こむらがえり

こむらがえりの原因と対処法 ー 鍼灸治療による即効ケアと根本改善

こむらがえり

「夜中に突然、足がつって激痛で目が覚める…」
「スポーツ中や、ふとした瞬間にふくらはぎが硬直する…」

突然襲ってくるつらい痛み、こむらがえり。ふくらはぎの筋肉が硬直するこの症状は、疲れや冷えが主な原因ですが、時には坐骨神経の問題や、他の病気が隠れているサインである可能性もあります。この記事では、こむらがえりがなぜ起こるのか、その原因と症状、そして東洋医学に基づく鍼灸治療によるアプローチや、いざという時に役立つご家庭での対処法について詳しく解説します。

【目次】

1.こむらがえりとは?~その原因と主な症状~

こむらがえりが起こるメカニズム

男性のふくらはぎ

こむらがえりとは、突然ふくらはぎの筋肉(腓腹筋、ヒラメ筋など)が異常に収縮し、硬直して激しい痛みを伴う状態を指します。 ふくらはぎだけでなく、太ももの後ろ、足の指、さらには手や背中など、他の部位の筋肉にも起こることがあります。

主な原因と誘因

  • 筋肉の疲労
    長時間の立ち仕事や歩行、水泳やハイキングなどの激しい運動後。
  • 冷え
    身体が冷えることで筋肉が収縮しやすくなり、血行も悪化します。
  • 脱水・ミネラル不足
    発汗などによる水分や、カルシウム、マグネシウムといったミネラルの不足。
  • 妊娠中
    体重増加による足への負担や、ミネラルバランスの変化、血行不良など。
  • 加齢
    筋肉量の減少や血行不良、動脈硬化など。
  • その他
    突発性脱疽(バージャー病)のような循環障害が原因となることもあります。

こむらがえりは、上手に処置をすれば、ほとんどの場合、後に症状を残しません。しかし、適切な処置がとられないと、しばらくの間、腫れぼったさや歩行時の痛みが残ることがあります。

坐骨神経との深い関係

ふくらはぎの筋肉は、腰からお尻、太ももの後ろを通り、ふくらはぎに至る坐骨神経ざこつしんけいによって支配されています。 そのため、この神経の通り道で何らかの異常(腰痛や神経の圧迫など)が起こったり、何かの拍子で神経機能が過敏になったりすると、ふくらはぎの筋肉にけいれん、つまり「こむらがえり」が起こりやすくなります。

習慣化と注意すべきケース

こむらがえりは、一度起こり始めるとクセのようになり、たびたび再発しやすくなることがあります。 そのため、ご自身でもマッサージや指圧の方法、効果的なツボを覚えておくと、いざという時に非常に便利です。

頻繁に繰り返す、または頑固なこむらがえりは、循環障害や全身の代謝障害といった他の病気が隠れている可能性もゼロではありません。症状が続く場合は、一度医療機関で相談することも大切です。

2.こむらがえりに対する鍼灸治療

鍼灸がこむらがえりに効果的な理由

  • 筋緊張の緩和
    鍼や灸で、けいれんして硬直した筋肉を直接的に、かつ深部から緩めます。
  • 血行促進
    滞っている患部の血流を改善し、発痛物質や疲労物質の排出を促します。
  • 鎮痛効果
    鍼刺激により、痛みの伝達を抑制し、つらい痛みを和らげます。
  • 神経機能の調整
    坐骨神経など、関連する神経の過敏な状態を鎮め、正常な働きを取り戻すよう働きかけます。
  • 根本原因へのアプローチ
    腰痛や冷え性など、こむらがえりの背景にある体質的な問題にもアプローチし、再発しにくい身体づくりを目指します。

症状緩和に効果が期待できる主要なツボの例

こむらがえりの治療や予防には、以下のツボがポイントとなります。

足部 「殷門いんもん」、「委中いちゅう」、「承筋しょうきん
   「承山しょうざん」、「陰陵泉いんりょうせん」、「太渓たいけい
腰部 「小腸兪しょうちょうゆ」、「膀胱兪ぼうこうゆ

具体的な鍼灸治療法(鍼・灸・マッサージ)

  1. まず、けいれんを起こしている足の親指を、足の甲側へ反り返すようにゆっくりと回します。(右回り、左回りを交互に)これだけでも痛みが和らぐことがあります。痛みが治まってきたら、ホットパックや蒸しタオルなどで患部を十分に温めます。
  2. 次に、太ももの後ろの中央にある「殷門」、ふくらはぎの「承筋」や「承山」、膝の裏の「委中」などを、親指や手のひらでゆっくりと、最初は優しく、次第に心地よい圧を加えながら、3~7秒ほど指圧します。これにより、けいれんによる痛みがさらに和らいでいきます。
  3. 足の裏の「湧泉ゆうせん」、すねの内側の「陰陵泉」、内くるぶしの後ろにある「太渓」などを処置すると、一層効果的です。
  4. さらに、こむらがえりは坐骨神経の働きとも関連が深いため、その神経の根元にあたる腰の「小腸兪」と「膀胱兪」も刺激します。これにより、過敏になっている神経の機能が抑制され、けいれんが治まりやすくなります。
  5. お灸(灸治療)の活用
    こむらがえりがクセになっている方には、お灸も大変効果的です。「殷門」や「承山」、そして胃腸の働きを整え全身の活力を高める「足三里あしさんり」などにポイントを置いて行うと良いでしょう。熱さがマイルドな知熱灸ちねつきゅうや、スライスした生姜の上でもぐさを燃やす生姜灸しょうがきゅうなども適しています。
  6. 粒鍼りゅうしんの活用
    ご自宅でのケアとして、市販の粒鍼(円皮鍼や置き鍼)を、痛む場所や鍼灸師に教えてもらったツボに貼るのも、手軽で効果的な方法です。

3.ご家庭でできる!こむらがえりの応急処置とセルフケア

こむらがえりは、まずご自身で手当てをするのが、てっとり早く効果的です。

  • 応急処置(筋肉を伸ばす)
    1. けいれんが起こっている足の親指をつかみ、ゆっくりと身体の方向へ(足の甲側へ)反り返すようにします。
    2. そのまま、ゆっくりと大きく、親指で円を描くように回します。(左に回したら、次は右に回す、というように)
    3. 痛みが治まるまで、焦らずゆっくりと行います。
  • 温める
    痛みが治まったら、ホットパックや蒸しタオル、お風呂などで患部を十分に温め、血行を促進しましょう。
  • マッサージ・指圧
    前述の「殷門」、「承筋」、「承山」、「委中」などを、お風呂上がりなど身体が温まっている時に、親指などで優しく指圧します。

ひごころ治療院では、あなたのつらい症状の改善はもちろん、再発しないための身体づくりと、ご家庭でできる効果的なセルフケアについても、丁寧にアドバイスさせていただきます。

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