マクロファージ と生体防御反応の基本
免疫 8
生体防御反応の基本はマクロファージである
マクロファージの役割と進化
下等な多細胞生物時代のマクロファージは多くの種類の血球細胞を生み出しましたが、単細胞時代の姿をそのまま残し続けたのがマクロファージです。その姿は、その動物の単細胞時代の姿に最も近いものといえます。
マクロファージは全身のすべてに分布し、その部位特有に進化を遂げて形態や機能を微妙に変えています。血液中を循環して、炎症部位に移行するものは単球と呼ばれます。肺に存在するものは肺胞マクロファージ、肝臓に存在するものはクッパー細胞、脳に存在するものはグリア細胞と呼ばれます。
心臓や血管も原始マクロファージから進化しているので、血管内皮細胞はマクロファージのように貪食能を発揮し、異物を飲み込むことがあります。マクロファージと血管内皮細胞は兄弟なのです。
マクロファージの様々な機能
マクロファージは多くの分身を生み出しましたが、この分身たちの反応や排除は、マクロファージによって調整される面が多くあります。
寿命の終わった赤血球は脾臓や肝臓のマクロファージが処理し、血小板によってできた血液凝固物はマクロファージが貪食して処理します。顆粒球が引き起こした化膿性の炎症は外に排泄するか、組織内部で排泄できない場合は、マクロファージがきて貪食により吸収します。リンパ球の引き起こしたアレルギー炎症によって浮腫や繊維化が起こった組織も、マクロファージがきて吸収し、治癒に至ります。
また、マクロファージはリンパ球に対して抗原処理と抗原提示を行います。この働きをさらに高めて進化したものが樹状細胞です。樹状細胞はあらゆる免疫組織に存在し、貪食能は退化し、抗原提示能に専念しています。樹状のように突起を延ばしてリンパ球と相互作用をし、免疫反応を引き起こします。
逆に、肝臓に存在するクッパー細胞や肝樹状細胞は免疫抑制的に働きます。これらの働きによって、門脈から肝臓に入った抗原は免疫寛容(特定抗原に対する特異的免疫反応の欠如または抑制状態)を引き起こします。
この記事を読めば、免疫について理解できるかと思います。分かりやすく、丁寧に解説するので、ぜひ一緒に学びましょう!
今回の講義の概要
・マクロファージの基本的な役割
・マクロファージの機能
・樹状細胞と免疫抑制細胞の役割