骨盤位(逆子)

チューリップ

逆子のお灸 ー逆子とは?原因と鍼灸

【目次】

1.骨盤位こつばんい(逆子)って?
2.骨盤位(逆子)治療
3.逆子にならないためには…

骨盤位こつばんい逆子)って?

お腹に晒を巻いている妊婦

逆子は医学的には「骨盤位」といいます。逆子になる原因はいろいろ考えられますが、日常の生活動作で一番多いのは、お腹を圧迫する姿勢です。さらに、よくない原因として冷えがあります。水周りの仕事は多くの冷えを受けやすい環境にありますので要注意です。薄着やクーラーも冷えの原因です。最近はさらし・・・をまかず、腰周りや太ももを保護していない妊婦さんが多いように思います。

身体が冷えることに無頓着な妊婦さんは、冷たい飲み物や食べ物をよく摂ります。暑い時期には、冷やし中華、冷麦、そうめん、ざるそば、ゼリーなどを常食し、氷まで食べていることがあります。妊婦さんの体が冷たいと、胎児は温かい心臓の方へ頭を向けようとします。この行動が逆子の始まりと考えられます。

骨盤位(逆子)治療

治療する時期に一定の条件があります。最も有効な期間は28週~32週です。胎児の状況によっては26週からでも可能です。赤ん坊は大きくなりはじめると子宮の中でくるくる回っています。逆子(骨盤位)は、25週以下では治療しても戻りやすいため、医師はあまり問題視しないことが多いです。鍼灸治療では、1回目の治療で約30%、2回目の治療で約30%、3回目~5回目の治療で約30%の矯正成功率があります。

ただし、以下の場合、逆子の矯正が困難になることがあります:

  • 臍帯が長く、赤ちゃんの首に巻きついている
  • 臍帯が短すぎる
  • 前置胎盤
  • 赤ちゃんがあぐらをかいて正面を向いている
  • 胎児に重篤な病気がある

これらの状態はレントゲンや帝王切開で確認され、触診では困難です。また、冷えが強いお母さんの場合、5回の治療で取り除くことが困難です。しかし、冷えを解消し、子宮を柔軟にするために、足の小指にある「至陰」というツボにお灸を40週まで続けることが有効です。陣痛が始まったときに逆子が改善されることもあるため、諦めずに取り組むことが大切です。

赤ちゃんに一生懸命語りかけ、精一杯のことをすれば、赤ちゃんがそれに応えてくれるかもしれません。

元気な妊婦さん

逆子にならないためには…

専門書をご覧になった方ならご存知かと思いますが、妊婦が体を冷やしてはいけない理由について説明いたします。

  1. 妊娠中毒1になりやすい
  2. 胎児の成長が悪くなる可能性がある
  3. 羊水の量が減少し、赤ちゃんが適切な環境で成長できなくなる
    (これにより、胎児の安全性にも問題が生じることがあります。)
  4. 微弱な陣痛が起こりやすくなる
  5. 出産に時間がかかりすぎる可能性があり、母体の体力が消耗し危険にさらされることがある
  6. 陣痛促進剤の使用が必要になる可能性が高まる
  7. 帝王切開が必要になる可能性が高くなる
  8. 死産のリスクが高まる
  9. 母乳の出が悪くなり、人工乳を使用せざるを得ないことがある
  10. 出産後の体力の回復に時間がかかることある
  11. 逆子になりやすくなる

これらの理由から、妊婦さんの体を冷やすことは避けるべきです。体を冷やして生じた症状を薬で解消することには問題があります。胎児への影響を考慮すると、鍼灸治療がお勧めされます。妊婦の健康管理は、お子さんの未来にも関わる重要な要素です。

逆子に関して言えば、体の冷えは足元から入りやすいですが、太ももやお尻、お腹が冷えると赤ちゃんは頭部が冷えすぎるのを避けるために自然とひっくり返ろうとします。これは本能的な反応と考えられます。したがって、体を冷やすことを止めないと元に戻りにくい状態になる可能性があります。

逆子を治療するための「逆子体操2」がありますが、しっかりした指導を受けられれば良いのですが、妊婦が運動することには強度や回数に抵抗があり、その効果は限定的なようです。昨今は手技による回転術も行いますが、これには熟練が必要であり、胎盤の剥離を起こさないように慎重に行われます。ただし、この技術を持っている人は今日では限られています。

当院では、手技による回転術以外に、逆子の治療には鍼灸治療が最も効果的であると考えられます。実際、鍼灸治療の有効性は医学博士の称号を持つ医師からも認められており、現代医学界でもその効果が認識されています。治療により子宮の筋肉が収縮し、胎児を通常の位置に戻す力が生じます。お母さんの自然な力を利用するため、安全性も高いです。

気を強く持つこと」が東洋医学の根幹です。当院では多くの方に東洋医学の素晴らしさを正しく理解し、治療を受けていただきたいと考えています。

  1. 妊娠中毒症(Pre-eclampsia)は、妊娠中に母体が適応できない体の変化によって引き起こされる病態です。具体的には、妊娠による血管の変化や血圧の上昇が原因で、母体の臓器に損傷を与えることがあります。この病態は、通常、20週以降に発症し、高血圧、腎機能障害、体重増加などの症状が見られます。

    妊娠中毒症は、母体だけでなく、胎児にも影響を与える可能性があります。例えば、胎児の成長が遅れることや、早産のリスクが高まることがあります。治療には、血圧を下げる薬の投与や、場合によっては早産を行うことが含まれます。  ↩︎
  2. 逆子体操のステップ
    ①お尻を高く上げて四つん這いになる
    ②両手はまっすぐ前に伸ばす
    ③はじめは数分から慣れてきたら15分ほど行う
    ④終わったら急に立ち上がらずに数分間横になる  ↩︎
逆子体操をする女性