胃酸過多症

胃酸過多症の原因と対策 ー 鍼灸でつらい胸やけ・胃痛を改善

「胸やけがして、酸っぱいものがこみ上げてくる…」
「空腹時に、みぞおちがキリキリと痛む…」
「げっぷが頻繁に出て、胃がもたれる感じがする…」

その不快な症状、もしかしたら胃酸過多症いさんかたしょうかもしれません。
ストレスや食生活の乱れから、胃酸の分泌バランスが崩れることで起こるこの症状は、日常生活の質を大きく低下させます。この記事では、胃酸過多症の症状や原因、そして東洋医学に基づく鍼灸治療によるアプローチ、ご家庭でできるセルフケアについて詳しく解説します。

【目次】

1.胃酸過多症・低酸症とは?~その原因と症状~

胃液の酸度が正常値よりも高く、分泌量が多い状態を胃酸過多症いさんかたしょうといいます。逆に、酸度が低く、分泌量が少ない状態は低酸症ていさんしょうと呼ばれます。

【主な症状】 胃酸過多症では、以下のような症状が現れやすくなります。

  • 胸やけ、げっぷ
  • 酸っぱい液体がこみ上げてくる(呑酸どんさん
  • 空腹時の胃痛、みぞおちの痛み
  • 胃のもたれ感、みぞおちのつかえ

興味深いことに、低酸症でも似たような胸やけやげっぷ、胃痛といった症状が現れることがあります。そのため、ご自身の自覚症状だけで胃酸の分泌状態を正確に知ることは、まず不可能であることを忘れてはいけません。 症状が続く場合は、まず医療機関(内科、消化器内科)を受診し、正確な診断を受けることが大切です。

2.胃酸過多症に対する鍼灸治療

鍼灸が胃酸過多症に効果的な理由

鍼灸治療は、胃酸過多症によって引き起こされる様々な不快な症状に対して、以下のような多角的なアプローチで効果を発揮します。

  • 胃酸分泌の調整
    自律神経のバランスを整えることで、過剰な胃酸の分泌を抑制する働きが期待できます。
  • 消化器機能の正常化
    胃のぜん動運動を穏やかに調整し、胃もたれや胸のつかえ感を和らげます。
  • 鎮痛・消炎効果
    鍼刺激により、胃のキリキリとした痛みを鎮め、粘膜の炎症を抑える効果が期待できます。
  • ストレス緩和
    胃酸過多の大きな原因となる精神的なストレスや緊張を、鍼灸の深いリラックス効果で和らげます。

症状緩和に効果が期待できる主要なツボの例

胃酸過多症の症状や体質に合わせて、以下のツボを中心に施術します。

腹部 「巨闕こけつ」、左右「期門きもん」、「中脘ちゅうかん
足部 「足三里あしさんり」、「衝陽しょうよう」、「陰陵泉いんりょうせん
手部 「合谷ごうこく

具体的な鍼灸治療法(お灸を中心としたアプローチ)

  1. まず、腹部にある「巨闕」、「期門」、「中脘」といったツボを処置します。特に「中脘」は、胃の症状には必ずといっていいほど使われる特効ツボです。
  2. 胃酸のバランスが崩れている方は、便通の不整(便秘や下痢)に悩まされがちです。その場合は、腹部の「大巨だいこ」や、背部の「胆兪たんゆ」、「脾兪ひゆ」、「胃兪いゆ」などを処置して、便通を整えます。
  3. 足にある「足三里」と足の甲の「衝陽」は、胸やけを和らげるのに有効です。身体の重だるさを伴う場合は「陰陵泉」を用います。
  4. 手の「合谷」は、お腹の張りを整えるだけでなく、ストレスからくる頭痛や頭重感にも効果が期待できます。

お灸の活用

胃酸過多症の治療には、マッサージや指圧も良いですが、お灸(灸治療)が最も効果を示しやすいと考えられます。 熱さに弱い方でも、「中脘」、「脾兪」、「合谷」、「足三里」と、ツボの数を絞って治療を行うことも可能です。 特に、熱が一点に集中する透熱灸とうねつきゅうは、胃酸過多症や低酸症によく効くとされています。1カ所に3~5壮、「3週間続けて1週間休む」といったサイクルで行います。(※空腹時や満腹時すぐの施術は避けます。)

鍼治療も、同様のツボを選んで行いますが、一般的にはお灸治療の方が効果的とされています。

3.ご家庭でできる!胃酸過多症のセルフケア

鍼灸治療と合わせて、ご家庭でのセルフケアや生活習慣の見直しを行うことで、症状の改善と再発予防を目指しましょう。

  • 食事の工夫
    • 暴飲暴食を避け、消化の良いものをよく噛んで食べましょう。
    • 脂肪分の多い食事、香辛料などの刺激物、酸味の強い食品、甘いもの、コーヒー、アルコールなどは、胃酸の分泌を促進するため控えめに。
  • ストレス管理
    自分に合ったリラックス法(深呼吸、瞑想、軽い運動、趣味など)を見つけ、ストレスを溜め込まないようにしましょう。
  • 睡眠
    質の高い睡眠を十分にとることは、自律神経のバランスを整える上で非常に重要です。
  • 姿勢
    食後すぐに横になると胃酸が逆流しやすくなります。猫背などの前かがみの姿勢も胃を圧迫するため、正しい姿勢を心がけましょう。
  • ツボ押し
    みぞおちとおへその中間にある「中脘」や、膝の下にある「足三里」などを、心地よい程度の強さで優しく指圧するのもおすすめです。

ひごころ治療院では、あなたのつらい症状の原因を丁寧に見極め、最適な治療法とセルフケアをご提案します。長引く胸やけや胃の痛みでお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。

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