痛風の原因と治療法
【目次】
1.痛風の原因と症状
2.痛風の鍼灸治療
・主要なツボ
・治療法
・痛風の家庭療法
3.体からのSOS
・足の親指がムズムズ・ピリピリ・・・痛風
・何科に行くべき?
痛風の原因と症状
痛風は昔から“帝王の病気”と呼ばれてきました。確かに痛風にかかる人の大半は美食家や大酒飲みで、体型も肥満型の人に多いようです。
痛風の原因は、細胞の核酸の成分が最終的に変化して尿酸となり、尿酸を腎臓から排泄される能力が悪化して、血液や関節液(滑液)の中にたまり、結晶となって関節などに沈着して、痛みだすのが痛風です。その痛みは、突然に主に足の親指のつけ根あたりに表われ、赤く腫れ、激しい痛みに襲われます。足首やひじの関節が痛むことがあります。その痛さは、他の関節炎の痛みとは比べものになりません。
痛風の痛みは、1週間くらいで自然におさまりますが、最初の発作がおさまって、半年から1年くらいたつと、再び激しい痛みに襲われることになります。患部は同じ部位であることが多いです。この小康と発作の間隔は次第に短くなり、急性症状から慢性症状へと変わります。痛風は99%以上男性に起こり、現在は生活習慣病の一つとして問題視されています。
痛風の発作が起こったときの応急処置は、痛みのある関節の充血や腫れを軽くするために、その部分を高くして冷やします。消炎鎮痛剤の使用にあたっては副作用も強いので、専門医の指示を仰いでください。
痛風は慢性化すると、腎臓や心臓の疾患の原因にもなりますので、早期治療が必要であります。
鍼灸治療は、激痛をやわらげ、予防効果も大きく、次回の発作を起こしにくくするのに役に立ちます。
痛風の鍼灸治療
主要なツボ
などがポイントになります。
治療法
まず背中の、「筋縮」、「肝兪」、「三焦兪」、「腎兪」などを目的にします。これらのツボを活用することによって、痛風の原因であるタンパク質の代謝障害に関係する肝臓や腎臓の機能を整えます。肝の臓を整えるのは「肝兪」であり、「肝兪」を刺激しますと、肝臓の機能が正常になり、肥満の原因である筋肉への脂肪蓄積が抑えられ、やせることにもつながります。また「腎兪」は、高尿酸症が腎臓の機能に影響を与えているときに、効果を示すツボになります。さらに「三焦兪」は、体の調子を整え、「筋縮」は痛風の痛みを軽減するのに大きな役割を果たします。
腹部では、「中脘」、「期門」、「肓兪」、「天枢」、「大巨」などのツボをとります。これらのツボは、やはり、肝・腎の機能を整えながら、痛風が胃腸の機能と関係が深いことより、消化・吸収をよくする狙いで用います。
加えて痛風の治療は、足のツボを処置することがきわめて重要なポイントになります。上述の足のツボを処置しますが、痛む足のツボを念入りに行います。「足三里」、「陰陵泉」などは、胃腸の働きを整え、活力をつけるツボでありますが、特に「陰陵泉」は脾経の経絡上にあるため、脾の臓の働きがよくなって、血液中の異物や細菌をやっつける免疫の働きも高まり、痛風による痛みも軽減させます。
「大敦」、「太衝」は肝経にあり、肝臓の機能を正し、「隠白」、「太渓」、「築賓」は痛風の痛みを抑え、また予防になります。ひじや手首が痛む場合は、「曲池」や「陽池」を治療すると良いでしょう。
痛風は灸治療が一番効きます。各々のツボに、米粒大のもぐさを3~5壮、1週間続け、3日休むペースで治療を行います。鍼治療もよく効きます。
痛風の家庭療法
痛風の発作が起こったときに、足指の股の部分4か所を親指の先で7~8秒グーッと押すのを4~5回繰り返します。痛む足を入念に押します。この部位は伝統鍼灸の書物には記されていませんが、中国で経験的に発見された箇所であります。
体からのSOS
足の親指がムズムズ・ピリピリ・・・痛風
足の親指がムズムズ、ピリピリする、そのような人は、痛風の発作がすぐに迫っているかもしれません。風すら当たっても痛いとされる痛風の原因は、尿酸という化学物質です。赤ちゃんから老人まで誰でも持っているこの物質の正体は遺伝子の残りカスです。
遺伝子は、塩基(プリン体)というアミノ酸の一種でつくられます。この塩基は、体のあちらこちらで新しい細胞をつくるために働き、最後は尿酸に変わって、尿として体外に出ます。
尿酸はもともと白い結晶で、便器のふちについている白いものもそれです。尿酸が血液中に増えすぎると、関節内に入り込んで白い結晶になって貼りつきます。この結晶はコンペイ糖のようにとげとげした形をしていて、それが関節内に蓄積されて粘膜を刺激し、ある日突然、激痛にになるわけです。
そして尿酸が最も集まりやすい場所が足の親指で、そこから最初の発作が起こります。発作が治まった後も、尿酸の結晶は消えないので、2度目、3度目と発作は続きます。高齢者の方は、この発作を嫌がり、活動頻度が落ちることで、寝たきりになることもあるようです。
痛風を予防するには、最初の発作が起こる前が勝負です。健康診断で尿酸値が高いといわれたら、治療を行います。尿酸値の正常値は7ですが、9を超えるといつ発作が起きてもおかしくはない状態です。
また、尿酸値を上げる食生活も見直さなければいけません。尿酸は遺伝子の材料であるプリン体からできるので、遺伝子の多い食べ物にが要注意です。遺伝子の多い食べ物の例としてはイクラやタラコがあります。卵一つには遺伝子がワンセット入っています。イクラやタラコは一粒一粒にワンセットの遺伝子が入っています。細胞の粒が細かい白子はさらにプリン体が多く存在しています。
そして、レバーなどの内臓にも多くの遺伝子がつまっています。尿酸値が気になりだしたら、これらの食べ物を極力避けて、遺伝子の残りカスがたまらないように気をつけましょう。
何科に行くべき?
内科/整形外科/リウマチ科
背中 「筋縮」、「肝兪」、「三焦兪」
「腎兪」
腹部 「中脘」、「期門」、「肓兪」
「天枢」、「大巨」
足 「足三里」、「陰陵泉」、「太衝」
「大敦」、「隠白」、「太渓」
「築賓」