低血圧症

低血圧症

低血圧症の種類と原因
鍼灸でつらい症状を改善し、
元気な毎日へ

「朝、なかなか起きられない…」
「立ちくらみやめまいが頻繁に起こる…」
「いつも身体がだるくて疲れやすい…」

もしかしたら、それは低血圧症のサインかもしれません。 このページでは、低血圧症の様々なタイプとその原因、そして東洋医学に基づく鍼灸治療がどのようにお悩みの改善をサポートできるのか、ご家庭でできるケア方法と合わせて詳しくご紹介します。

【目次】

  1. 低血圧症とは?~その種類・原因・主な症状~
    • 低血圧症の定義
    • 低血圧症の主な3つのタイプ
      • 本態性低血圧症
      • 二次性低血圧症
      • 起立性低血圧症
    • 鍼灸治療が特に効果を発揮しやすい低血圧タイプ
    • 東洋医学の視点:鍼灸治療の基本的な考え方
  2. 低血圧症に対する鍼灸治療
  3. ご家庭でできる低血圧対策:セルフケアと生活習慣
    • 起立性低血圧の予防に:足の温冷交代浴
    • 温冷交代浴後のセルフマッサージ
    • その他、日常生活で心がけたいこと

1.低血圧症とは?
~その種類・原因・主な症状~

低血圧症の定義

血圧を測定する女性

一般的に、医療機関で測定した最大血圧(収縮期血圧)が100mmHg以下の場合を「低血圧(症)」と呼んでいます。

ただし、血圧が低いこと自体が必ずしも病気というわけではなく、何の自覚症状もなく元気に生活している方もいらっしゃいます。しかし、めまいや立ちくらみ、倦怠感などの不快な症状を伴う場合には、治療や対策が必要となることがあります。

低血圧症の主な3つのタイプ

低血圧症は、その原因や特徴によって、大きく以下の3つの種類に分けられます。

  • 本態性ほんたいせい低血圧症
    • 特徴
      明確な原因疾患が見当たらず、体質的なものと考えられています。低血圧症の中で最も多く見られるタイプです。
    • 傾向
      比較的、背が高くやせ型の方に多い傾向があります。
    • 主な自覚症状
      疲れやすい、飽きっぽい、身体がだるい、食欲がない、めまい、立ちくらみ、耳鳴りがする、手足が冷えやすい、便秘しやすい、生理不順、朝なかなか起きられない(寝覚めが悪い)、頭痛、肩こりなど、多岐にわたります。
  • 二次性低血圧症(症候性低血圧症)
    • 特徴
      何らかの病気や薬剤の影響など、はっきりとした原因があって血圧が低くなっている状態です。
    • 原因例
      心臓病(心不全、弁膜症など)、胃腸疾患(慢性的な下痢、吸収不良など)、内分泌系の異常(甲状腺機能低下症、アジソン病など)、先天的な奇形、特定の薬剤の副作用など。
  • 起立性低血圧症
    • 特徴
      横になっている時や座っている時は正常な血圧なのに、急に立ち上がったり、長時間立っていたりすると、一時的に血圧が急激に下がり、脳への血流が不足してしまう状態です。
    • 傾向
      やせ型の若い女性や、成長期のお子様、高齢者の方などによく見られます。
    • 主な自覚症状
    • 立ちくらみ、めまい、目の前が暗くなる、失神(気を失う)、動悸、吐き気、全身倦怠感など。

鍼灸治療が特に効果を発揮しやすい
低血圧タイプ

ひごころ治療院の鍼灸治療では、主に以下のタイプの低血圧症に対して、症状の緩和や体質改善の効果が期待できます。

  • 本態性低血圧症
  • 起立性低血圧症

東洋医学の視点
鍼灸治療の基本的な考え方

東洋医学に基づく鍼灸治療は、「このツボを刺激したら血圧が上がる」といった単純な対症療法を目指すものではありません。

私たちの基本的な考え方は、低血圧に伴って現れる様々な不快な症状(めまい、だるさ、冷えなど)や、その背景にある体質的なアンバランス(例:気の不足、血の滞り、内臓機能の低下など)を改善していくことで、結果として身体全体の機能が整い、血圧も自然と正常な範囲に近づいていくというアプローチです。これをセオリーとして、施術を行っております。

二次性低血圧症の場合は、原因となっている病気の専門的な治療が最優先であることは言うまでもありませんが、それに伴う諸症状の緩和や体力維持のサポートとして、鍼灸治療を応用することは可能です。

冷え症
めまい・立ちくらみ(メニエール症候群)
胃弱(胃のもたれ・胸やけ)

2.低血圧症に対する鍼灸治療

鍼灸が低血圧の諸症状に効果的な理由

鍼灸治療は、身体全体のバランスを整えることで、低血圧に伴う様々な不快な症状の緩和を目指します。

  • 自律神経の調整
    血圧のコントロールには自律神経が深く関わっています。鍼灸刺激は自律神経のバランスを整え、血圧の急な変動を抑える助けとなります。
  • 血行促進
    全身の血流を改善することで、脳や手足への血液供給をスムーズにし、めまい、立ちくらみ、冷えなどを和らげます。
  • 内臓機能の活性化
    特に消化器系や循環器系の働きを高めるツボを刺激することで、食欲不振や身体のだるさの改善を促します。
  • 筋緊張の緩和と体質改善
    首や肩、背中のこりをほぐし、身体全体のエネルギー(気・血)の巡りを良くすることで、疲れにくい身体づくりをサポートします。

