免疫 40

免疫 40 リンパ節

リンパ節 ー 陸上生物の免疫最前線

リンパ節は、血管系とは異なる独自の循環系を持つリンパ管の途中に位置し、私たちの体を外部からの侵入者から守るための重要な免疫組織です。その進化は、生物が陸上へと生活の場を移し、新たな外来抗原に直面するようになった時代に深く根ざしています。

この記事を読めば、免疫について理解できるかと思います。分かりやすく、丁寧に解説するので、ぜひ一緒に学びましょう!

今回の講義の概要

リンパ節の進化と機能
抗原提示とリンパ球応答の場
全身の免疫監視と関連組織

リンパ節

リンパ管は体液を循環させる管であり、血液を循環させる血管と対比できます。このリンパ管の一部が膨らみ、胸腺で成熟したT細胞を受け入れる免疫組織へと進化したのがリンパ節です。 この進化は、生物が両生類として陸上へ進出した時期に起こったと考えられています。

リンパ管には静脈と同様に弁があり、体の動きによって末梢からリンパ節へと体液(リンパ液)が流れます。手足が傷ついて抗原が侵入した際、これらから身を守る必要があります。つまり、生物が陸上生活を始めて急激に外来抗原にさらされるようになったことで、これらの抗原を捕捉するシステムとしてリンパ管とリンパ節が加わったと考えられます。

リンパ節には、マクロファージや樹状細胞が存在し、リンパ球の隙間に偽足ぎそくを伸ばしています。これらの細胞は抗原を捕捉して細胞内で処理し、その情報を細胞膜上に提示します。偽足に接したT細胞やB細胞は、これらの抗原を認識し反応を始めます。

リンパ節はリンパ球がぎっしりと詰まっていますが、一様な構造ではありません。大型のリンパ球が集まって、リンパ濾胞ろほうと呼ばれる明るく丸い組織を形成しています。特に、抗原刺激が盛んに起こっているときは、このリンパ濾胞が拡大します。主にB細胞が活発に分裂・増殖しており、周囲をT細胞が取り囲んでこれを助けています。

リンパ節にはリンパ液が入るリンパ管と出るリンパ管があり、出るリンパ管が集まって胸管となります。胸管は胸部で静脈に合流し、リンパ液を血液循環に戻します。リンパ節内のリンパ球は、およそT細胞が7割、B細胞が3割と、T細胞の数が多くなっています。

末梢の体液は毛細血管から滲み出て流れ出たものであるため、リンパ液も血液と同様に全身を循環しています。このため、一部のリンパ節で刺激されたリンパ球クローンも、程度の差はあれ、他の部位にも出現します。

リンパ節と同じ構造を持つものとして、腸にはパイエル板があります。しかし、パイエル板にはリンパ管がなく、周囲から直接抗原を取り込んでいると考えられています。扁桃やアデノイドなども巨大なリンパ組織ですが、これらもリンパ管を持たないリンパ節の一種と言えます。

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