インポテンツ

インポテンツとは?ー ED(勃起不全)の原因と鍼灸によるアプローチ

インポテンツ

「以前のような自信が持てない…」
「パートナーとの関係で悩んでいる…」
「薬だけに頼らない方法を探している…」

インポテンツ、現在では一般的にED勃起不全)と呼ばれるこのお悩みは、男性にとって非常にデリケートで、誰にも相談しにくい問題かもしれません。しかし、その原因は様々で、身体的な問題だけでなく、精神的なストレスや生活習慣が大きく影響していることも少なくありません。

この記事では、ED(勃起不全)がなぜ起こるのか、その原因と症状、そして東洋医学に基づく鍼灸治療がどのように心身のバランスを整え、自信を取り戻すお手伝いができるのかを詳しく解説します。

【目次】

  1. ED(勃起不全)とは?~その原因と様々な症状~
    • ED(勃起不全)の定義
    • EDを引き起こす主な原因(心因性・器質性など)
    • 東洋医学で考えるEDと「腎虚じんきょ
    • 【重要】 まずは専門医への相談を
  2. ED(勃起不全)に対する鍼灸治療
  3. ED改善のためにご家庭でできること
    • 自宅でできるツボマッサージ
    • 日常生活で心がけたいこと
  4. 【女性の性機能のお悩み】不感症について

1.ED(勃起不全)とは?~その原因と様々な症状~

ED(勃起不全)の定義

夕日

一般的に「インポテンツ」というと、陰茎の勃起不全・勃起不能だけを指す傾向がありますが、実際の性行為は、①性欲 → ②勃起 → ③挿入 → ④オルガスムス → ⑤射精 → ⑥勃起の消退 という一連の生理作用によって成り立っています。

ED(Erectile Dysfunction=勃起不全)とは、医学的には「満足な性行為を行うに十分な勃起を得られないか、または維持できない状態」を指し、広い意味では、この一連の過程のどこかに不完全・不能な部分があり、性行為が円滑に行えない状態の総称と考えることができます。

EDを引き起こす主な原因(心因性・器質性など)

EDの原因には、大きく分けて以下のタイプがあります。

  • 心因性ED
    心理的・精神的な要因が主な原因となるもので、EDの中で最も多いと言われています。
    • 性行為への不安や自信喪失
      過去の失敗体験(トラウマ)や、パートナーとの関係性の悩みなど。
    • 精神的ストレス
      仕事や日常生活での過度なストレス、うつ状態、不安感など。
    • 誤った情報や思い込み。
  • 器質性ED
    身体的な病気や障害が原因となるものです。
    • 血管系の障害
      動脈硬化、高血圧、糖尿病などにより、陰茎への血流が悪くなる。
    • 神経系の障害
      糖尿病性神経障害、脊髄損傷、脳卒中、前立腺がんの手術などによる神経の損傷。
    • 内分泌系の障害
      男性ホルモン(テストステロン)の低下(男性更年期障害など)。
    • その他
      薬の副作用(一部の降圧剤、抗うつ薬など)、怪我による陰茎自体の損傷など。
  • 混合性ED
    心因性と器質性の両方の要因が絡み合っているものです。

東洋医学で考えるEDと「腎虚じんきょ

東洋医学では、EDのような生殖機能や精力減退に関する症状を、主に「腎虚じんきょ」という状態で捉えます。 東洋医学でいう「じん」とは、現代医学の腎臓の機能だけでなく、生命エネルギーの源(先天の元気)を蓄え、成長・発育・生殖を司る、非常に重要な臓腑と考えられています。 加齢や過労、ストレスなどでこの「腎」の機能が低下(腎虚)すると、EDの症状が現れやすくなると考え、鍼灸治療では、この「の機能を高めるツボを中心にアプローチしていきます。

【重要】まずは専門医への相談を

EDの原因には、上記のように様々な病気が隠れている可能性があります。 まずは泌尿器科専門のクリニックを受診し、原因を特定することが非常に重要です。器質的な障害がある場合には、医師による適切な治療を受けることが第一選択となります。

特に、心理的・精神的な要因が強いと考えられる場合や、原因不明の場合に、鍼灸治療は優れた効果を発揮することが期待できます。

2.ED(勃起不全)に対する鍼灸治療

鍼灸がEDの改善に効果的な理由

鍼灸治療は、特定のツボを刺激することで、血流や神経機能を改善し、身体全体のバランスを整え、EDの根本原因にアプローチします。

  • 体力・精力(気)の向上
    全身の気血の巡りを良くし、身体が本来持つ活力を高めます。
  • 血流改善
    骨盤内や下腹部への血流を促進し、勃起に必要な血液が陰茎に集まりやすい状態を作ります。
  • 自律神経の調整
    性機能をコントロールする自律神経のバランスを整え、リラックス(副交感神経優位)しやすい状態へと導き、精神的な緊張を和らげます。
  • ホルモンバランスの調整サポート
    「腎」の機能を高めることで、ホルモンバランスの乱れを整える手助けをします。

症状緩和に効果が期待できる主要なツボの例

EDの改善や精力増強には、以下のツボが重要なポイントとなります。

背中 「肝兪かんゆ」、「三焦兪さんしょうゆ」、「腎兪じんゆ
   「命門めいもん」、「膀胱兪ぼうこうゆ
腹部 「肓兪こうゆ」、「関元かんげん」、「中極ちゅうきょく
   「大赫だいかく
足部 「三陰交さんいんこう

