指のしびれ・白ろう病の原因と鍼灸治療 ー 首の骨からくる神経圧迫、血行不良の影響とは

「指先がジンジンする…」
「手がこわばって動かしにくい…」
「もしかして、この指の冷たさや白さは病気…?」
指のしびれは、日常生活で比較的よく経験する不快な症状の一つですが、その背後には様々な原因が隠れていることがあります。また、特定の作業環境などによって起こる「白ろう病」のように、専門的なケアが必要なケースも存在します。
この記事では、指のしびれの主な原因と症状、そして東洋医学に基づく鍼灸治療がどのようにこれらの問題にアプローチするのか、さらには白ろう病についても詳しく解説していきます。
【目次】
1.指のしびれ:その原因と多様な症状
指のしびれを引き起こす主な3つの原因

指のしびれは、その大部分が以下の3つの原因に要約できると考えられています。
- 首の骨(頚椎)の軽い変形による神経根の圧迫
- 首の骨(頚椎)から枝分かれした神経は、椎骨と椎骨の間を通って外に出て、首から腕、そして指先へと繋がっています。この神経の通り道のどこかで障害(圧迫など)が起こると、痛みやしびれが生じます。
- 最も多いのは、頚椎周辺での障害が原因となるもので、頚椎椎間板症や変形性頚椎症などがこれにあたります。
- どの指にしびれが出るかは、圧迫されている神経の高さによって傾向があります。
- 第5・第6頚椎の変形:親指と人差し指にしびれが出やすい
- 第6・第7頚椎の変形:中指にしびれが出やすい
- 第7頚椎・第1胸椎の変形:薬指と小指にしびれが出やすい
- 首や肩の筋肉の過度な緊張による血管の圧迫
- 首の横から肩にかけての筋肉(特に胸鎖乳突筋や斜角筋など)がひどく凝り固まっていると、これらの筋肉の下を通っている、心臓から指先へ向かう主要な血管(鎖骨下動脈など)が圧迫され、指先への血流が悪くなり、しびれが生じることがあります。
- 貧血による末梢血行不良
- 上記②と似た現象ですが、貧血が原因で指先への血液循環が悪くなり、しびれが起こる場合があります。この場合、首の付け根や肩のコリが強く、指先が冷えていることが多いです。腕を上げた時に手首の脈が弱くなることで判断の一助となることもあります。
放置は禁物?指のしびれと関連する可能性のある疾患
指のしびれの多くは、上記のような頚椎の問題や筋肉の緊張、血行不良が原因(特に加齢によるものが多い)ですが、中には以下のような病気が背景にある可能性も否定できません。
- 脳血管障害(脳梗塞、脳出血など)の初期症状や後遺症
- 脊髄の病気(頚椎症性脊髄症、脊髄腫瘍など)
- 動脈硬化症
- 糖尿病性神経障害
- 手根管症候群、肘部管症候群などの末梢神経障害
- 胸郭出口症候群
専門医による診断の重要性
指のしびれが続く場合や、急に強いしびれが現れた場合、他の症状(麻痺、ろれつが回らないなど)を伴う場合は、自己判断せずに必ず速やかに医療機関(整形外科、神経内科、脳神経外科など)を受診し、専門医による正確な診断を受けることが非常に重要です。 原因となっている疾患によっては、早期の専門的な治療が必要となる場合があります。
2.指のしびれに対する鍼灸治療
ひごころ治療院では、丁寧なカウンセリングと東洋医学的診断に基づき、指のしびれの根本原因を見極め、症状の緩和と体質改善を目指した鍼灸治療を行います。
鍼灸が指のしびれに効果的な理由
- 筋緊張の緩和
鍼や灸の刺激により、しびれの原因となっている首や肩、腕の凝り固まった筋肉を深部から緩めます。 - 血行促進
圧迫されていた血管の周囲や、血流が悪くなっている部位の循環を改善し、神経や組織への酸素・栄養供給を促します。 - 神経機能の調整
圧迫や炎症によって過敏になっている神経の興奮を鎮め、正常な感覚を取り戻すよう働きかけます。 - 痛みの軽減
しびれに伴う痛みを和らげる効果も期待できます。 - 自律神経のバランス調整
全身のバランスを整えることで、血行不良や冷えの改善をサポートします。
指のしびれケアに効果が期待できる主要なツボの例
しびれている指や原因によって使用するツボは異なりますが、代表的なものには以下のようなツボがあります。
原因別・具体的な鍼灸治療法
