肝臓の疲れの症状 ー 東洋医学による治療法と体質改善
「しっかり寝ているはずなのに、疲れがとれない…」
「いつも身体がだるくて、やる気が出ない…」
その頑固な疲労感、もしかしたら「肝臓の疲れ」が原因かもしれません。この記事では、「沈黙の臓器」とも呼ばれる肝臓が発するSOSサイン、特に「疲れ」との関係性について、そして東洋医学に基づく鍼灸治療がどのようにその機能をサポートし、体質改善を目指すのかを詳しく解説します。
【目次】
1.体からのSOSサイン 「寝ても疲れがとれない」のは肝臓の疲れかも?
肝臓は身体の「ゴミ処理工場」
前日の疲れは、通常、質の良い睡眠によってリセットされるはずです。しかし、しっかり睡眠時間をとっているにも関わらず、朝から疲れが残っている、日中もずっとだるいと感じるなら、それは疲れを処理する身体のシステムに問題が生じているサインかもしれません。
体内の疲労物質や老廃物の処理に大きな役割を果たしているのが肝臓です。 肝臓は、身体中から集められた様々な“ゴミ”を分解し、解毒する、いわば巨大なゴミ処理工場です。 私たちは食事でエネルギーを取り入れ、活動してそれを消費し、その結果として老廃物という“ゴミ”を出します。肝臓を酷使しすぎると、このゴミの処理が追いつかなくなり、処理しきれなかったものが体内に少しずつ蓄積していきます。そうして、疲れやだるさ、関節痛、精力減退といった様々な不調が現れてくるのです。
肝臓の疲れが引き起こす不調と病気のリスク
肝臓をフル稼働させ続ける生活を放置すれば、いつかはパンクして、肝炎や脂肪肝、肝硬変、そして肝臓がんといった深刻な病気へと進行する可能性があります。 「寝ても疲れがとれない」と感じるなら、それは身体からの重要なSOSサインと捉え、積極的に肝臓を休ませる必要があります。
2.肝臓の不調に対する鍼灸治療
東洋医学で考える「肝」の重要な役割
東洋医学には、「肝腎要」という言葉があるように、人間の内臓の中でも「肝」と「腎」の機能を、治療における非常に大切な目安としています。
東洋医学でいう「肝」は、現代医学の解剖学でいう肝臓そのものとは少し異なり、より幅広い役割を持つと考えられています。 例えば、自律神経や感情のコントロール、血液の貯蔵といった働きに加え、全身の筋肉の働きも司るとされており、身体の機能を調整する重要な臓腑の一つです。 また、「肝胆相照らす」という言葉の通り、「肝」と「胆(胆のう)」は、互いに補い合って健康を保つ機能(表裏一体の関係)を果たしていると考えます。
鍼灸治療の目的 全身のバランス調整
東洋医学に基づく鍼灸治療は、病気そのものを直接攻撃するのではなく、病に悩む「人」そのものを診ることを前提としています。 「肝臓病」の場合も、肝臓という臓器そのものにある病的な変化よりも、患者様の自覚症状や身体全体のバランスの乱れに焦点を当てます。そして、患者様の体力や抵抗力を高め、身体が本来持つ回復力を引き出すことを目指します。
治療においては、「肝」と「腎」、さらに「肝」と「胆」の機能的な関連性を重視し、これらの働きと関係が深い経穴(ツボ)を選択してアプローチします。 特に、慢性化し、一進一退をたどるような症状に対して、このような全身的な視点からのアプローチは非常に適していると考えられます。
症状緩和に効果が期待できる主要なツボの例
肝臓の機能低下に伴う症状の緩和や体質改善には、以下のツボがポイントとなります。
具体的な鍼灸治療法(お灸を中心としたアプローチ)
肝臓の機能低下のケアには、身体を芯から温め、内臓の働きを活性化させる**お灸(灸治療)**が特に効果的です。
お灸の進め方(一例)
上記のツボの中から、その方の状態に合わせて最適なポイントを選び、透熱灸として米粒大のもぐさを1カ所に3~5壮すえます。これを1日1回、3週間続け、その後1週間休むといったサイクルで、回復するまで根気よく続けるのが理想的です。熱さがマイルドな知熱灸でも十分な効果が期待できます。
3.肝臓を休ませるためのセルフケアと生活習慣
鍼灸治療と合わせて、日々の生活で肝臓をいたわることが、根本的な改善には不可欠です。
- 肝臓を休ませるコツは、必要以上に仕事を与えないことに尽きます。
ひごころ治療院では、あなたの「取れない疲れ」の原因を東洋医学的な視点から丁寧に見極め、最適な治療法とセルフケアをご提案します。長引く不調でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。