免疫 19

パンジーの花

胸腺外分化T細胞 の発見とその特徴

この記事を読めば、免疫について理解できるかと思います。分かりやすく、丁寧に解説するので、ぜひ一緒に学びましょう!

今回の講義の概要

胸腺外分化T細胞の発見
γδT細胞とαβT細胞の分化の違い
NKT細胞の特徴と認識

胸腺外分化T細胞

T細胞は、胸腺(thymus)で作られるため、その頭文字をとってT細胞と名付けられました。その後長い間、T細胞は胸腺でのみ作られていると考えられていました。しかし、1990年に安保氏によって、肝臓には独自に分化している可能性のある不思議なT細胞が存在することが発表されました。

T細胞は、CD4陽性のヘルパーT細胞とCD8陽性のキラーT細胞に分類されますが、肝臓には多くのCD4⁻CD8⁻T細胞があり、その膜上のTCR(T細胞レセプター)の量は胸腺で作られるものより約1/5と少なかったのです。翌1991年には、腸管上皮内に存在するT細胞も胸腺外分化を示していることが報告され、肝臓や腸管が胸腺外T細胞の分化の主な部位であることが明らかになってきました。

腸管や肝臓には、α鎖とβ鎖からなるTCRを持つαβT細胞のほかに、γ鎖とδ鎖からなるTCRを持つγδT細胞も存在し、これらもこれらの部位で胸腺外分化している可能性が高いです。γδT細胞は胎生期に胸腺で初期に作られ、その後消えます。しかし、肝臓や腸管ではむしろ出生後にγδT細胞が作られます。

γδT細胞とαβT細胞を比較すると、前者の方が進化レベルが低いと考えられます。マウスの生体の腸管では、γδT細胞:αβT細胞の比率が1:1ですが、加齢に伴いαβT細胞が増加する傾向があります。

肝臓の胸腺外分化T細胞にはNKマーカー陽性のものがあり、これらを「NKT細胞」と呼びます。NKT細胞は胸腺の髄質で作られ、その後肝臓に定着すると考えられます。先天的に胸腺を欠くヌードマウスの肝臓には、数は少ないものの、かなりのT細胞が存在し、NK1.1⁻TCR^int⁻細胞として定着できます。

NKT細胞はTCRのα鎖としてVα14を好んで使用し、糖脂質のような特殊な抗原を認識することが明らかになりつつあります。また、MHCクラスⅠ様分子として知られるCD1に糖脂質が結合し、これをVα14⁺NKT細胞が認識するという形になっています。

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