吐き気・嘔吐・つわり(悪阻) ー 東洋医学の視点と鍼灸治療
武蔵小杉エリアで、つらい「つわり」に対する鍼灸治療をお探しですか? ひごころ治療院では、東洋医学の視点から「つわり」の原因にアプローチし、鍼灸でその症状を和らげるお手伝いをしています。このページでは、武蔵小杉の当院が行う「つわり」への鍼灸ケアについて詳しく解説します。
【目次】
1.吐き気・嘔吐について
・吐き気・嘔吐とは?(原因と症状)
・ 治療の基本的な考え方と東洋医学の「汗吐下和」
・吐き気・嘔吐に対するの鍼灸治療
・主要なツボ
・治療法とアプローチ
・治療時の注意点
2.つわり(悪阻)について
・つわり(悪阻)とは?(原因と症状)
・つわり(悪阻)に対する鍼灸治療
・主要なツボ
・治療法とアプローチ
1.吐き気・嘔吐について
吐き気・嘔吐とは?(原因と症状)
吐き気や嘔吐は、日常的にもよくみられる症状です。 一般に嘔吐とは、咽頭、喉頭、食道、胃、十二指腸、横隔膜や腹壁の筋肉などが急に収縮し、胃や腸の内容物が口から勢いよく吐き出される状態を指します。吐き気は、その程度が軽いものや、嘔吐しそうな不快感をいいます。 通常、吐き気に続いて嘔吐が起こることが多く、これらは身体の防御反応の一種と考えられています。
【主な原因】
吐き気や嘔吐を引き起こす原因は多岐にわたります。
- 脳への直接的な刺激
- 薬剤(モルヒネなどの麻酔薬、抗がん剤など)
- 体内に蓄積された毒素(内分泌疾患、糖尿病、つわり、尿毒症などによるもの)
- 脳の内圧の上昇(脳出血、脳腫瘍、脳炎、髄膜炎など ※これらは緊急を要する場合があります)
- 精神的な要因(心配、悩み、恐怖、ショック、神経症、乗り物酔いなど)
- その他(タバコの吸い過ぎ、アルコールの飲み過ぎなど)
- 反射的な刺激
- 胃腸の疾患(急性・慢性胃炎、胃潰瘍・十二指腸潰瘍、消化器系のがんなど)
- 感覚器系の疾患(メニエール病など)
- その他(慢性の膵臓炎、腎炎などの初期症状として現れることもあります)
【症状が現れるタイミングと疑われる疾患の例】
重要な注意点
吐き気や嘔吐が続く場合、特に原因不明であったり、激しい腹痛や高熱、頭痛などを伴う場合は、自己判断せずに速やかに医療機関を受診し、原因となる疾患を特定・治療することが最優先です。
治療の基本的な考え方と東洋医学の「汗吐下和」
有害な物質を摂取したことによる嘔吐は、身体が異物を排出しようとする生体防御反応ですので、無理に嘔吐を抑えるべきではありません。 私たちの身体には、本来、異物や不調を自ら治そうとする自然治癒力が備わっています。嘔吐もその作用の一つです。
東洋医学には、「汗吐下和」という治療の原則を示す言葉があります。 これは、病邪(病気の原因)を、
一般的に、吐き気や嘔吐がある場合は、安静と保温が大切です。症状が強い場合や改善しない場合は、専門医の診察と治療が必要です。
吐き気・嘔吐に対するの鍼灸治療
鍼灸治療では、全身の状態を把握し、関連する経穴(ツボ)を組み合わせることで、自律神経のバランスを整え、胃腸の働きを調整し、吐き気や嘔吐を和らげることを目指します。
主要なツボ
などのツボの治療が中心となります。
治療法とアプローチ
1.まず、背部の「脾兪」、「胃兪」を中心に、「膈兪」、「肝兪」、「胆兪」 などを加え、背中の緊張を緩めます。これらのツボは消化器系、特に胃腸の消化吸収機能が低下している場合に効果的です。
2.次に、喉の近くにある「気舎」を刺激します。このツボの周辺には迷走神経が通っており、「気舎」への刺激が迷走神経を介して胃の働きを活性化させ、胃痛や吐き気の改善に繋がると考えられています。
