湿疹の原因 ー全身の健康管理と鍼灸治療
症状
湿疹は俗に「くさ」とも呼ばれ、皮膚の病気の中で最も多いものであります。広い意味では、湿疹というと接触性皮膚炎やアトピー性皮膚炎も含まれますが、普通はこういう特殊な湿疹以外のものをいいます。
その原因ははっきりしていないことが多く、体のいろいろな状態が関連しているようであります。特徴は、かゆみがあること、および小さい点状の発疹が固まってできることであります。
急性の場合は、ぶつぶつ(丘疹)、水ぶくれ(水疱)、赤みなどがみられ、ときにはかさぶたができることもあります。からだ中どこにもできて、慢性になると、境界のはっきりした湿疹になり、比較的に乾燥して、皮膚が厚く硬くなり、皮膚のしわがはっきりします。
湿疹は体質が深くかかわっていると考えられるので、これを治療するには、単に皮膚だけではなく全身病ととらえ、体調を整えて、体調の転調をはかることに重点を置きます。
また、湿疹は食生活の基本を整えないと根本的な体質の転調効果は上がりません。基本的には、日本の伝統的な食事を3食きちんととり、間食を避けることが大切になります。
鍼灸治療
主要なツボ
背中 「肺兪」、「肝兪」、「胃兪」、「三焦兪」、「腎兪」、「大腸兪」
腹部 「巨闕」、「中脘」、「天枢」
手部 「曲池」、「手三里」、「合谷」
足部 「足三里」、「三陰交」
などがよく使われます。
治療法
最初に、胃腸の状態を整えるために、腹部の前述の各ツボを中心に刺激します。灸治療であれば、1か所に3~5壮すえます。
さらに、背中から腰、臀部の後ろにかけて各ツボも刺激します。腹部同様に灸治療を行うと効果は一層高まります。
かゆみが強く、皮膚の荒れがひどい場合は、その症状があるところに、ツボにこだわらず灸を続けますと、かゆみがとれ、次第に湿疹がなくなってきます。なお、手の「合谷」は、あらゆる湿疹に効果があります。
湿疹が顔に出たら、前記のツボ以外に頭の「百会」、後ろ首の「天柱」、肩の「肩髃」、手の「手三里」、「陽池」などを加えて、手に湿疹ができたときは前述のツボに、手の「曲池」、「手三里」、「陽池」を、胸に湿疹がでたときは「中府」を加えて灸治療を行うとよいでしょう。
また、足の湿疹には、前述のツボに足の「陰陵泉」、「陽陵泉」、「足三里」、「築賓」などを加えます。
なお、子供の湿疹には、もぐさをごく小さめにして、1~2壮すえることから始めます。また、知熱灸や温灸器を利用しての刺激でもいいでしょう。
主婦湿疹
主婦湿疹は進行性指掌角皮症と呼ばれ、その原因は、内分泌障害、とくに卵巣機能の働きに関わるものといわれ、水や洗剤などの外的刺激が誘因となって起こるとされています。患者は20~40代の女性に多く、手足が冷える、頭痛、低血圧、不眠など、いわゆる自律神経失調の症状であることが多く、体質的に過敏なので、鍼灸治療で根本的な体質改善を図ったほうがいいでしょう。
治療法
主なツボは、腰の「腎兪」、「志室」、「次髎」、「胞肓」、腹部の「関元」、足の「血海」を用い、また、指や手のひらの部分の血液循環を改善するために、皮脂の分泌を促す、肩の「肩髃」、腕の「尺沢」、「孔最」、「内関」、「外関」、「曲池」、「陽池」、手の「合谷」を選択し刺激します。
灸であれば、透熱灸、半米粒大のもぐさで1カ所に3壮すえ、5日間続けて2日休むパターンを繰り返します。鍼も前述のツボに刺激します。
また、肩から腕、手のひらにかけて入念なマッサージや指圧も効果があるので、併用して行います。
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