腕の神経痛

腕神経痛の原因と鍼灸治療 ー つらい腕の痛み・指先のしびれに対処

腕の神経痛

「腕や指先に、ピリピリとした痛みが走る…」
「原因不明の腕のだるさやしびれが取れない…」
「これってもしかして、首から来ているの?」

そのつらい症状、もしかしたら腕神経痛わんしんけいつうかもしれません。

腕神経痛とは、首から腕、そして指先へと伸びる神経の通り道で、何らかの障害が起こり、痛みやしびれを引き起こす症状の総称です。

この記事では、腕神経痛がなぜ起こるのか、その原因と症状のタイプ、そして東洋医学に基づく鍼灸治療によるアプローチについて詳しく解説します。また、お子様に多い「肘内障(ひじぬけ)」についても触れていきます。

【目次】

  1. 腕神経痛とは?~その原因と症状のタイプ~
    • 腕へ向かう3本の神経と痛みの特徴
    • 腕神経痛の主な原因
  2. 腕神経痛に対する鍼灸治療
  3. 【お子様の腕のトラブル】肘内障(ひじぬけ)とは?
    • 肘内障の原因と症状
    • ご家庭で知っておきたい対処法の知識
腕に痛みがある人

1.腕神経痛とは?~その原因と症状のタイプ~

腕へ向かう3本の神経と痛みの特徴

私たちの腕や手へ向かう神経は、主に首の骨(第4頚椎~第1胸椎)の間から出て、わきの下を通り、上腕、前腕へと走行しています。そして、指先に向かって大きく3本の神経に分かれます。

  • 橈骨神経とうこつしんけい
    親指側を走る神経
  • 正中神経せいちゅうしんけい
    手のひらの中央を走る神経
  • 尺骨神経しゃっこつしんけい
    小指側を走る神経

腕神経痛とは、これらの神経の通り道に沿って、発作的に、そして繰り返し起こる激しい痛みを指します。多くの場合、神経自体に病理学的な変化は見られません。 どの神経に問題が起きているかによって、痛む場所が異なります。

  • 橈骨神経痛
    主に、上腕の後ろ側から外側、そして手の甲や親指側に痛みやしびれが現れます。
  • 正中神経痛
    主に、上腕から前腕、そして手のひらの中央に向かって走るような痛みやしびれが現れます。(手根管症候群もこれに含まれます)
  • 尺骨神経痛
    主に、前腕の小指側に痛みやしびれが現れます。(肘部管症候群もこれに含まれます)

腕神経痛の主な原因

腕神経痛は、中年以上の方に多く、いわゆる頚腕症候群けいわんしょうこうぐんの一症状として現れることが非常に多いです。 頚椎の変形(変形性頚椎症)、椎間板の問題(頚椎椎間板ヘルニア)、首や肩周りの筋肉の過度な緊張などが、神経の根元や通り道を圧迫・刺激することで発症します。

【重要】 腕や指のしびれ・痛みは、様々な原因によって引き起こされます。自己判断せず、まずは整形外科や神経内科といった専門の医療機関を受診し、正確な診断を受けることが大切です。その上で、鍼灸治療を検討されることをお勧めします。

2.腕神経痛に対する鍼灸治療

鍼灸が腕神経痛に効果的な理由

  • 神経圧迫の緩和
    鍼や灸で、神経を圧迫している首や肩、腕の深層筋の緊張を直接緩めます。
  • 血行促進
    滞っている患部の血流を改善し、神経に栄養と酸素を供給し、組織の修復を促します。
  • 鎮痛・消炎効果
    鍼刺激により、痛みの伝達を抑制したり、炎症を鎮めたりする効果が期待できます。
  • 自律神経の調整
    痛みによるストレスや、自律神経の乱れからくる不調を整えます。