- 首の骨(頚椎)の軽い変形からくる指のしびれの場合:
- 主に、後ろ首の「ぼんのくぼ(後頭部のくぼみ)」から肩先の高さまでの頚椎周辺を中心に、関連するツボ(例:「天柱」、「風池」、頸部の夾脊穴など)を選んで治療を行います。頚椎の並びや可動性を整え、神経の圧迫を軽減することを目指します。
- 首の付け根から横首、肩にかけてのコリからくるしびれの場合:
- 患部の血流改善を主な目的とし、首の横にある「天鼎」、鎖骨の上のくぼみにある「欠盆」、わきの下の「極泉」、首の前側にある「気舎」などのツボを中心に治療を行います。
- 施術後には、腕をグルグルと回したり、曲げ伸ばししたりする軽い運動を行っていただくことで、さらに血行が促進されやすくなります。
- 貧血が原因で起こる指のしびれの場合:
- 何よりもまず貧血自体の改善(食事療法や医療機関での治療)が第一ですが、鍼灸治療では、それに合わせて前腕部のツボを中心に選び治療します。指先から手首、そして手首から腕の付け根への血流を促すようにアプローチします。
- 手首の「神門」、「内関」、肘の近くにある「曲沢」、「尺沢」などが中心的なツボとなります。
鍼灸治療後の注意点と日常生活のアドバイス
- いずれの症状の場合も、手の甲の「陽池」や「合谷」といったツボを治療に加えると、効果が一層高まることが期待できます。指のしびれに対して、鍼灸治療は大変有効なアプローチの一つです。
- 施術当日は、激しい運動や長時間の入浴、アルコールの摂取は控え、身体をゆっくり休ませてください。
- 日頃から首や肩を冷やさないように注意し、適度なストレッチや運動を心がけましょう。
- 長時間の同じ姿勢(デスクワーク、スマホ操作など)を避け、こまめに休憩を取り、姿勢を変えるようにしましょう。
- 症状が改善しても、再発予防のために定期的なメンテナンス治療を受けることをお勧めします。
3.特殊な指のしびれ・冷え:白ろう病(振動障害)について
白ろう病とは?その原因と特徴的な症状
白ろう病は、チェーンソーや削岩機、グラインダーといった振動の激しい工具を長期間使用する作業者に多発する職業性の疾患で、「振動障害」とも呼ばれます。 主な症状としては、
- 手や指が蒼白になる(レイノー現象)
- しびれ感、冷感、痛み が発作的に起こり、進行するとこれらの症状が持続的に現れるようになります。 さらに、手指の関節炎や腱鞘炎、握力低下、巧緻運動障害(細かい作業がしにくくなる)なども起こることがあります。
原因は、持続的な振動刺激による脳の血管運動中枢の失調や、末梢神経の炎症・障害などが考えられていますが、まだ完全に解明されてはいません。
ある温泉病院では、この白ろう病に対して鍼灸によるツボ治療が積極的に取り入れられ、良好な治療成績を上げているという報告もあります。 白ろう病に対する鍼灸治療では、単に症状が出ている手足だけでなく、全身の血流を改善し、体力と体調を総合的に整える、いわば「変調療法」を行うことが重要になります。
白ろう病に対する鍼灸治療と体質改善
治療のポイントとなる主要なツボ
白ろう病の治療では、全身のバランスを整え、血行を促進し、神経機能を調整する目的で、以下のツボがポイントとなります。
鍼・灸・マッサージを組み合わせたアプローチ
特に東洋医学で「腎」と関連が深いとされる「腎兪」、「肓兪」、「太谿」といったツボは、古来より「腎は人間の先天の元気が宿る場所」として、乱れた体調を回復・調整する上で非常に重要な働きをすると考えられています。
これらのツボへの刺激は、鍼治療やお灸だけでなく、マッサージや指圧を併せて行うことで、相乗効果が期待でき、より良い結果を得やすくなります。 ひごころ治療院では、お一人おひとりの状態に合わせて、これらの治療法を効果的に組み合わせ、つらい症状の緩和と根本的な体質改善を目指します。
4.ひごころ治療院でのご相談
指のしびれや白ろう病でお悩みの方は、諦めずにぜひ一度ひごころ治療院にご相談ください。 東洋医学的な視点から、あなたの症状の根本原因を探り、鍼灸治療を中心としたオーダーメイドの施術プランをご提案いたします。 薬だけに頼らない、身体に優しいアプローチで、つらい症状からの解放と、健やかな毎日を取り戻すお手伝いをさせていただきます。