鼻づまり

鼻づまりを鍼灸で早急に解消する方法 ー 原因からツボ、セルフケアまで

鼻づまり

「いつも鼻が詰まって息苦しい…」
「鼻づまりで頭が重く、集中できない…」
「アレルギーなのか、季節の変わり目に鼻の調子が悪くなる…」

鼻づまりは、日常生活の質(QOL)を大きく低下させるだけでなく、睡眠不足やイライラの原因ともなるつらい症状です。

この記事では、鼻づまりが起こる様々な原因、そして東洋医学に基づく鍼灸治療によるアプローチ、ご家庭でできるセルフケアや食事のポイントまで、詳しく解説していきます。

【目次】

  1. あなたの鼻づまりはどのタイプ?~原因と様々な症状~
    • 鼻づまりを引き起こす主な原因(鼻中隔湾曲症、鼻炎、鼻茸など)
    • 鍼灸治療が特に効果を発揮しやすいケース
  2. 鼻づまりに対する鍼灸治療
  3. ご家庭でできる!鼻づまり改善のためのセルフケアと生活習慣
    • 大人向けの顔・鼻周りのマッサージ
    • お子様向けの優しいケア
    • 食べて改善 水のめぐりと粘膜を意識した食事
    • 鼻づまりの改善に関連する血流と呼吸
    • 鼻づまり解消のための生活習慣

1.あなたの鼻づまりはどのタイプ?~原因と様々な症状~

鼻づまりの原因

鼻づまりの原因は多岐にわたります。ご自身のタイプを知ることが、適切な対処への第一歩です。

  • 鼻中隔湾曲症びちゅうかくわんきょくしょう
    鼻の左右を仕切る壁である「鼻中隔」が曲がっている状態です。人間の鼻中隔は元々多少どちらかに曲がっているのが普通であり、通りに左右差があるだけであれば、特に気にする必要はありません。 しかし、その湾曲が原因となって、慢性的な鼻づまりや、副鼻腔炎、咽頭炎などを引き起こしている場合は、それらの症状に対する治療が必要となります。
  • 肥厚性鼻炎ひこうせいびえん
    鼻の粘膜が慢性的に腫れて厚くなり、常に鼻が詰まった状態になります。比較的症状が軽い場合は、身体の向きを変えることで左右交互に鼻が詰まる、といった特徴が見られることもあります。
  • アレルギー性鼻炎・花粉症
    特定の季節やハウスダストなど、アレルゲンに反応して鼻の粘膜が炎症を起こし、鼻水、くしゃみ、そして頑固な鼻づまりを引き起こします。
  • 鼻茸はなたけ・鼻ポリープ
    鼻の中にキノコのような良性のポリープができるものです。アレルギー体質の⽅に多く、非常に頑固な鼻づまりの原因となります。場合によっては耳鼻咽喉科での手術が必要になります。
  • 一時的な不調による鼻づまり
    特定の病気がなくても、身体を冷やしたり、寝不足や疲労が溜まったりすると、自律神経のバランスが乱れ、鼻がつまることがあります。

鍼灸治療が特に効果を発揮しやすいケース

上記の中でも、特にアレルギー性のもの、体質的なもの、冷えや疲労、自律神経の乱れからくる鼻づまりに対して、東洋医学に基づく鍼灸治療は優れた効果を発揮することが期待できます。 鼻中隔湾曲症や鼻茸などが原因の場合でも、それに伴う不快な症状の緩和や、手術後のケアとして鍼灸治療が役立つことがあります。

2.鼻づまりに対する鍼灸治療

鍼灸が鼻づまりに効果的な理由

東洋医学では、鼻づまりを身体全体のバランスの乱れの現れと考えます。例えば、「」の機能低下は鼻の症状と深く関連し、「」(消化器系)の機能低下は体内の水分代謝を悪化させ、鼻水の原因となることがあります。

鍼灸治療では、鼻の局所的な症状だけでなく、これらの根本的な原因にもアプローチすることで、鼻づまりの改善を目指します。

  • 関連症状の緩和
    鼻づまりに伴う頭痛、頭重感、集中力の低下といった不快な症状も同時にケアします。
  • 血行促進と消炎作用
    鼻や顔周りのツボを刺激し、血行を促進することで、粘膜の腫れや炎症を和らげます。
  • 自律神経の調整
    アレルギー反応や粘膜の過敏性に関わる自律神経のバランスを整えます。
  • 免疫機能の調整
    身体が本来持つ自然治癒力を高め、アレルギー反応を起こしにくい、あるいは感染に強い体質づくりをサポートします。

鼻づまりケアに効果が期待できる主要なツボの例

鼻づまりのタイプや体質に合わせて多くのツボを使い分けますが、代表的なものには以下のようなツボがあります。

頭部   「百会ひゃくえ」、「前頂ぜんちょう
顔面部  「曲差きょくさ」、「睛明せいめい」、「迎香げいこう
頚部   「天柱てんちゅう」、「風池ふうち
背部   「大椎だいつい
足部   「飛陽ひよう」、「崑崙こんろん

