インポテンツの原因 と治療法ー心理的要因と東洋医学のアプローチ
症状
インポテンツとは、男子の性機能障害を意味しています。これには無精子症などの生殖不能症と、性交不能症とが含まれますが、ふつうは性交不能症だけをさして、インポテンツという言葉が用いられています。
一般的にインポテンツといいますと、陰茎の勃起不全、勃起不能だけをいうような傾向がありますが、実際は性行為は、性欲、勃起、陰茎の膣挿入、オルガスムス、射精、勃起の消退という一連の生理作用によって起こっているものであるので、この過程のどこかに不完全、不能なところがあって、性行為が行えないケースを、全部ひっくるめた総称であると考えるべきであります。
インポテンツの原因には、二つのことが考えられます。第一は、正常の性に対して関心や興味がなくなることであります。生まれつき体力が弱かったり、病気でホルモンの調節が崩れたりすると、性欲が起こらなくなったり、起こっても弱くなったりします。また、生活習慣が精神的な影響を及ぼしている場合もあります。
第二は、性行為に自信がないためのものであります。これには、性器の障害からくる劣等感によるもの、性行為に失敗したための自信喪失によるものなどがあります。
もちろん、このような原因だけではなく、ペニス自体の機能障害、けがなどによる中枢神経の損傷、薬物中毒、糖尿病などがインポテンツが引き起こされる場合もあります。これらの原因によるものは、しかるべき専門医に任せて回復を図るほかありません。
ただ、インポテンツの原因となるものは、心理的・精神的要因であることが圧倒的といえます。心のわだかまりを取り除く心理療法や、気分転換による転地療法などが効果を示すゆえんであります。
東洋医学では、このような症状を腎虚症といい、腎の臓の機能を高めるツボを中心に治療します。
鍼灸治療
主要なツボ
背中 「肝兪」、「三焦兪」、「腎兪」、「命門」、「膀胱兪」
腹部 「肓兪」、「関元」、「中極」、「大赫」
足部 「三陰交」
などが重要なツボであります。
治療法
まず、背中の「肝兪」、腰の「三焦兪」、「腎兪」、「命門」、「膀胱兪」などを選択して刺激します。また、呼吸器・循環器機能を強化するために「肺兪」、「心兪」、消化機能を強化するために「脾兪」、泌尿・排泄機能を強化するために「大腸兪」、「次髎」なども刺激します。
「腎兪」は腎虚症には著効を示すツボで、スタミナをつけるのに必ず治療するポイントになっています。「膀胱兪」は、骨盤内臓器の機能を整えるツボです。
腹部では、「肓兪」、「関元」、「中極」、「大赫」などが重要なツボであります。「肓兪」、「関元」への刺激は、「腎兪」などとともに、腎の機能を回復させ、精力の増強をもたらします。「中極」は生殖機能に効くツボですが、その両側にある「大赫」は、昔から精力増強のツボとして有名であります。
また、呼吸・循環機能を強化するために「膻中」、「巨闕」、消化機能を強化するために「中脘」、「天枢」を加えるといいでしょう。
足では、「足三里」のほか、「三陰交」が肝・腎・脾の三つの臓の機能を整える意味で重要であります。そのほか、腎の機能を高める「築賓」、「太渓」を加えるといいでしょう。
なお、手ではエネルギー源を司り、精力増強に効く「陽池」、呼吸・循環機能を強化する「神門」と「孔最」を加えます。
インポテンツの治療には、マッサージ・指圧も効果がありますが、鍼灸治療はさらに有効性を示します。灸の場合は、「心兪」、「腎兪」、「次髎」、「中脘」、「肓兪」、「中極」、「足三里」、「太渓」などに絞って、1ヵ所に半米粒大のもぐさを3~5壮、根気よく続けます。3週間続けたら1週間休むというローテーションがいいでしょう。
不感症の場合は
不感症は、性器の炎症、性器の発育不全など気異質的原因のほか、性交に対する不安、恐怖、嫌悪などの心因性障害によるものが多いです。
ツボ療法では、腰の「腎兪」、「次髎」、「胞肓」、腹部の「肓兪」、「関元」、「衝門」、足の「血海」、「陰陵泉」、「三陰交」などのツボを中心に鍼灸治療を行います。
灸の場合は、これらのツボに、米粒大または半米粒大のもぐさで3~5壮すえます。5日続けて、2日休みます。マッサージや指圧を併用するとよいでしょう。
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