眼精疲労の改善可能性を探る ー 東洋医学・鍼灸治療の視点から

「休んでも目の疲れが取れない…」
「目の奥が痛くて、頭痛や肩こりもひどい…」
「パソコンやスマホを見ると、目がかすんだり、乾いたりする…」
それは単なる「目の疲れ」ではなく、休息をとっても回復しない慢性的な「眼精疲労」かもしれません。現代社会では、デジタルデバイスの普及により眼精疲労に悩む方が急増しており、目の症状だけでなく、頭痛、肩こり、吐き気、集中力低下など、全身の不調に繋がることもあります。この記事では、眼精疲労の根本原因、特に現代生活との関わり、そして東洋医学に基づく鍼灸治療によるアプローチやご家庭でできるセルフケアについて詳しく解説します。
【目次】
1.眼精疲労とは?~その原因と様々な症状~
眼精疲労は、単に「目が疲れた」という状態ではなく、全身疲労の一症状ともいえます。目の症状と、それに伴う全身の不調が現れるのが特徴です。
- 目の症状
- 全身の症状
主な原因
原因としては、肉体的・精神的な疲労、睡眠不足などが挙げられます。また、眼鏡やコンタクトの度が合っていない、遠視・乱視・老眼の初期段階といった屈折調整の異常も大きな原因となります。
まずは専門医の診断を 目の疲労が頑固に続く場合は、自己判断は禁物です。 放置すると失明の恐れがある緑内障の初期症状や、脳腫瘍、高血圧・低血圧症、貧血など、他の病気が隠れている可能性もあります。まずは眼科などの専門医を受診し、原因をよく確かめることが非常に重要です。
これらの原因が認められない場合には、神経性眼精疲労(神経衰弱や心身のストレスによるもの)などが考えられ、このような健康な方が多く経験する目の疲れには、鍼灸治療が大変役立ちます。 東洋医学では、「目を司るのは肝であり、五臓六腑の精気は全て目に注ぐ」といわれ、目の症状を全身の問題と捉え、根本からの改善を目指します。
2.眼精疲労の大きな要因 現代生活との関係
パソコンやスマホによる影響(VDT症候群)
現代社会において、PCやスマホの長時間利用は眼精疲労の最大の原因です。ディスプレイを長時間見続けることで起こる心身の不調はVDT症候群とも呼ばれます。
- ドライアイの悪化
画面に集中すると、まばたきの回数が通常の3分の1程度に減少し、目が乾燥しやすくなります。 - ピント調節機能の低下
近い距離を見続けることで、目のピント調節筋(毛様体筋)が常に緊張し、疲労してピントが合いにくくなります。 - ブルーライトの影響
画面から発せられるブルーライトは、網膜に負担をかけるだけでなく、睡眠ホルモンの分泌を抑制し、睡眠の質の低下にも繋がる可能性があります。
「疲れ目」と「眼球運動」の重要性
「疲れ目」は一時的な目の疲労で、休息で回復しますが、放置すると慢性的な「眼精疲労」に移行します。 その原因の一つが、眼球運動の減少です。私たちは目を上下左右に動かすことで物を見ていますが、PCやスマホの使用中は、目の動きが固定されがちです。これにより、目の周りの筋肉の柔軟性が失われ、血行不良を引き起こし、疲れ目の直接的な原因となります。
「首こり・肩こり」が眼精疲労を引き起こすメカニズム
首や肩の筋肉の緊張は、眼精疲労と密接に関連しています。 長時間のデスクワークやスマホ操作による前かがみの姿勢は、首や肩の筋肉を持続的に緊張させます。硬くなった筋肉は血管を圧迫し、目への血流を悪化させます。 目が必要とする酸素や栄養が不足すると、目の疲れやすさ、かすみ、ドライアイといった症状が現れやすくなります。さらに、首周りの神経が圧迫されることで、目の奥の痛みや頭痛を引き起こすこともあります。
3.眼精疲労に対する鍼灸治療
鍼灸が眼精疲労に効果的な理由
- 血行促進
目や首、肩周りのツボを直接刺激し、滞っていた血流を改善します。 - 筋緊張の緩和
凝り固まった目の周りや首、肩の深層筋を鍼で効果的に緩めます。 - 神経機能の調整
過敏になっている神経を鎮め、目の奥の痛みや頭痛を和らげます。 - 東洋医学的アプローチ
「肝」の働きを整える足のツボなども用いて、全身のバランスを調整し、根本的な体質改善を目指します。
症状緩和に効果が期待できる主要なツボの例
眼精疲労の症状や体質に合わせて、以下のツボを中心に施術します。
具体的な鍼灸治療法
眼精疲労には、上記のツボへの鍼治療が非常に効果的です。マッサージや低周波療法を併用することもあります。
4.ご家庭でできる!眼精疲労のセルフケア
疲れ目を解消する眼球運動
意識的に眼球を動かすことで、目の周りの筋肉の緊張をほぐし、血行を促進します。作業の合間に短時間でも良いので取り入れましょう。
- 上下運動
まっすぐ前を見たまま、ゆっくりと視線を天井へ、次に床へ。数回繰り返します。 - 左右運動
同様に、視線を右端へ、次に左端へ。数回繰り返します。 - 円運動
時計回りと反時計回りに、ゆっくりと目を大きく回します。 - 寄り目運動
近くの目標物(指など)と遠くの景色に、交互に焦点を合わせます。
眼精疲労の家庭療法(温冷ケア・指圧)
- 温冷ケア
- 指圧:
画面作業時の注意点
- こまめな休憩
連続作業は1時間以内にとどめ、10~15分は目を休ませましょう。遠くの景色を見るのがおすすめです。 - 適切な作業環境
画面は目から40cm以上離し、やや下向きに設置。部屋の明るさに合わせて画面の輝度を調整します。 - 意識的なまばたきと正しい姿勢
意識的にまばたきをして目の乾燥を防ぎ、背筋を伸ばして作業しましょう。 - ブルーライト対策
ブルーライトカット機能やメガネを活用するのも一つの方法です。
ひごころ治療院では、あなたのつらい眼精疲労の原因を丁寧に見極め、最適な治療法とセルフケアをご提案します。長引く目の不調でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。