免疫 42

免疫 42 免疫学から考えるアレルギー疾患

免疫学から考えるアレルギー疾患 ー 異物排除反応としてのI型アレルギー

アレルギーという言葉は広く知られていますが、免疫学の視点から見ると、それは単なる不快な症状の集まりではありません。むしろ、体が外部からの特定の異物を排除しようとする、極めて合理的な防御反応が過剰に発現した結果として捉えられます。

この記事を読めば、免疫について理解できるかと思います。分かりやすく、丁寧に解説するので、ぜひ一緒に学びましょう!

今回の講義の概要

アレルギーの定義とⅠ型アレルギーの焦点
Ⅰ型アレルギーのメカニズムと症状
反応の強弱と生体防御としての本質

免疫学から考えるアレルギー疾患

ー異物排除の反応がアレルギー疾患につながる 

歴史的に見ると、「アレルギー」という言葉は、体にとって不利益な免疫反応全般を指していました。このため、従来の免疫学の教科書では、アレルギー疾患の範疇に自己免疫疾患や補体が関与する血清病なども含めて分類されることがありました。

しかし、免疫反応自体が常に過剰反応を引き起こす可能性を秘めているため、あまりに多くの免疫疾患をアレルギー疾患に含めてしまうと、分類としての意味が希薄になってしまいます。したがって、本稿では一般的に広く理解されているⅠ型アレルギーのみを取り扱います。

Ⅰ型アレルギー疾患は、全て動物や植物由来の微量な異物を体内から排除しようとする反応です。発疹、下痢、呼吸促迫などの症状は、この異物排除反応の結果として現れます。Ⅰ型アレルギー疾患には、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、花粉症のほか、寄生虫疾患も含まれます。

アレルギー反応は、リンパ球と抗原の反応から始まりますが、特にリンパ球が産生するIgE抗体が抗原と結合し、その複合体が肥満細胞、好塩基球、好酸球といった細胞に作用することで、ヒスタミン、セロトニン、アセチルコリン、プロスタグランジンなどの化学伝達物質が放出されます。これらの物質はいずれも、抗原や抗原抗体複合体を体外へ排泄する反応を誘導するものです。

特に、アレルギー反応の強弱は、その個人の免疫状態に深く関連しています。リンパ球が多い、いわゆるアレルギー体質の人がストレスを受けたり、多量の抗原にさらされたりしたときに、反応は強く起こります。そして、症状自体は不快であっても、これらが抗原を体外に排除するための生体防御反応であるという本質を見落としてはなりません。

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