免疫 17

ガーデンシクラメンの花

NK細胞 とは?その進化と役割

この記事を読めば、免疫について理解できるかと思います。分かりやすく、丁寧に解説するので、ぜひ一緒に学びましょう!

今回の講義の概要

NK細胞の特徴と役割
細胞殺傷タンパク質と接着分子
MHCとキラー活性の関係

NK細胞 はがん・・細胞をやっつける

NK細胞(ナチュラルキラー細胞)は、NK/T細胞系列の進化において最初に生まれたリンパ球です。形態学的特徴により、大型顆粒球(LGL)とも呼ばれます。広い細胞質にアズール顆粒を持つため、この名前が付けられました。マクロファージから進化して間もないため、マクロファージに似た形態を示しています。

NK細胞は1975年に日本の仙道富士郎氏、アメリカのハーバーマン氏、スウェーデンのヴィグツェル氏によって同時に報告されました。健康な人の末梢血中に、がん細胞を殺す能力のあるリンパ球が見出されました。その後、NK細胞はがん細胞だけでなく、ウィルス感染細胞も殺すことが分かりました。

驚くべきことに、がん細胞に接着してこれを殺すNK細胞は、あらかじめ免疫されたものではなく、健康成人の末梢血に一定数存在しています。これは、T細胞やB細胞が抗原で刺激されて初めて働くのとは異なります。

自分らしさを失った細胞をやっつける

NK細胞の細胞質内の顆粒には、パーフォリンやグランザイムといった細胞殺傷タンパク質が含まれています。これらのタンパク質をがん細胞などに作用させて殺します。その前にがん細胞との接着が必要ですが、NKR-P1、CD16、CD2など様々な接着分子の組み合わせで結合し、キラー活性を発揮します。

私たちの細胞のほとんどは、MHC(主要組織適合抗原)を発現して自分らしさを示しています。他人の臓器や細胞を移植すると、このMHCの構造の違いにより拒絶されます。面白いことに、NK細胞は体内の自分の細胞がMHCを失うとキラー活性を発揮することが知られています。自分らしさを失ったものを排除しようとするのです。

がん細胞でもMHCを持ったままがん化した場合はT細胞(キラーT細胞)が攻撃し、MHCを失ってがん化した場合はNK細胞が攻撃します。がん組織中に浸潤しているリンパ球を、がん浸潤リンパ球(TIL)と呼びますが、TILの内容はがん細胞の種類によって決まる傾向があります。

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