免疫 4

免疫システム

免疫システム の多様な役割ー特異性から自己免疫疾患まで

この記事を読めば、免疫について理解できるかと思います。分かりやすく、丁寧に解説するので、ぜひ一緒に学びましょう!

今回の講義の概要

特異性
免疫記憶
白血球の役割

人のからだを守る機構は免疫系だけではない

がん免疫の多くはNK細胞(ナチュラルキラー細胞)によって担われていますが、その特異性は低く、免疫記憶もありません。また、マラリア感染の防御は胸腺外分化T細胞によって担われますが、特異性は高いものの免疫記憶は1年ほどで失われます。リンパ球と対極にある顆粒球は、その存在を無視すると多くの化膿性疾患や組織障害の理解が難しくなります。

例えば、自己免疫疾患顆粒球NK細胞、胸腺外分化T細胞が関与し、進化レベルの高いT、B細胞はほとんど関与していません。顆粒球NK細胞の活性化によって組織障害が引き起こされ、これに対して胸腺外分化T細胞やCD5⁺B細胞が自己応答性を発揮します。

また、リンパ球が関わらず、顆粒球のみが関与する疾患も多く存在します。細菌感染による化膿性炎症と、顆粒球単独で起こる組織障害炎症です。ブドウ球菌やレンサ球菌に対しては、顆粒球が化膿性の炎症をつくって治癒します。この際、リンパ球の誘導はほとんどなく、治癒反応にも貢献していません。ニキビに免疫ができないのは細菌による炎症だからです。

皮膚や腸管などの組織には常在菌が存在し、顆粒球が増加して炎症が起こると化膿性の炎症になりますが、臓器や関節など無菌的な場所で炎症が起こると組織破壊の炎症になります。炎症性サイトカインとして知られるTNF-α、IFN-γ、IL-6が主に関与します。

白血球のすべてを動員して生体防御を理解すると多くの病気を理解できますが、進化レベルの高いT、B細胞だけでは一部の免疫現象しか理解できません。アトピー性皮膚炎、気管支喘息、通年性鼻アレルギー、花粉症なども、ストレス(交感神経刺激による顆粒球反応)から副交感神経反応として引き起こされるため、顆粒球の存在は無視できません。

また、アトピー性皮膚炎や気管支喘息にステロイドを用いて長期化し、ステロイド依存症に陥った場合、顆粒球炎症に転換し難治化しているため、ここでも顆粒球の存在は無視できません。

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