3.続いて、腹部の「中脘」、「天枢」、「巨闕」などを刺激します。肝臓や胆のうの不調による吐き気には、肋骨弓下にある「不容」というツボを肋骨の内側に向けて刺激することもあります。
4.最後に、手足のツボである「足三里」、「築賓」、「厲兌」、「合谷」などを刺激します。特に「厲兌」は、胃経から内臓を通り脳の嘔吐中枢に影響を与え、その働きを調整するとされています。
治療時の注意点
身体が冷えると吐き気が強まることがあるため、施術中は室温や身体の保温に十分配慮します。
吐き気や嘔吐に対しては、鍼治療だけでなく灸治療も非常に効果的です。上記のツボや、特に反応の強い圧痛点を選んで施灸します。
2.つわり(悪阻)について
つわり(悪阻)とは?(原因と症状)
悪阻とは、一般的に「つわり」と呼ばれる妊娠初期にみられる不快な症状群のことです。
- 主な症状
吐き気、嘔吐、唾液量の増加、食欲不振、食べ物の好みの変化、全身の倦怠感、だるさ、頭痛、眠気などが代表的です。症状の現れ方や程度には個人差が非常に大きいです。 - 時期
通常、妊娠5週目頃から始まり、多くは妊娠12週頃までに自然に落ち着いてきます。しかし、この期間を過ぎても症状が持続したり、日常生活に支障が出るほど症状が重い場合を「妊娠悪阻」と呼び、時には入院治療が必要になることもあります。妊娠悪阻の場合、通常なら吐き気が弱まるはずの頃に症状がピークに達し、ひどい場合は妊娠後期まで続くこともあります。 - 原因
現代医学では、つわりの明確な原因は完全には解明されていませんが、妊娠初期に急増するhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)などのホルモンの影響が有力視されています。また、母体の**精神的な状態(不安、ストレスなど)**も症状の程度に関与するといわれています。 - 東洋医学的な考え方
東洋医学では、妊娠に伴い、胎児を養うために「衝脈」という重要な経絡の気血の流れが大きく変化し、その影響で胃の機能(胃気)が失調し、上逆するために起こると考えられています。(体質により、脾胃虚弱、肝胃不和、胃熱上衝、痰湿阻滞など、いくつかのタイプに分類してアプローチします。)
「妊娠したときこそ鍼灸ケアを」と、その効果を実感し、積極的につわり対策としてご来院される患者様もいらっしゃいます。特につわり(悪阻)に対しては、鍼治療とともにお灸(灸治療)が非常に効果的な場合があります。
つわり(悪阻)に対する鍼灸治療
つわり(悪阻)の鍼灸治療では、主に胃の働きを整え、気の流れを調整し、精神的な安定を図るツボを使用します。
主要なツボ
治療法とアプローチ
まず、吐き気や胸のつかえ感に効果的な前腕のツボ(「郄門」、「間使」、「内関」など)に鍼や軽い刺激を加えます。これらのツボをご自身で優しく揉むだけでも、症状が和らぐことがあります。
次に、胃腸の働きを高め、身体の冷えを解消する目的で、「三陰交」、「足三里」、「曲池」などにお灸をします。(ご自宅でできる台座灸などを毎日10壮程度行うことも効果的です。)
その他、状態に合わせて腕の「陽池」、「外関」、「支溝」、「三陽絡」などにもお灸をすることがあります。
つわり(悪阻)の鍼灸治療における注意点
妊娠中の施術は、時期や状態によって使用できるツボや刺激量が異なります。必ず経験豊富な鍼灸師にご相談ください。ひごころ治療院では、妊婦さんの状態に細心の注意を払い、安全で心地よい施術を心がけています。
背部 「脾兪」、「胃兪」
腹部 「中脘」、「天枢」、「巨闕」
「期門」
喉 「気舎」
足部 「足三里」、「築賓」、「厲兌」