低血圧ケアに効果的な主要なツボの例

低血圧に伴う症状や体質に合わせて多くのツボを使い分けますが、代表的なものには以下のようなツボがあります。

頭部 「百会ひゃくえ
後首 「天柱てんちゅう
背中 「厥陰兪けついんゆ」、「腎兪じんゆ
胸部 「膻中だんちゅう
腹部 「中脘ちゅうかん」、「肓兪こうゆ」、「大巨だいこ
手部 「郄門げきもん」、「陽池ようち
足部 「三陰交さんいんこう」、「照海しょうかい

症状に合わせた具体的な鍼灸治療法

  1. まず、頭部の血液循環を改善し、頭重感やめまいを和らげるために、頭頂部の「百会」や首の付け根の「天柱」などを刺激します。これにより、頭がスッキリし、不快な気分も軽減されることが期待できます。
  2. 次に、腰背部、胸部、腹部のツボを用います。
    • 厥陰兪」、「腎兪」(背部)や「膻中」(胸部)、「中脘」、「肓兪」、「大巨」(腹部)などは、全身の気血の巡りを整え、内臓機能を高めるのに役立ちます。
    • 手の「郄門」、「陽池」、足の「三陰交」、「照海」なども、状態に合わせて選択します。
  3. 伴う症状に合わせたツボの追加
    • 手足の冷えが強い場合
      背中の「膈兪かくゆ、手の神門しんもん、足の陰陵泉いんりょうせん」などを加えると効果的です。
    • めまい、立ちくらみ、不眠などの神経症状がある場合
      「腎兪」「中脘」「照海」などに加え、背中の「身柱しんちゅう、手の「曲池きょくち」、足の「足三里あしさんり」、「太渓たいけい」なども治療対象となります。
    • 食欲不振、吐き気、便秘などの消化器症状を伴う場合
      中脘」、「大巨」などに加え、背中の「身柱」、「脾兪ひゆ」、「胃兪いゆ」、足の「足三里」なども効果的です。
    • 息苦しさなどの呼吸器症状を伴う場合
      膻中」、「中脘」、「郄門」、「照海」などに加え、背中の「身柱」、胸の「兪府ゆふ、手の曲池きょくち」などを対象にします。

治療のポイント
背部のコリの重要性

低血圧の治療で特に大切なのは、背中の「厥陰兪」から「腎兪」の間にできやすい強い凝り(筋肉の緊張)をしっかりと取り除くことです。この部分の緊張が自律神経のバランスを乱し、様々な不調を引き起こす一因となるため、念入りにほぐれるように丁寧に治療を行います。

3.ご家庭でできる低血圧対策
セルフケアと生活習慣

鍼灸治療と合わせて、ご家庭でもできるセルフケアや生活習慣の見直しを行うことで、低血圧に伴う症状の改善をより効果的にサポートできます。

起立性低血圧の予防に 足の温冷交代浴

特に起立性低血圧による立ちくらみやめまいの予防には、足の温冷交代浴が効果的な場合があります。これは自律神経を鍛え、血管の収縮・拡張機能を高めることを目的とします。

  • 方法
    1. 洗面器やバケツを2つ用意し、それぞれに温水(40~42℃程度)と冷水(15~20℃程度、または水道水)を入れます。
    2. まず、足首から少し上(くるぶしの上、指4本分くらい)までを温水に3分ほど浸けます。
    3. 次に、冷水に30秒ほど浸けます。
    4. これを3~5回繰り返します。
    5. 最後は必ず冷水浴で終わるようにします。
  • ポイント
    無理のない範囲で行い、体調が悪い時は控えましょう。

温冷交代浴後のセルフマッサージ

足の温冷交代浴が終わったら、以下のツボを中心に、ご家族にマッサージしてもらうか、ご自身で優しく揉みほぐすと良いでしょう。血行が促進され、リラックス効果も高まります。

  • 背中のツボ
    心兪しんゆ」、「腎兪じんゆ」(ご自身では難しいので、パートナーに)
  • 足のツボ
    太渓たいけい」、照海しょうかい

これを毎日根気よく続けることで、体質改善に繋がる可能性があります。

その他、日常生活で心がけたいこと

  • 規則正しい生活
    早寝早起きを心がけ、十分な睡眠時間を確保しましょう。 バランスの取れた食事: 鉄分、タンパク質、ビタミンB群などを意識して摂取しましょう。朝食を抜かないことも大切です。
  • 適度な運動
    ウォーキングなど、無理のない範囲で身体を動かす習慣をつけましょう。筋力アップも血圧維持に役立ちます。
  • 急な動作を避ける
    寝ている状態から起き上がる時や、座っている状態から立ち上がる時は、ゆっくりと動作するように心がけましょう。
  • 水分をこまめに摂る
    脱水は血圧低下を招くことがあります。
  • 長時間の立ち仕事や入浴を避ける
    症状を悪化させる可能性があります。
  • 弾性ストッキングの着用(必要な場合)
    医師の指示があれば、下半身への血液の滞留を防ぐために弾性ストッキングを着用するのも有効です。

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