症状
指のしびれは、大部分のものは次にあげる三つの原因に要約できます。
一つ目に、首の骨の軽い変形で、指先に通じる神経の根元が圧迫された場合であります。頚髄から枝分かれした神経が、頚椎の椎骨と椎骨の間から外に出て、首、腕、手をめぐる神経になりますが、この神経の経路のどこかに障害があると、痛みやしびれが起きます。最も多いのが、頚椎周囲での障害が原因となるもので、頚椎椎間板症、変形性頚椎症などがそれにあたります。そのうち、5・6番目の頚椎に変形があれば親指と人差し指、6・7番目の頚椎の変形ならば中指、7番目の頚椎と1番目の胸椎にかけてなら薬指と小指にしびれが起きやすくなります。
二つ目に、横首から肩にかけて、特に胸鎖乳突筋や斜角筋にコリがひどいとき、この筋肉の下を通っている心臓から手先の血管、つまり鎖骨下動脈が圧迫されて、血のめぐりが悪くなっている場合であります。
三つ目に、二つ目の場合とよく似た現象でありますが、貧血症が原因で手先の血のめぐりが悪くなる場合であります。首のつけ根、くびから肩のコリが強く、指先が冷えてしびれます。この場合は、腕を上げたときに手首の脈が弱くなることで判断できます。
指のしびれで多い原因は一つ目で、老化によるものが大部分であります。しかし、脳の障害、脊髄の病気、動脈硬化症、糖尿病などによって指先がしびれることもありますので、一応医師の診断を仰いだほうがよいでしょう。
鍼灸治療
主要なツボ
首横 「天鼎」
鎖骨 「欠盆」
腕部 「極泉」、「曲池」、「陽池」、「曲沢」、「尺沢」、「内関」、「神門」
手部 「合谷」
などがポイントとなるツボです。
治療法
一つ目の、首の骨の軽い変形からくる指のしびれは、後ろ首のぼんのくぼから、肩先の高さまでの頚椎中心に、ツボを選択して治療をします。
二つ目の、首のつけ根から横首、肩にかけてのコリからくるしびれは、患部の血流改善を目的に、「天鼎」、「欠盆」、「極泉」、「気舎」などのツボを中心に治療をします。施術後、腕をグルグル回したり、屈曲させたりする運動を行います。
三つ目に貧血症が原因で起こる指のしびれは、なにより貧血症を治すのが第一ですが、あわせて、前腕部のツボを選び治療します。指先から手首までの経路、そして、手首から腕の付け根の治療を行います。「神門」、「内関」、「曲沢」、「尺沢」などのツボが中心になります。
メモ
いずれの症状も、「陽池」、「合谷」を加えますと、いっそう効果があります。指のしびれには、鍼灸治療が大変有効であります。
白ろう病
チェーンソーなど振動の激しい工具の長期使用者に多発する病気で、手や指が蒼白になり、しびれ、冷え、痛みが発作的に起こり、やがて持続的あらわれるようになり、関節炎や腱鞘炎も起こるようになります。
原因は、持続性の振動による脳血管運動中枢失調や神経炎によると考えられていますが、確定的ではありません。
さる温泉病院では、この白ろう病に対して鍼灸によるツボ治療が取り入られて、好成績を上げています。
白ろう病のツボ療法は、なによりも手足の血流を改善して、体力と体調を整える、いわば変調療法を行わなければいけません。
ポイントとなるツボは、
頭部の 「百会」
背腰部の 「厥陰兪」、「肝兪」、「脾兪」、「腎兪」
腹部の 「巨闕」、「中脘」、「肓兪」、「関元」
足の 「足三里」、「三陰交」、「太渓」
手の 「合谷」、「内関」
であります。
特に、腎経に属する「腎兪」、「肓兪」、「太谿」は、古来「腎の臓は人間の先天の元気が宿る」として、乱れた体調を回復調整する重要な働きをしています。
これらのツボ刺激方法は、鍼灸治療とマッサージや指圧をあわせて行うとよい効果を得られます。
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