不妊症

不妊症とは

不妊症とは

【目次】

1.不妊症について
2.西洋医学での不妊の治療
 ・人工授精
 ・体外受精・顕微授精・凍結融解胚移植
3.授からない原因は体の冷え
4.不妊でお悩みの方へ
5.鍼灸治療について

不妊症について

WHO1による不妊症の定義は、「避妊をしていないにもかかわらず2年以上妊娠しない状態」とされています。通常、夫婦の90%以上が2年以内に妊娠する事実に基づいています。過去に妊娠経験がない場合を「原発性不妊」、一度妊娠したことがあるがその後2年以上妊娠しない場合を「続発性不妊」と呼びます。

不妊症の原因は女性側が約5割男性側が約3割、その他原因不明が約2割です。男性の原因としては精子の数が少ない、または元気がないことが多く、まれに無精子症があります。女性の原因は子宮内の血液循環が悪く、ホルモン分泌が不十分であることが多いです。黄体機能が悪い場合、子宮内膜の状態が悪く、受精卵が着床しにくくなります。

西洋医学での不妊の治療

人工授精

西洋医学での不妊の治療は不妊の原因を取り除いたり、人工的に受精させたりする医療技術であります。

人工授精は、男性の性液を細いチューブを使って女性の膣や子宮内に注入し、自然な受精を待つ方法です。精液中の精子の数や運動能力に問題がある場合に有効で、数の限られた健康な精子を無事子宮まで送り出すことができます。人工授精では、精子が無事卵管の端まで行きますが、卵と受精できるか保証はありません。子宮に注入したあとは神のみぞ知る領域になります。

体外受精・顕微授精・凍結融解胚移植

近年、広く応用されるようになっている不妊治療が、生殖補助医療(Assisted Reproductive Technology:ART)であります。

体外受精と顕微授精、さらにこれらの方法で複数の胚が得られた場合、余剰胚を凍結保存し、凍結後に移植する凍結融解移植などをまとめてARTと呼ばれています。

最近はゼリー状の状態で冷却保存するビリフィケーションと呼ばれる方法が用いられ、妊娠率の向上寄与しています。

体外受精は卵巣から取り出した卵を専用の皿の上に置き、運動性のある精子を加え体外で受精させるという方法であります。この方法では、しっかりと受精が確認されたのち、適当な時期まで育てた胚を子宮に届けます。精子と卵子が出会って受精する場所である卵管に障害がある女性も妊娠の機会が得られます。

体外受精をさらに発展させたものが顕微授精です。その代表的な方法である細胞質内精子注入法は、顕微鏡下で、一つの卵子の細胞質の中に、直接一つの精子を注入するものです。

この方法では、たった一つの健康的な精子と卵子さえあればいいのです。不妊症の女性にとって朗報だったが、正常な精子の数が極端に少ない男性に在っては特にこの方法で自分の遺伝子を残す可能性が広がりました。

治療の際に排卵をうながす薬を使って、場合によっては10個以上の卵子が採取されることがあります。このとき移植されなかった受精卵を液体窒素の中で凍結保存し、以降の周期で移植するのが凍結融解胚移植です。

最近では、卵巣刺激で負荷のかかった卵巣や子宮を休ませる目的で、新鮮な胚一つも移植せずに、全て凍結することも行われています。凍結された胚は、半永久的に保存可能であるといわれています。

女性の年齢の上昇に伴って、染色体異常の卵子の割合は増えますが、その結果、体外受精や顕微授精で妊娠しても流産におちいることも多くなります。日本産婦人科学会の報告によりますと、2017年、体外受精や顕微授精による胚移植を受けた結果、出産に至った確率は30歳は21.9%、35歳は18.9%、40歳は9.3%、45歳では1.0%にまで下がっています。

費用については、ART(生殖補助医療)は、2022年4月から健康保険が適用されています。

ただし、保険適用には年齢や回数などの条件があります。

  • 治療開始時の女性の年齢が43歳未満であること
  • 初めて治療を開始するときの女性の年齢が40歳未満の場合は1子につき通算6回まで、40歳以上43歳未満の場合は1子につき通算3回まで

また、保険適用には、次のような条件も満たす必要があります。

  • 婚姻関係(入籍)または事実婚であること
  • 初回治療周期はパートナー同席の上、治療説明を受けること
  • その後も、最低でも半年に一回以上の同席が義務化されていること

保険適用となったことで、原則として3割負担で不妊治療を行うことができます。ただし、治療に伴って行われるオプション治療(卵子活性化など)の中には、先進医療として認められ、保険外診療と健康保険が併用できるものもあります。。年齢や所得、治療回数などの制限はありますが、助成金制度は設けられています。

ここで注意しなければならないことは、どのような卵巣刺激法を用いるかという点であります。それによっては成功率や費用も変わってきます。一般的な性腺刺激ホルモンを用いたARTの場合、1回の採卵で数個~10数個の卵子が採取され、数個の移植可能の胚が得られます。したがって、1回新鮮胚移植と、1~3回ほどの凍結融解胚移植が可能となり、累積妊娠率は上昇します。

一方、自然周期あるいはそれに準じた方法で採卵を試みた場合、採卵可能な周期は7~8割で、通常1個の卵子しか得られません。したがって、よくても1回の新鮮胚移植あるいは凍結融解胚移植しかできず、結果的に何度も採卵が必要になります。

授からない原因は体の冷え

不妊症とは

なかなか子供が授からない原因は、間違いなく体が冷えているからです。自然妊娠を前提とすれば、卵子が受精しても着床しない原因は母体の冷えにあると考えられます。受精できない場合は男性側にも問題がある可能性があります。

冷えが根になっているため、体全体を温める必要があります。冷えは腎が司るため、冷えているのは腎の力が落ちているときです。冷えから守る力がないので、冷えが体内に入り込んでしまいます。根本的な治療としては腎を補うことが重要です。

20代前半の男女であれば、冷えが問題になることは少ないですが、35歳を超えると肉体的に老化が進み、エネルギーが低下し、生殖細胞の機能も低下します。ストレスや睡眠不足、栄養不良なども妊娠を難しくします。また、妊娠を強く望むことが逆効果になることもあります。妊娠を意識しすぎると、女性の体が緊張し、妊娠しにくい状態になります。

人工授精や体外受精の成功率が低い場合、母体の冷えが原因であることが多いです。生活習慣を見直し、改善することが重要です。分からないことは専門家に相談してください。

鍼灸治療は、妊娠を助ける効果が高い治療法です。体を温め内臓の働きを改善し、健康を保ちます。ご相談をお待ちしています。

不妊でお悩みの方へ

「子供がほしくても授からない」「病院で治療を受けているがなかなか改善されない」「人工授精を何回も受けているがダメ」など、不妊で悩んでいる方は少なくありません。他人にはなかなか相談できず、社会的にも様々なプレッシャーを受けることも多いでしょう。

SNSでも「つらいです」「もう諦めました」という文言を目にします。当院は、「一度鍼灸院で治療を受けてみてはいかがでしょうか?」と思っています。多角的なアプローチでチャレンジすることが、子供を授かる確率を高めると当院は考えています。

  1. 世界保健機関(せかいほけんきかん 略称: WHOOMS)は、国際連合の専門機関(国際連合機関)の一つであり、人間の健康を基本的人権の一つと捉え、その達成を目的として設立された機関。 ↩︎