免疫 36

免疫 36 外分泌腺の免疫システム

外分泌腺の免疫システム ー 扁桃・虫垂から見る進化と役割

外分泌腺は、単に分泌物を生成するだけでなく、体内で重要な免疫機能を担う「古くからある免疫組織」の一部です。

この記事を読めば、免疫について理解できるかと思います。分かりやすく、丁寧に解説するので、ぜひ一緒に学びましょう!

今回の講義の概要

外分泌腺の豊富なリンパ球 
各外分泌腺の免疫発達要因 
胸腺外分化T細胞の関与

古くからある免疫組織

外分泌腺

扁桃や虫垂、涙腺、乳腺、耳下腺、顎下腺といった外分泌腺には、多数のT細胞やB細胞が存在します。特に、扁桃や虫垂は、リンパ球の塊そのものと言えます。扁桃は呼吸や飲食のたびに抗原が侵入するため、その刺激によって大きく発達したと考えられます。

哺乳類にはすでに扁桃が発達していますが、どの動物と比べてもヒトの扁桃の発達は著しいと言われています。より正確には、口蓋扁桃は、ヒトが言葉を話すことによってさらに発達したと考えられます。話すことは息を吐き出す行為であり、必ず吸う行為が伴います。そして、この呼吸とともに抗原にさらされることで、扁桃が肥大化したと考えられます。

虫垂の発達は草食動物で顕著です。食物繊維を虫垂に停滞させ、腸内細菌や腸内原虫に餌として分解させ、その後にそれを吸収して栄養としています。増殖した細菌や原虫自体も栄養価の高い餌となります。このような腸内微生物群から身を守るために発達したリンパ組織が虫垂です。
その他の外分泌腺の周囲もリンパ球が豊富で、いずれもその場で胸腺外分化するT細胞から成ると考えられます。特に、乳腺では授乳期にリンパ球が増加します。いずれの外分泌腺も常在菌が住み着く場所であるため、早期にリンパ球による免疫機能が発達した部位となりました。

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