具体的な鍼灸治療法(鍼と灸の組み合わせ)

ひごころ治療院では、お一人おひとりの体質や原因に合わせた、全身的なアプローチを重視します。

  1. 背部・腰部へのアプローチ
    まず、背中にある「肝兪」、腰の「三焦兪」、「腎兪」、「命門」、「膀胱兪」などを選択して刺激します。
    • 腎兪」は腎虚に対して優れた効果が期待できるツボで、スタミナをつけるために必ず治療するポイントです。
    • 膀胱兪」は、骨盤内臓器全体の機能を整えるツボです。
    • その他、呼吸器・循環器機能を強化するために「肺兪はいゆ」、「心兪しんゆ」を、消化機能を強化するために「脾兪ひゆ」を、泌尿・排泄機能を強化するために「大腸兪だいちょうゆ」、「次髎じりょう」などを加えることもあります。
  2. 腹部へのアプローチ
    次に、腹部の「肓兪」、「関元」、「中極」、「大赫」などが重要なツボです。
    • 肓兪」、「関元」への刺激は、「腎兪」などと共に腎の機能を回復させ、精力の増強をもたらす効果が期待できます。
    • 中極」は生殖機能に効果的なツボですが、その両側にある「大赫」は、古くから精力増強のツボとして有名です。
    • さらに、呼吸・循環機能を強化するために「膻中だんちゅう」、「巨闕こけつ」を、消化機能を強化するために「中脘ちゅうかん」、「天枢てんすう」を加えると良いでしょう。
  3. 手足のツボによる全身調整
    • 足では、胃腸を整え全身の活力を高める「足三里あしさんり」のほか、「三陰交」が肝・腎・脾という3つの重要な臓腑の機能を整える意味で重要です。その他、腎の機能を高める「築賓ちくひん」、「太渓たいけい」も加えます。
    • 手では、エネルギー源を司り精力増強に効果が期待できる「陽池ようち」や、呼吸・循環機能を強化する「神門しんもん」と「孔最こうさい」を加えます。

施術の方法
インポテンツ(ED)の治療には、マッサージや指圧も一定の効果がありますが、鍼灸治療はさらに高い有効性を示します。 特にお灸灸治療)は、身体を芯から温め、機能を高めるのに適しています。「心兪」、「腎兪」、「次髎じりょう」、「中脘」、「肓兪」、「中極」、「足三里」、「太渓」などに絞って、1カ所に半米粒大のもぐさを3~5壮、根気よく続けることが大切です。「3週間続けて1週間休む」といったローテーションも良いでしょう。

治療に関する疑問解消

施術の流れは?

初回に丁寧な問診を行い、体質や症状をチェックします。その上で、あなたに合ったツボを選定し、鍼やお灸で施術します。施術後には、今後の治療計画やご家庭でのケアについてアドバイスします。

治療の頻度は?

症状や体質によって異なりますが、体質改善を目指すためには、初めは週に1~2回程度の頻度で通っていただくのが一般的です。

改善までの期間や効果は?

効果の現れ方には個人差がありますが、数回の施術で身体の変化を感じ始める方もいらっしゃいます。血行改善、ホルモンバランスの調整サポート、ストレス緩和、そして自信の回復などが期待できます。

3.ED改善のためにご家庭でできること

自宅でできるツボマッサージ

  • 会陰えいん
    陰嚢と肛門の真ん中にあるツボ。優しく圧迫するようにマッサージします。
  • 足三里あしさんり
    膝のお皿のすぐ下、外側のくぼみから指4本分下がったところ。胃腸を整え、全身の活力を高めます。

これらのツボを優しくマッサージすることで、血流改善やリラックス効果が期待できます。

日常生活で心がけたいこと

  • バランスの取れた食事
    亜鉛(牡蠣、赤身肉など)やタンパク質、ビタミンなどをバランス良く。
  • 適度な運動
    ウォーキングなどの有酸素運動で血行を促進し、体力をつけましょう。
  • 十分な睡眠
    ホルモンバランスや自律神経を整える基本です。
  • 禁煙、節酒
    喫煙は血流を著しく悪化させます。アルコールの過剰摂取も禁物です。
  • 心のケアとサポート
    ストレスを溜め込まないように、趣味やリラックスできる時間を持ちましょう。パートナーとのオープンなコミュニケーションも非常に大切です。

4.【女性の性機能のお悩み】不感症について

不感症は、性器の炎症や発育不全といった器質的な原因のほか、性交に対する不安、恐怖、嫌悪感といった心因性の障害によるものが多く見られます。

東洋医学のツボ療法では、以下のツボを中心に鍼灸治療を行うことで、心身の緊張を和らげ、骨盤内の血行を促進し、感受性を高めるお手伝いをします。

  • 主要なツボの例:
    • 腰の「腎兪」、「次髎」、「胞肓ほうこう
    • 腹部の「肓兪」、「関元」、「衝門しょうもん
    • 足の「血海けっかい」、「陰陵泉いんりょうせん」、「三陰交
  • 施術の方法
    • これらのツボに、米粒大または半米粒大のもぐさで3~5壮お灸をすえます。5日間続けて2日休む、といったサイクルで行います。
    • マッサージや指圧を併用するのも良いでしょう。

デリケートなお悩みですが、一人で抱え込まず、ぜひ一度ご相談ください。

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