧上昇は、心臓を休ませれば下がりますが、腎の力が下がって血管が硬くなっている場合は、安静にしていても血圧は高いままです。血圧の数値を気にする前に、「自分の血管の硬直度はどうなっているか(腎の力が落ちていないか)」という視点を持つことが重要です。

2. 歯槽膿漏は「歯肉(脾)」と「歯根(腎)」のバランス崩壊

歯槽膿漏(歯周病)もまた、腎機能の低下から発生する代表的な疾患です。歯がしっかりと固定されている「歯槽」という部分は、「歯肉(脾の管轄)」と「骨・歯根(腎の管轄)」ががっちりと拮抗してバランスを取ることで成り立っています。

もしこのバランスが崩れると、歯を締めている力が緩み、歯がぐらぐらしてきます。脾機能(胃腸)が下がれば歯肉が弱り、腎機能が下がれば歯根が弱ります。現代医学では歯周病は細菌感染とされますが、東洋医学では、その前に「土壌(歯肉と骨)の弱体化」があると考えます。したがって、歯槽膿漏になっている場合、局所的な歯科治療と並行して、全身の「腎機能」を高める生活へとシフトすることが回復への近道となります。

3. 下腹部の張りと喉のイガイガ:足元の冷えと腎の関係

腎機能の低下は、一見関係なさそうな腹部や喉にもサインを出します。

  • 下腹が張ったり、ガスが充満したりする

下腹が張る原因の一つは「冷え」です。足関節や膝関節から冷えが侵入し、大腿四頭筋や腹直筋が引きつることで、下腹部まで冷えが及びます。足元の防衛力(熱を生み出し守る力)は腎機能と直結しているため、腎が弱ると下半身の守りが甘くなり、こうした冷えによる張りが生じます。

  • のどがイライラしたりチクチクしたりする

耳鼻咽喉系(耳、喉、口腔内)の諸症状は、腎機能低下による影響がダイレクトに現れる場所です。熱の偏りや潤い不足が、喉の違和感としてサインを出しています。

4. 腎機能を高める究極の養生法:「食べない、飲まない、寝る」

では、弱ってしまった腎機能を高めるにはどうすれば良いのでしょうか。

腎が最も嫌うのは、強すぎる脾系(胃腸)からの攻撃、つまり「土剋水どこくすい」です。日常生活において、腎を一番傷つける行為は「過飲食(過食と糖分の摂りすぎ)」に他なりません。腎機能を低下させる最大の原因は、脾系の異常な亢進なのです。

したがって、腎機能を回復させる最高の方法は、極端な言い方をすれば「食べない、飲まない、寝ること」です。胃腸(脾)を徹底的に休ませることで攻撃を止め、横になって休息(寝る)することで自然治癒力(腎)の回復にエネルギーを集中させる。これこそが、身体の理にかなった究極の養生法と言えるでしょう。

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