症状・神経タイプ別の主要なツボ

痛む神経の経路に沿って、以下のツボを中心に施術します。

  • 橈骨神経痛なら
    肩  「肩髃けんぐう
    上腕 「臂臑ひじゅ
    肘  「曲池きょくち
    前腕 「手三里てさんり」、「温溜おんる」、「陽渓ようけい
       「外関がいかん
  • 正中神経痛なら
    肘  「曲沢きょくたく
    前腕 「郄門げきもん」、「内関ないかん
  • 尺骨神経痛なら
    肘  「少海しょうかい
    前腕 「神門しんもん

具体的な鍼灸治療法とセルフケア

  1. 首周りの緊張緩和(前処置)
    腕へ向かう神経は首の骨から出ているため、治療効果を高めるために、まずホットパック蒸しタオルで首をゆっくりと温めます。これにより、首周りの靭帯や筋肉を緩め、治療の準備をします
  2. 神経の経路に沿ったツボへのアプローチ
    痛む神経の経路(橈骨・正中・尺骨)を特定し、上記で挙げたような関連するツボに、鍼や灸で的確な刺激を加えます。
  3. セルフケアとしての温熱療法
    ご家庭でも、蒸しタオルなどで腕全体を包み、痛む経路に沿ってヘアドライヤーの温風を当てながら優しくマッサージするのも、痛みを和らげるのに役立ちます。(火傷には十分ご注意ください。)

治療を受ける上での注意点

  • けん引や体操の併用
    症状によっては、専門家による頚椎の徒手けん引や、肩や腕の軽い体操を組み合わせることで、より高い効果が期待できる場合があります。
  • 根本原因へのアプローチ
    ひごころ治療院では、腕の症状だけでなく、その根本原因となっている可能性のある首や肩、背中の状態も丁寧に診て、全身のバランスを整える治療を心がけています。

3.【お子様の腕のトラブル】肘内障(ひじぬけ)とは?

肘内障の原因と症状

肘内障ちゅうないしょうは、よちよち歩きから幼稚園くらいまでの小さなお子様によく見られる肘の亜脱臼で、俗にいう「手が抜けた」状態です。

  • 原因
    保護者の方とお子様が手をつないで歩いている時などに、お子様が急にぶら下がったり、転びそうになって腕を強く引っ張られたりした際に、肘の靭帯から骨の一部(橈骨頭)がはずれかかることで起こります。
  • 症状
    子どもは急に泣き出し、痛がる方の腕をだらりと下げて動かさなくなります。肘を触られるのを嫌がりますが、肘自体に明らかな腫れや変形は見られないことが多いです。

ご家庭で知っておきたい対処法の知識

肘内障は、正しい方法で整復すれば、その場ですぐに治ることがほとんどです。もしもの時のために、整復法を知っておくと安心ですが、ご自身で行うのが不安な場合は、すぐに整形外科や整骨院、あるいは経験のある小児科を受診してください。

【徒手矯正法の一例】
これはあくまで知識としての一例です。実践には専門家の指導を推奨します。

  1. まず、お子様の前に座り、痛がる方の手首を片手で外側から優しく持ちます。
  2. もう一方の手の親指の腹を、痛がっている肘の内側(少し曲げた時にくぼむあたり)に素早く当てて、軽く支えます。
  3. 手首を支えている手で、お子様の肘を少し曲げながら、手のひらを上に向けるように腕を外側にひねります。

この時、肘を押さえていた親指に「ポコッ」または「ブチュッ」というような、骨がはまる感覚が感じられれば、それで治ったことになります。整復されると、子どもはすぐに腕を動かし始めます。 痛むときは、お子様は肘を触られるのを非常に嫌がりますので、できるだけ早く処置することがポイントです。

腕の痛みやしびれ、お子様の腕のトラブルなど、原因が分からず不安な症状でお悩みの方は、ぜひ一度ひごころ治療院にご相談ください。 東洋医学的な視点からあなたの身体を丁寧に診させていただき、最適なアプローチをご提案いたします。

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