T細胞とB細胞 の進化と抗原認識の違い
T細胞とB細胞 の抗原の認識の違い
リンパ球は、T細胞とB細胞の2系列で別々に進化してきました。T細胞とB細胞は抗原と特異的に反応するという点は似ていますが、その認識方法が全く異なっています。
T細胞は抗原を捕えるとき、MHC(主要組織適合抗原)に入った抗原をまとめて認識しますが、B細胞の場合は単独で抗原を捉えて認識します。それぞれ「TCR(T細胞レセプター)-MHC+抗原」と「Ig(免疫グロブリン、B細胞の抗原レセプターである)-抗原」と表すことができます。
もう一つの違いは、TCRはT細胞から離れることはありませんが、IgはB細胞から離れ、体中を駆け巡ることです。それぞれの特徴を生かして生体防御に役立っています。
NK/T細胞系列の進化
T細胞は突然、進化の頂点に達したわけではなく、「NK細胞(ナチュラルキラー細胞)→胸腺外分化T細胞→通常の胸腺由来T細胞」という順序で進化してきたと考えられます。NK細胞より前はマクロファージです。これらの形態の変化を見ると、順次進化してきたことが分かります。
NK細胞は条件が整うと細菌などを貪食し、マクロファージ時代の貪食能力がまだ少し残っています。胸腺外分化T細胞になると、貪食能は完全に失われます。
NK細胞も胸腺外分化T細胞も通常のT細胞も、抗原を認識する能力がありますが、全て接着分子の組み合わせでこれを行います。胸腺外分化T細胞と通常のT細胞には、接着分子の中にTCRが加わったことが理解できます。実際、これらT細胞であっても、LFA-1、CD44、L-セクレチン、CD4、CD8などの接着分子のいくつかを同時に使わないと抗原と反応できません。
三者をまとめてNK/T細胞系列と呼びます。これら三者の進化は、エラ(のちに胸腺)、腸管、肝臓、皮膚、外分泌腺の周りで起こったと考えられます。エラは最も抗原が来やすい場所だったので、後に胸腺となり、もっとも進化したT細胞をつくり出す器官になったと考えられます。
この記事を読めば、免疫について理解できるかと思います。分かりやすく、丁寧に解説するので、ぜひ一緒に学びましょう!
今回の講義の概要
・T細胞とB細胞の抗原認識の違い
・NK/T細胞系列の進化
・接着分子の役割