免疫 11

デルフィニウムの花

リンパ球の進化 とマクロファージの進化:免疫システムの進化的視点

この記事を読めば、免疫について理解できるかと思います。分かりやすく、丁寧に解説するので、ぜひ一緒に学びましょう!

今回の講義の概要

マクロファージの進化と機能の変化
リンパ球の二つの系統
リンパ球とマクロファージの機能の比較

免疫 11

リンパ球の進化

マクロファージの進化

マクロファージは貪食能を退化させる一方で、接着分子を進化させる歩みを始めました。マクロファージ時代には、接着分子は炎症部位に固着するためのタンパク質でした。これはまた、異物を認識する分子でもあり、異物を認識する免疫反応へとつながっていきます。

免疫に使われる接着分子の中には、免疫グロブリンスーパーファミリーがあります。これはアミノ酸約100個からなる基本構造で、2個、4個と組み合わせて使用されます。

リンパ球にある2つの系統

マクロファージからリンパ球への進化の歩みは、2つのラインとして起こっています。一つがNK/T細胞系列であり、もう一つがB細胞系列です。NK/T細胞系列もB細胞系列も、消化管を取り巻いたマクロファージから進化したものと考えられます。

NK/T細胞系列

NK/T細胞系列の進化の極限にあるT細胞は、標的細胞のMHC(主要組織適合抗原)に入った異物をT細胞レセプター(TCR)で認識します。認識したら、細胞内に蓄えておいた分解酵素などをその異物結合自己細胞に振りかけて殺し、速やかにそれを排除するという働きを持っています。

B細胞系列

もう一方のB細胞は、異物をB細胞の抗原レセプターである免疫グロブリン(Ig)で直接認識し、異物を凝集させてしまいます。免疫グロブリンは元の細胞から分泌され、抗体として体液中や血液中を駆け巡る方向に進化しています。

マクロファージとリンパ球の比較

免疫系をつかさどるリンパ球は、一見マクロファージとは似ても似つかないように見えます。しかし、接着分子(TCR)と接着分子(MHC)の間に異物があった場合、T細胞の働きのように異物付着細胞を丸ごと殺すか、あるいはB細胞の働きのように接着分子単独で異物を追いかけるかという点で共通しています。これは、マクロファージの機能を一部退化させ、一部の働きを拡大進化させたものと理解できます。

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