家相学 72 個室レイアウトの考え方

お手伝いさんの部屋 間取り

【家相学】個室レイアウトの考え方 ~ 寮・シェアハウスに活かす家相の知恵

はじめに — これは「住まいと心理」の話であります

これからお話しするのは、もともと住み込みのお手伝いさんの部屋をどう造るか、という戦後の住宅設計の考え方であります。

しかし読み進めていただければお分かりのとおり、その中身は「同じ屋根の下で、立場の違う人がどう心地よく暮らすか」という、きわめて普遍的な問題を扱っております。ですから今日では、寮や社宅、シェアハウス、二世帯住宅の子世帯、あるいは兄弟で分け合う子ども部屋にまで、そのまま応用の利く知恵であります。

陽当りよりも「独立性」を優先する

お手伝いさんは昼間働いておりますので、そもそも自室にいる時間そのものが短いのであります。したがって、日中の陽当りの良し悪しを第一に置くよりも、仕事の束縛から解放されて、心からくつろげる自由天地としての個人部屋を用意することのほうが、はるかに大切であります。

※「自由天地」とは、誰にも気兼ねすることなく、自分の裁量だけで過ごせる領域のことであります。

今日への応用
日中家にいない人の部屋は、南面の一等地を割り当てる必要がありません。共働き世帯の寝室、単身者向けの寮の個室などは、日当たりより静けさと独立性を優先したほうが満足度が上がります。南面は、家にいる時間の長い人に譲るのが理にかなっております。

どんなに小さくても、独立した一室を与える

人間の心理として、他人と雑居することを嫌うのは自然なことであります。ですから、たとえ小さい部屋であっても、独立した部屋を与えてあげることが大切であります。広さよりも「きちんと区切られていること」のほうが、精神の安定には効くのであります。

個人に広すぎる部屋を与えない理由

とはいえ、個人に大部屋を与えても良くはありません。私心に広い場を与えますと虚性心理が働き、気がおごって贅沢になります。また、気持ちが大きくなって、集団の中での自分の役割を見失い、秩序が保てなくなってしまうからであります。

※「虚性心理」とは、実力や立場に見合わない大きな場を与えられたときに、中身の伴わない自尊心だけがふくらんでしまう心の働きであります。器に対して中身が追いつかない状態、とお考えください。

今日への応用
これは子ども部屋を考えるときに、そのまま効いてまいります。広すぎる子ども部屋は、居心地が良すぎて部屋から出てこなくなり、家族との接点が減ってしまう。個室は「寝て、集中して、こもりすぎない」広さが適当であります。

大部屋に大勢で住まわせるのも避ける

反対に、大部屋に大勢で住むことも避けるべきであります。理由は二つあります。

一つは、責任観念が薄くなること。 誰かが整理してくれるだろうという放任主義になりがちで、次第にだらしなくなってまいります。

もう一つは、群集心理が働くこと。 仲間内だけで固まったり、お互いに他人の領域を侵し合ったりするのであります。

共同の雑居式の部屋はよく用いられる手でありますが、あまり褒められたものではありません。今日でも、大きなワンルームに二段ベッドを並べるだけの寮や、間仕切りのないシェアスペースで同じ問題が起こっております。

寮式のところは「ベッドハウス」方式で仕切る

大勢が住む寮式の造りでは、次のようにするのが効果的であります。

こうして、誰にも領域を侵されない自由天国を造って住まわせるのであります。

※「ベッドハウス」とは、ベッド一台分をカーテンで囲って、一人分の小さな部屋のように仕立てたものであります。今日のホステルやカプセルホテル、キャビン式の寝台がまさにこの形であります。

この方法の三つの利点

「個の空間」には「共の空間」を対で用意する

ただし、個々のスペースはカーテンで仕切るだけでは狭いので、全体共有の娯楽室を造る必要があります。

そうしますと、寝たい人は自分のベッドに行き、まだ起きていたい人は娯楽室で過ごす、という住み分けが自然に成り立ちます。狭い個の空間と、広い共の空間。この二つを対にして初めて、ベッドハウス方式は生きてくるのであります。

今日への応用
シェアハウスで個室を狭くする場合、必ず居心地の良い共有ラウンジを併設する。二世帯住宅で子世帯の居室をコンパクトにするなら、みんなが集まれる広い共有リビングを持つ。個を絞ったぶんは、必ず共に返すのであります。

組み合わせと室内配色まで考える

もちろんこの他に、個人個人の性格によって同居する人を考えたり、それによって室内配色を計ったりして、住まう人たちの精神安定をさせることも考えなければいけません。

気の合わない者同士を同室にすれば、どれほど造りを工夫しても落ち着きません。配色もまた然りで、気の立ちやすい人には鎮める色を、沈みがちな人には明るい色を、というように配慮するのであります。

まとめ

住まいと心理の関係から見た、個室レイアウトの要点は次の三つに尽きます。

住む人の心理を読んで場を整えること。これこそが家相の考え方の根本であり、七十年前の住み込み部屋にも、今日のシェアハウスにも等しく通じる原則であります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

ABOUT US
日吉 直之ひごころ治療院 院長/鍼灸学士・はり師・きゅう師(国家資格)
日本初の鍼灸大学である明治鍼灸大学(現・明治国際医療大学)鍼灸学部卒業、鍼灸学士。はり師・きゅう師(国家資格)、介護予防運動指導員。 2001年より鍼灸臨床に携わり、2009年に武蔵小杉・新丸子でひごころ治療院を開院。 「納得なき施術はしない」を信条に、身体の声を翻訳し、必要最小限の刺激で回復の余白をつくる施術を行っています。 新丸子駅 徒歩4分/武蔵小杉駅 徒歩10分・当日予約はお電話で。 所属学会・研究会:日本東洋医学会/公益社団法人全日本鍼灸学会/日本伝統鍼灸学会 明治国際医療大学同窓会「たには会 関東支部」役員