自己抗体産生 ー自己抗体とB細胞の進化
自己抗体産生
自己抗体は、自己成分に反応する抗体です。自己免疫疾患に限らず、老化が進むと誰でも血清中に自己抗体が出現します。このため、自己抗体は必ずしも悪者ではなく、老化で自然に生じる老廃物質を速やかに処理するために必要不可欠な存在と考えられています。
自己抗体を産生することで知られるのは、CD5⁺B細胞です。通常のB細胞(CD5⁻B細胞)とは異なり、CD5抗原は通常T細胞に発現するタンパク質です。CD5⁺B細胞は扁桃や腹腔中、さらには臍帯血中にも多く見られます。
また、CD5⁻B細胞の中にも自己抗体を産生するものが存在し、これらをCD5⁺B細胞と合わせて「B-1細胞」と呼びます。B-1細胞には、CD5を発現する「B-1a細胞」と、発現しない「B-1b細胞」があります。一方、通常のB細胞(自己抗体を産生しないもの)は「B-2細胞」と呼ばれます。
B細胞系列の進化
NK/T細胞系列がNK細胞、胸腺外分化T細胞、通常T細胞へと進化してきたように、B細胞系列もB-1a細胞、B-1b細胞、B-2細胞へと進化したと考えられます。リンパ球は進化しても、古いタイプの細胞を完全に消去せず、一部を残すという特徴があります。
老化により胸腺システムが不要になると、進化レベルの古いNK細胞や胸腺外分化T細胞、B-1a細胞、B-1b細胞が再び活躍します。
自己抗体は主にIgMですが、IgG型のものも存在します。これらの自己抗体産生B細胞と胸腺外分化T細胞は相互に協力して機能する可能性があり、進化したT細胞と進化したB細胞の関係に類似しています。
この記事を読めば、免疫について理解できるかと思います。分かりやすく、丁寧に解説するので、ぜひ一緒に学びましょう!
今回の講義の概要
・自己抗体の役割
・B細胞の分類と進化
・古い免疫システムの重要性