精力増強 のための東洋医学的アプローチ
症状
精力増強というと、性的な能力や性欲と結び付けて考えがちですが、それだけではなく、仕事に対する意欲が湧いたり、どんな仕事をしていても簡単には疲れを覚えなかったり、すぐに疲労がとれ活力が湧いたりするような、全身の生命力、気力、意欲といったものを増進させるのが、精力増進と考えます。
東洋思想では、生まれながらに人間が持っているエネルギーと、生まれたあとに人間が自然界から取り入れるエネルギーを、いかに順調に保ち、使っていくかということにポイントを置いています。
そのエネルギーが体の中に満ちあふれていれば精力は豊かであり、欠乏していれば精力が減退して、東洋医学でいう「腎虚の証」となります。そして、精力を増強するエネルギーが「元気」といいます。
ところで、西洋医学では体内の臓器を臓腑ということがありますが、東洋医学では、五臓六腑と呼びます。そして、その五臓六腑には心が宿ると考えます。頭では心が宿らず、脂血だけがたまるとされています。頭は考える機械として、その源は五臓六腑にあると考えています。
そこで精力を強めるという場合には、この理論でいうと、生まれながらに人間が持っているエネルギーと、生まれたあとに人間が自然界から取り入れるエネルギーを支配するとされる、肝腎のツボを処置することが肝要となります。
鍼灸治療
主要なツボ
先天、後天の元気を高めるツボでいいますと
腰部 「命門」、「腎兪」、「三焦兪」、「志室」
背部 「肝兪」
胸部 「膻中」
腹部 「中脘」、「肓兪」、「大巨」、「関元」
足部 「湧泉」
などがあります。
さらに、全身のエネルギーを調整するツボとして、
などがあります。
治療法
治療をするときに、腎虚の証を発見するツボとして「肓兪」と「湧泉」が重要になります。この二つのツボを親指か人差し指でグッと押してみますと、硬いシコリとともに、ウッとなるような痛みがあれば、精力減退の反応となります。
治療は、背中、腰の上記のツボから始めます。
「肝兪」は、肝機能が衰えたときに使うツボです。肝機能が弱りますと、体がだるくなり、積極性が衰えます。
「三焦兪」は、血液循環をうまくコントロールするツボで、ここを刺激しますと、下半身の冷えがとれ、」へその下に元気がつきます。
「腎兪」は言わずと知れた精力増強の特効穴であります。東洋医学の腎の臓とは、西洋医学の副腎のことをさします。現代医学がホルモンの源である副腎の存在を発見したのは、つい近年のことでありますが、東洋医学では命の源として、3000年前からとらえていました。実際このツボを刺激しますと力が湧いてきます。
「命門」は、腎の臓を強化するツボの中でも、特に性能力を高めるのに有効だとされており、このツボを刺激することによって、精が活発に作り出されるようになります。
「志室」もインポテンツを含めた腎虚を治すのに欠かせないツボです。
胸部、腹部のツボは、上から下の順番で、足のツボは、下から上へ刺激します。
「湧泉」は灸や指圧で刺激しますと、疲れがとれて、もりもり元気が湧きます。
刺激は、マッサージや指圧でもいいですが、鍼灸治療による刺激がさらに効果が上がります。灸治療の場合は、米粒大のもぐさ1ヶ所に3~5壮すえます。
コメントを残す