口内炎の原因 ー東洋医学のアプローチと鍼灸治療
症状
口内炎というのは、歯茎、舌、唇、口角など口腔粘膜全体の炎症の総称の総体で、その症状によって、アフタ性、カタル性、潰瘍性、中毒性、アレルギー性などの分けられます。
それぞれの粘膜に、痛みを帯びた白い斑点ができることがよくありますが、これがアフタ性口内炎で、最も多くみられます。再発性のもので、一度治っても体の調子によって何度でも再発します。かかるのは女性に多く、初めて発症するのは20才前後です。その後、数年から十数年繰り返し再発します。
初期の症状はそれほどひどくなく、1週間前後で治るものが多いですが、数年たってからできるものは直径2cmくらいの大きな潰瘍があり、口の中だけではなく、のどまで荒れる場合もあります。このような大きな潰瘍は、治癒に1ヶ月以上もかかり、その間、痛みがひどくて食事も思うようにできないという日が続き、精神的にも苦痛になります。
また、口の中の広い部分の粘膜が白く濁ったり、赤く腫れたり、口の中が荒れたりするカタル性口内炎と呼ばれ、歯茎が腫れ、口臭がひどく、口中が焼けるような不快感があるのが潰瘍性口内炎であります。
口内炎を全治させるには、何よりも原因をはっきりさせることであり、医師にかかり、早くその原因となっている病気を治療すれば自然に治りますが、口内炎の多くは原因がはっきりしないというのが実態のようであります。
東洋医学では、口の中や周囲にできる潰瘍のようなものは消化器系の異常による症状であると考えます。言い換えれば、胃腸が丈夫であれば、口や唇、舌のいろいろな病気が起こりにくくなる、という立場に立って鍼灸治療を行います。
アフタ性炎症
直径1~10ミリの輪郭がはっきりした円形の病変が唇の粘膜や歯茎、舌の縁などに1個あるいは数個できる。
カタル性炎症
粘膜の滲出性炎症。粘液の分泌が亢進し、著明な粘膜上皮の剥離が起きる。
鍼灸治療
主要なツボ
顔面部 「地倉」、「廉泉」、「巨髎」、「下関」
のど元 「天突」
腹部 「中脘」、「天枢」
背部 「大椎」、「肝兪」、「脾兪」、「胃兪」
手部 「曲池」、「合谷」
足部 「足三里」、「三陰交」
などがポイントのなるツボです。
治療法
顔面部の治療から行います。「地倉」は、口内炎、口角炎、舌炎、胃の悪いときに出てくる症状に欠かせないツボです。「下関」は口の炎症による痛みをとり、「天突」は食道の機能を整えます。
次に、腹部の治療に移ります。「中脘」、「天枢」などで、胃腸の働きを促します。
背中の治療は、「大椎」をしっかりと刺激します。「大椎」は胃腸障害に効果のあるツボで、アレルギー体質の人は、このツボを軽く押すか、叩くかで極めて敏感に響く、というツボであります。
また、「肝兪」、「脾兪」、「胃兪」の背骨を中心とした6つのツボは、いわゆる「胃の六ツ灸」として、胃腸の働きを整えるのに特効があります。
手足のツボは、胃や脾の臓(膵臓)の機能を整えます。
メモ
口内炎や舌荒れには、鍼灸治療がきわめて有効であります。特に灸は、「廉泉」、「天突」、「中脘」、「脾兪」などの対象にして、米粒大のもぐさを1カ所に3~5壮施灸しますと回復を高めます。
家庭でもお腹のマッサージを…
胃腸の調子が悪いと、よく口内炎を起こしがちになります。このような場合は、家庭でもみぞおちとへその真ん中にある「中脘」をよく指圧したあと、へそに向かってマッサージをします。円を描くようにするのがコツです。時間は3分くらいで、毎日行うと病状が早くよくなります。
体からのSOS
口の中に白い斑点や膜がある・・・口腔がん
口の中に炎症が起き、赤くはれて破れて痛みを伴う。これはよくある口内炎ですが、正確にはアフタ性口内炎といい、潰瘍の一種になります。アフタ性口内炎は疲れやストレス、栄養不足でできやすいとされ、1~2週間で自然に治るものがほとんどです。
一方で、口や舌の粘膜に白い斑点や膜ができ、こすってもとれないものがあります。これは口内炎ではなく、口腔がんの前兆ともいわれる白板症です。がん化のリスクはこちらのほうが断然高いといわれています。
白板症は口内炎に似ていますが、潰瘍になっておらず、最初はそれほど痛みもありません。ただ、なかなか治らないのが特徴で、その分、修復が繰り返されてがん化しやすいです。白板症は、口内のダメージを受けやすい場所に起こります。歯並びや歯の詰め物が原因でその部分がいつもこすれていたり、頬の内側の同じ部分を噛む癖があったりすると、発症してしまいます。歯の不具合で、いつも同じ場所に白板症ができる人は、ぜひ歯医者に行って歯の調整をしましょう。
口腔がんはかなり進行してから見つかるケースも多く見受けられます。口の中の異変は、意外と気づきにくいからです。特に、痛みのない白板症の場合はなおさら気づきにくいといえるでしょう。
早期発見のためにお勧めすることは、定期的に口の中を動画で撮影することで、気になる部分が見つかれば、ただちに医師に相談し、検査をしましょう。
口腔がんになりますと、しみたり、痛んだりします。その部分を避けようとすると、舌の動きが悪くなったり、しゃべりづらかったり、出血して口の中で血の味がすることがあります。口の中がおかしいなと思うことが続きましたら、口内炎だとあなどらずに、必ず専門医に診てもらうようにしましょう。
何科に行くべき?
歯科/口腔外科/耳鼻咽喉科
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