三叉神経痛 ー中年女性に多く見られる顔面神経痛ー鍼灸治療の効果
【目次】
1.三叉神経痛(顔の痛み)の原因と症状
2.三叉神経痛(顔の痛み)の鍼灸治療
・主要なツボ
・治療法
・治療の注意点
三叉神経痛(顔の痛み)の原因と症状
中年の、それも女性に多く見られる症状に、俗に顔面神経痛といわれる三叉神経痛があります。
痛みは頭の下から3分の2、特に右側走ることが多く、ときには額や目の周囲にも起こります。痛みが激しいと、頬から上あごまで痛み、ときには、後頭部から肩にかけて痛みが広がります。
このような発作は繰り返し起こりますが、痛みは発作が止まれば去り、普段は健康そのものであります。
三叉神経痛の初期には、ただ顔の半分に何となく鈍痛を覚えるくらいですが、症状が進んでくると、体を動かすだけで、顔から後頭部、肩にかけて、電気をかけられたような、刺すような、切るような、焼けるような痛みが起こり、口もきけず、食事もとれないといった状態になります。
痛みの発作は数分から数十分でおさまりますが、一度起こると再発しやすく、悪化すると夜も寝られなくなるので、常に不安感に襲われ、神経過敏になり、疲れ果ててしまうのがこの病気の特徴です。
三叉神経は顔の左右にあって、それぞれが三つの枝に分かれています。この神経が侵されると、顔の各部分に激しい痛みを起こします。
第1枝は、額、眉間、目、鼻筋、第2枝は、頬から上あご、第3枝は、下あご、舌、耳、こめかみを中心に分布しています。したがって、どれが異常をきたしたかによって、痛む領域が違ってきますが、一番多いのは第3枝の痛みであります。
三叉神経痛の多くは原因がよくわからず、そのため、現代医学でも厄介な病気の一つになっています。
三叉神経痛(顔の痛み)の鍼灸治療
主要なツボ
などを用います。
治療法
最初にどの枝の痛みかを調べます。
「睛明」または「攅竹」を軽く触れて激しい痛みであれば第1枝、「四白」に痛みがあれば第2枝、「下関」に痛みがあれば第3枝の神経痛です。
痛みで触れても激しい痛みを起こし、顔も洗えないといった症状のときには、まず後ろ首の治療を先に行ないます。
「天柱」、「風池」、「風門」、「肩井」などを刺激して、首や肩、背中の筋肉の緊張を緩めます。この刺激の効果で、顔に指が触れられるようになったら、次に顔の治療に移ります。
・第1枝に痛みがある場合
「睛明」、「攅竹」、「陽白」、「神庭」を刺激します。眉から髪の生え際、前頭筋のマッサージを行います。額の中心から耳の方向に、眉と並行に両手の親指を使って軽擦をして、そのあと同じ経路を親指で指圧します。これらは、前頭部、前額部、上まぶた、鼻などの痛みをとるのに有効です。
・第2枝に痛みがある場合
「四白」、「巨髎」、「地倉」を刺激します。「四白」は神経の枝が皮膚の下に出ていますのでよく刺激します。このあと、目頭から耳までと、目頭から唇の端まで、親指でくるくる回しながらマッサージをします。これらは、下まぶた、頬、上唇、上歯などに起こる痛みを緩和します。
・第3枝に痛みがある場合
「下関」、「顴髎」、「頬車」を刺激します。さらに、「大迎」、「翳風」、「天鼎」を合わせて刺激しますと効果があります。これらは、側頭部、耳の前、下唇、下歯の痛みに効果的です。
いずれの場合も、痛みを軽減する目的の「合谷」の処置をします。
三叉神経痛が重症である場合は、鍼治療が効果を示します。
治療の注意点
三叉神経痛の鍼灸治療は、神経の興奮を抑えることが目的です。マッサージをする場合は、強めに圧を加えます。また、治療期間中は、精神疲労を避け、規則正しい生活をするようにします。
顔面 「四白」、「巨髎」、「地倉」
「陽白」、「下関」、「頬車」
「睛明」、「攅竹」
横首 「翳風」、「大迎」、「天鼎」
手部 「合谷」