免疫学から読み解くパーキンソン病。脳血流と自律神経が握る鍵
「手が震える」「動きがぎこちない」…パーキンソン病は、高齢化社会において避けて通れない病気になりつつあります。
現代医学では、脳内のドーパミン減少が原因とされ、それを補う治療が行われます。しかし、なぜ治療を始めても病状が悪化することがあるのでしょうか?
今回は、免疫学と自律神経の視点から、パーキンソン病のメカニズムと、見落とされがちな根本原因について解説します。
ドーパミン減少の背景にある、脳の「血流障害」
パーキンソン病の主な症状は、脳のドーパミン減少によって起こります。では、なぜドーパミンが減少するのでしょうか?
その大きな原因として、老化に伴う「脳の血流障害」が考えられます。 老化が進むと、脳への血流が低下しやすくなります。脳血流が滞ることで、神経細胞の働きが衰え、神経間の伝達物質であるドーパミンの分泌が低下してしまうのです。ドーパミン以外の神経伝達物質も影響すると考えられますが、ドーパミンの減少が特に顕著です。
- 交感神経(活動・緊張の神経)の緊張維持
ストレスや働きすぎ、薬の副作用などによって交感神経が優位になり続けると、血管が収縮し、脳への血流が低下します(機能的・器質的な動脈硬化も影響)。 - 副交感神経(休息・リラックスの神経)の過剰優位(肥満など)
肥満や運動不足によって副交感神経が過剰に優位になると、逆に血管が拡張しすぎて血流が停滞します(むくみなどの症状を伴う場合がある)。
脳血流を悪化させる2つの自律神経パターン
現代医学で行われるL-ドーパ(ドーパミンの原料)やMAO阻害剤(ドーパミンの分解を抑える薬)などによる治療は、脳内のドーパミン濃度を上げることを目的としています。
しかし、これらの薬は全身にも作用し、交感神経を強く緊張させる側面があります。すでに老化によって脳血流が低下している患者にとって、更なる交感神経緊張は血管をより収縮させ、脳血流をますます低下させることになりかねません。これが、一部の患者において治療開始後に病状が悪化する一因となっている可能性が考えられます。
ドーパミンを分解する酵素の働きを抑え、ドーパミンを長持ちさせる薬。
人種や肥満度による治療効果の違い
脳血流障害が副交感神経過剰(肥満)によって起こっている場合、ドーパミンを増やす治療薬が効果を表すこともあります。欧米人に肥満が多いと言われるように、このケースは白人に多く見られます。治療薬が「やせ薬」のように働き、交感神経を刺激することで、血管拡張による血流停滞を改善させる可能性があると考えられています。
一方、日本では過剰肥満による血流障害は少なく、交感神経緊張による血流障害の割合が多いと考えられます。そのため、ドーパミンを増やす治療薬が全身の交感神経を緊張させ、脳血流を低下させることで、病状を悪化させる要因となっている可能性が高いのです。日本人においても、肥満による血流停滞が原因の場合は、効果を表す可能性があると考えられます。
見落としがちな引き金。「痛み止め」の常用リスク
パーキンソン病の発症には老化や肥満が関わりますが、もう一つ注意したいのが「NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)」などの痛み止めの常用です。
腰痛や膝痛などで痛み止めを使い続けることは、血管を収縮させ、交感神経を緊張させ、血流を低下させます。これが高齢者を交感神経緊張状態に追い込み、パーキンソン病をはじめとした、老化に関連した病気のリスクを高めている可能性があるのです。
ロキソニン、イブプロフェンなど、炎症や痛みを抑える薬。長期的な使用は胃腸障害のほか、血管収縮による血流低下のリスクがある。
まとめ ~ 根本原因へのアプローチ
パーキンソン病の根本的な改善のためには、単にドーパミンを補うだけでなく、脳血流障害の原因となっている自律神経の乱れを見直すことが重要です。
- 交感神経が緊張している場合は、リラックスする時間を持ち、ストレスを軽減する。
- 副交感神経が過剰優位(肥満)の場合は、適度な運動や食事制限で肥満を解消する。
- 痛み止めの常用を見直す。
東洋医学の全体論的な視点に基づき、心身のバランスを整え、血流を改善させる(気血を巡らせる)ことが、パーキンソン病の回復への近道となるかもしれません。














脳内でドーパミンに変換される原料。