具体的な鍼灸治療法とアプローチ

  1. まず、頭部や顔面部のツボにアプローチします。
    • 迎香」は小鼻のすぐ横にあるツボで、その名の通り「香りを迎える」という意味があり、鼻の通りを良くし、嗅覚を正常にする効果が期待できる特効穴です。
    • 百会」や「前頂」は、鼻づまりによる頭痛や頭重感を軽減するのに役立ちます。
  2. 次に、足のツボも用います。
    • 足の外くるぶしの上にある「飛陽」と、外くるぶしのすぐ後ろにある「崑崙」は、中国の医学古典に「太陽の頭痛は外くるぶしでとる」とあるように、特に頭痛や頭重感を伴う鼻づまりによく用いられます。
    • ポイント
      詰まっている鼻と同じ側の足のツボを処置すると、効果が高まることがあります。
  3. 体質に合わせたアプローチ:
    • アレルギー体質が関与している場合は、首の付け根近くにある「大椎」への処置が重要になります。
    • いわゆる虚弱体質虚証であれば、腰の「腎兪じんゆ」、「志室ししつ」や、足の「太渓たいけい」などで生命エネルギーを補います。
    • お腹の調子が悪い場合は、「中脘ちゅうかん」、「天枢てんすう」で胃腸を整えます。

これらのツボへの指圧でも効果が期待できる場合がありますが、十分な反応が得られない場合は、鍼灸治療がより効果的です。お灸であれば、1カ所に米粒の半分程度のもぐさを3壮ずつ、症状が改善するまで毎日、または定期的にすえます。

治療を受ける上での注意点

  • 急性鼻炎や慢性鼻炎などで鼻汁が多く不快な場合は、「身柱しんちゅう」、「風門ふうもん」、「大杼だいじょ」、「天柱」、「顖会しんえ」、「曲池きょくち」、「足三里あしさんり」、「迎香」といったツボに刺激を加えると、著しい効果が見られることがあります。
  • この場合、「天柱」、「顖会」、「迎香」には鍼治療が、その以外のツボにはお灸が特に効果を発揮しやすいとされています。

3.ご家庭でできる鼻づまり改善のためのセルフケアと生活習慣

鍼灸治療と合わせて、ご家庭でもできるセルフケアを取り入れることで、症状の早期改善や再発予防に繋がります。

大人向けの顔・鼻周りのマッサージ

  • 鼻翼(小鼻)から口角へのマッサージ
    両手の中指の腹を使い、小鼻の横(迎香のあたり)から口の両端(地倉のあたり)に向けて、軽く圧を加えながらゆっくりと50回程度マッサージします。
  • 小指の爪もみ
    両手の小指の爪の生え際(両角)を、反対の手の親指と人差し指で挟むようにして、少し痛みを感じる程度に10秒ほど揉みます。これを数回繰り返します。東洋医学では小指は鼻と関連する経絡が通っているとされ、刺激することで鼻の症状改善が期待できます。
  • 額叩きと鼻マッサージ
    1. 正座または椅子に腰かけた状態で、顔を少し上向きにします。
    2. 軽く握ったこぶしで、額の中央(神庭や印堂のあたり)を、トントンと心地よい強さで20回程度叩きます。
    3. その後、両手の人差し指や中指の腹で、鼻の両脇(鼻筋に沿って)を下から上に向かって優しくマッサージします。

【ポイント】 これらのセルフケアは、毎日根気よく続けることが大切です。ただし、痛みを感じるほど強く行ったり、炎症が強い時に無理に行ったりするのは避けましょう。

お子様向けの優しいケア

幼児の場合は、首の後ろ「天柱」あたりを、保護者の方が指で軽くつまんだり、その部分の髪の毛を優しく引っ張ったりする程度の軽い刺激でも、鼻の通りが良くなるなど十分な効果が出ることがあります。

食べて改善 水のめぐりと粘膜を意識した食事

鼻づまりの解消には、体内の余分な水分を排出し(すいのめぐりを正し)、鼻の粘膜を保護・強化する作用のある食材がおすすめです。身体を冷やさないことも大切です。

食べて改善
  • 水のめぐりを改善する食材例
    大根、タケノコ、玉ねぎ、にんにく、パセリ、梅、アサリ、昆布やワカメなどの海藻類など
  • 粘膜を保護・強化する食材例
    のり、ヨーグルト(腸内環境を整える観点から)、レンコン、山芋など

鼻づまりの改善に関連する血流と呼吸

鼻腔内の血流が改善されることは、鼻づまり解消において非常に重要です。血行が促進されることで、炎症物質や余分な水分が排出されやすくなり、粘膜の腫れが引いて鼻の通りが良くなります。鍼灸治療は、ツボ刺激を通じて血管を拡張させ、血流を促進する効果が期待できます。

また、鼻呼吸が困難な状態では、口呼吸になりやすく、喉の乾燥や免疫力の低下を招く可能性があります。鍼灸治療によって鼻の通りが改善されることで、自然な鼻呼吸を促し、呼吸器系全体の負担を軽減することにも繋がります。

鼻づまり解消のための生活習慣

  • 呼吸を助ける生活環境
    室内の湿度を適切に保つ(加湿器の使用など)、こまめな換気、空気清浄機などでアレルゲンを除去する。
  • 食事の注意点
    冷たい飲食物や刺激物、乳製品(鼻水を増やしやすい場合がある)などを控え、身体を温める食事を心がける。
  • ストレス管理
    ストレスは自律神経を乱し、免疫力を低下させます。リラックスできる時間を持ちましょう。

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