血液の細胞成分 ー赤血球、白血球、血小板の役割と進化
免疫 6
血液を流れている細胞成分
血液中には、酸素を運ぶ赤血球と、生体防御にかかわる白血球があります。赤血球が圧倒的に多いため、血液は赤く見えます。赤血球と白血球は異なるように見えますが、同じ仲間です。
原始マクロファージから酸素を運ぶ機能が強化されて生まれたのが赤血球です。鳥類までは有核ですが、ほ乳類に進化すると脱核して無核の細胞になります。脱核によってMHC(主要組織適合抗原)発現が消失しました。MHCとは、抗原の断片を分子中に入れてT細胞に抗原提示する蛋白質です。赤血球がMHCを失うことで、血液型さえ合えば他人への輸血(これは移植でもあります)が可能になります。
原始マクロファージからは白血球も生じますが、進化の過程で、マクロファージ、顆粒球、リンパ球に分化しています。この3種類の白血球は、マクロファージを基本に、貪食能が発展したのが顆粒球、免疫能が発展したのがリンパ球と理解するとよいでしょう。
また、原始マクロファージからは血小板も進化しています。血液凝固に関わる血小板は、マクロファージから進化した巨核球が断片化したものです。
このようにして、原始マクロファージから白血球、血小板、赤血球が進化し、これらはすべて骨髄にあるc-kit⁺幹細胞から分化・成熟します。このような幹細胞の性質を多分化能があるといいます。
この記事を読めば、免疫について理解できるかと思います。分かりやすく、丁寧に解説するので、ぜひ一緒に学びましょう!
今回の講義の概要
・血液の細胞成分とその機能
・赤血球とMHCの関係
・多分化能を持つ骨髄幹細胞