免疫 37

免疫 37 子宮の免疫組織

子宮の免疫組織 ー 妊娠を支える防御システム

子宮は、新たな生命を育む器官ですが、単に胎児を物理的に保護するだけではありません。妊娠中、子宮、特に胎盤と接する母体側では、独特な免疫システムが活発に機能し、胎児という「異物」を拒絶することなく受け入れつつ、母体と胎児双方の安全を守る重要な役割を担っています。

この記事を読めば、免疫について理解できるかと思います。分かりやすく、丁寧に解説するので、ぜひ一緒に学びましょう!

今回の講義の概要

妊娠時の子宮における特殊な免疫細胞の出現
胎児組織に対する防御と過剰反応の制御
自律神経系による免疫制御とリスク

古くからある免疫組織

子宮

妊娠時の子宮では、胎盤と接する母体側に多数のNK細胞や胸腺外分化T細胞が出現します。これらの多くは、この部位で独自に胸腺外で分化したリンパ球だと考えられます。また、顆粒球も存在しています。

妊娠時の胎児組織は、がん細胞以上に増殖が早いため、これらが母体へ迷入してくる危険性があります。これを阻止するための防御系として、NK細胞、胸腺外分化T細胞、顆粒球が働いています。

これらのリンパ球や白血球の働きが十分でないと、胎児組織が母体に迷入して胞状奇胎や絨毛性疾患(絨毛上皮がんなど)を引き起こすことがあります。逆に、これらのリンパ球や白血球が過剰に反応すると、妊娠高血圧症候群妊娠中毒症)を引き起こします。いずれの細胞も交感神経の支配下にあるため、高血圧をもたらすような体調のときに活性化し、胎児を攻撃して流産を招いたり、循環して腎臓などの自己組織を攻撃し、妊娠高血圧症候群による腎障害を引き起こしたりすることがあります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です