二日酔いの原因と対策 ー 東洋医学からのアプローチとセルフケア

飲み過ぎた次の日のつらい頭痛や胸のむかつき…そんな「二日酔い」の悩みを、東洋医学の視点と鍼灸治療、そしてご家庭でできるケアでスッキリ解消しませんか?このページでは、二日酔いの原因と症状、鍼灸でのアプローチ、そして日常で役立つ対策法を詳しくご紹介します。
【目次】
1.二日酔いとは?(原因と症状)
なぜ二日酔いは起こるのか
二日酔いとは、アルコールを多量に摂取した結果、体内でアルコールが分解しきれず、その代謝物(主にアセトアルデヒド)の影響などによって引き起こされる様々な不快な症状の総称です。 代表的な症状としては、胸のむかつき、吐き気、頭痛、頭重感、身体のだるさなどがあります。
二日酔いを避ける最も確実な方法は、もちろん飲みすぎないことですが、お酒の席ではなかなか難しいこともありますね。
東洋医学で考える「脾胃」と「肝」の役割
江戸時代の学者、貝原益軒は「養生訓」の中で、健康を保つには「脾の臓」と「胃の腑」を健やかに保つことが重要であると述べています。 東洋医学では、「脾」と「胃」は飲食物の消化・吸収を担い、そこから得られたエネルギー(気・血)を全身に巡らせる中心的な役割を持つと考えられています。
お酒も適量であれば「百薬の長」ともいわれますが、飲み過ぎはまず胃腸(脾胃)に負担をかけ、消化吸収機能を低下させます。さらに、アルコールの解毒を行う「肝」にも大きな負荷がかかります。これらの臓腑の機能が低下することが、二日酔いの不快な症状に繋がると東洋医学では捉えます。
したがって、お酒を楽しむ際は「ほろ酔い程度」に留めることが、身体への負担を減らし、二日酔いを防ぐための基本となります。 二日酔いの症状は時間とともに徐々に改善しますが、少しでも早くスッキリしたい場合には、ツボ刺激(鍼灸治療)が有効な手段の一つとなります。
2.二日酔いに対する鍼灸治療
鍼灸治療では、二日酔いによって乱れた身体のバランスを整え、アルコールの解毒を助け、不快な症状を和らげることを目指します。
主要なツボの紹介
二日酔いのケアでよく用いられる代表的なツボには、以下のようなものがあります。
鍼灸でのアプローチ方法
1.まず、顔の充血や頭痛を和らげるために、頭部のツボ(「百会」、「天柱」、「風池」など)から施術を始めます。
2.次に、うつ伏せまたは仰向けで、腹部や脇腹のツボ(「巨闕」、「期門」、「中脘」、「天枢」など)を刺激します。特に「天枢」などを丁寧に処置することで、胃腸の調子を整え、吐き気や胸のむかつきを和らげます。この際、患者様にはリラックスしてお腹の力を抜いていただくよう促します。
3.腹部の施術後、うつ伏せになっていただき、背部のツボの治療に移ります。
4.その他、症状に合わせて、頭痛や胃腸の調子を整える万能ツボである手の「合谷」や、足の冷えや全身の重だるさを取る足の「三陰交」なども処置に加えます。
これらのツボへの適切な鍼灸刺激は、二日酔いのつらい症状の緩和に効果的です。
3.ご家庭でできる二日酔い対策
鍼灸院での治療と合わせて、ご家庭でもできるセルフケアを取り入れることで、より早い回復が期待できます。
飲み過ぎた時の応急処置 足への水かけ
飲み過ぎてしまったと感じたら、ぬるめのお風呂に入り、お湯から上がる際に膝から下に冷たいシャワーをかけるのがおすすめです。
水をかけた直後は一時的に血管が収縮しますが、その後すぐに血管が拡張して血行が促進されます。これにより、アルコールの代謝が活発になり、酔いが早く醒める効果が期待できます。
【注意点】 お風呂で眠ってしまわないよう、十分にご注意ください!
背中の緊張を和らげるセルフケア
これにより、背中のコリが和らぎ、身体全体の緊張が取れることで、酔いが早く醒めるのを助けます。
4.食事で改善!二日酔いにおすすめの食べ物・飲み物
二日酔いの時は、胃腸に優しく、アルコールの分解を助けたり、失われた水分や栄養素を補給できる食事が大切です。
飲酒による体調不良の回復を助ける食品例
- アルコール分解を助ける
グレープフルーツ、柿、梨、パイナップル - 肝機能サポート
モヤシ(アスパラギン酸)、しじみ(オルニチン) - その他
コーヒー(カフェインによる血管収縮で頭痛軽減の可能性も。飲みすぎに注意)
吐き気を和らげる食品例
- ショウガ
吐き気止め作用で知られています。すりおろして飲み物に入れたり、料理に加えたり。 - ダイコン
消化を助ける酵素が含まれます。 - キウイフルーツ
ビタミンCや食物繊維が豊富。
激しい喉の渇きを潤す食品・飲料例
- 水分補給が基本
水、経口補水液、スポーツドリンク - 果物・野菜
キュウリ、トマト、スイカ、ブドウ、ミカン、リンゴ、レモン - その他
ヨーグルト、紅茶
【注意点】 二日酔いの時は消化機能が低下しているため、脂っこいものや刺激物は避け、消化の良いものを選びましょう。