瘀血吸圧法

瘀血吸圧法

瘀血吸圧法おけつきゅうあつほうとは?ー滞った血流「瘀血」を改善する日本の伝統療法

「なんだか身体が重だるい…」「長年のコリが取れない…」「肌の色つやが悪い気がする…」 もしかしたら、それは東洋医学でいう「瘀血おけつ」、つまり血液の流れが悪くなり、古くなった血液が体内に滞ってしまっている状態が原因かもしれません。 瘀血吸圧法おけつきゅうあつほうは、この「瘀血」を取り除くことを目的とした伝統的な治療法の一つで、血流の改善や様々な不調の緩和を目指します。

ここでは、瘀血吸圧法の効果、特徴、歴史、そして施術を受ける際の注意点について詳しく解説します。

1.瘀血吸圧法とは?~「瘀血」を取り除く伝統療法~

瘀血吸圧法おけつきゅうあつほうは、東洋医学の重要な概念である「瘀血おけつ」を取り除くことを主な目的とした治療法です。

「瘀血」とは、血液の流れが滞り、体内に古くなった血液や老廃物が溜まってしまう状態を指します。この瘀血は、肩こり、腰痛、頭痛、冷え性、婦人科系の不調、肌トラブルなど、様々な身体の不調の原因となると考えられています。 瘀血吸圧法は、特殊な器具を用いて皮膚を吸引し、局所の血流を強力に促すことで、この滞った瘀血を体表近くに引き上げ、体外への排出を間接的にサポートし、全身の血流改善や関連する症状の緩和を目指します。

2.瘀血吸圧法の特徴

瘀血吸圧法には、主に以下のような特徴があります。

  • 皮膚への強力な吸引
    特殊な陶器製の器具(吸圧盤などと呼ばれることもあります)を用いて皮膚を吸引します。これにより、皮下の毛細血管を拡張させ、滞っていた瘀血を皮膚表面近くに浮き上がらせることを目指します。
    ※吸玉療法(カッピング)と原理は似ていますが、使用する器具や吸引の強さ、目的に違いがある場合があります。
  • 痛みや凝りの緩和
    瘀血が原因となっていると考えられる頑固な痛みや筋肉の深い凝りに対して、直接的にアプローチし、その緩和効果が期待されます。

3.瘀血吸圧法の効果とメリット

期待できる主な効果

  • 痛みやコリの根本的な改善
    長年の肩こり、腰痛、五十肩、筋肉痛など、血行不良や瘀血が関与する痛みの軽減が期待されます。
  • 冷え性の改善
    末梢血管の血行が促進されることで、手足の冷えなど、冷え性の改善が期待できます。
  • 疲労回復・デトックス効果
    新陳代謝が活発になり、体内に溜まった老廃物の排出が促されることで、慢性的な疲労感の回復やデトックス効果が期待されます。
  • 内臓機能の調整サポート
    関連する経絡やツボを刺激することで、間接的に内臓機能の調整をサポートする効果も期待できます。

メリットについて

  • 副作用が比較的少ないとされる
    薬物を使用しない物理療法であるため、一般的に副作用は少ないとされています。ただし、施術部位に一時的な赤みや紫色の丸い痕(溢血斑いっけつはん)が出ることがあります。これは瘀血の程度によって色の濃さや消えるまでの期間(通常数日~2週間程度)が異なりますが、身体の正常な反応の一つです。
  • 深いリラックス効果
    施術中や施術後に、身体が軽くなったり、深いリラックス効果を感じたりする場合があります。

4.瘀血吸圧法を受ける際の注意点

瘀血吸圧法を安全かつ効果的に受けていただくために、以下の点にご留意ください。

  • 体質や症状の事前確認
    個々の体質や症状によっては、施術が適さない場合もあります。施術前に必ず専門家(鍼灸師など)に詳しく相談し、適切な判断を仰ぎましょう。
  • 施術を避けるべき方・特に注意が必要な方
    • 妊娠中の方
    • 心臓疾患、重度の高血圧、血液疾患(出血傾向のある方、抗凝固薬を服用中の方など)をお持ちの方
    • 皮膚が極端に弱い方、皮膚に炎症や感染症、傷がある部位
    • 発熱時や体調が著しく悪い時
    • 飲酒後や極度の空腹時・満腹時
  • 上記に該当する方は、施術を控えるか、必ず事前に医師および施術を担当する専門家にご相談ください。
  • 施術後のケア
    施術後は、十分な水分を補給し、激しい運動や長時間の入浴は避け、身体をゆっくり休ませることが大切です。施術痕が気になる場合は、露出を避けるなどの工夫をしましょう。

5.瘀血吸圧法の歴史と現代における位置づけ

その起源と発展

瘀血吸圧法は、日本で生まれた比較的新しい治療法とされており、その起源は20世紀初頭に遡ります。

  • 昭和初期の創始
    青森県弘前市出身の小山内良夫(おさないよしお)氏が、昭和十年(1935年)頃に、独自の理論と経験に基づいて「瘀血吸圧瀉血療法」として創始したとされています。
  • 専門学院の設立と普及
    小山内氏は瘀血吸圧法専門学院を設立し、多くの後進を育成することで、その普及に努めました。
  • 当時の法的位置づけ
    当時は法整備が現在と異なり、「医療類似行為」の一つとして扱われ、その取り扱いは各都道府県によって異なる規制を受けていました。厚生省(現在の厚生労働省)は、この療法を温熱療法の一種として認識していた時期もあったようです。

現代での活用と今後の展望

現在、瘀血吸圧法は、一部の鍼灸院や治療院において、鍼灸治療や吸玉(カッピング)療法などと並ぶ一つの手技として、あるいはそれらと組み合わせて行われています。 特に、頑固な肩こりや腰痛、原因不明の慢性痛、不妊症、体質改善などを目的として活用され、一定の効果を上げているとされています。

しかし、その詳細な作用機序や効果の範囲については、現代医学的な観点からの科学的エビデンスがまだ十分とは言えず、現在も研究段階にある側面も持ち合わせています。 ひごころ治療院では、この伝統的な療法の可能性と限界を理解した上で、患者様の利益を最優先に考え、適切な場合にのみご提案・施術を行っております。

6.ひごころ治療院の瘀血吸圧法について

ひごころ治療院では、東洋医学の「瘀血」という概念を重視し、患者様のお悩みや体質に応じて、瘀血吸圧法を治療の選択肢の一つとしてご提案することがあります。

  • 当院の考え方
    私たちは、瘀血吸圧法を、鍼灸治療や吸玉療法などを補完し、特に深部に滞った瘀血の改善や、頑固な症状の緩和に役立つ可能性がある手技と捉えています。 施術の組み合わせ: 多くの場合、鍼灸治療で全身の気血の流れを整えた上で、特に瘀血が疑われる部位に瘀血吸圧法を部分的に行うことで、相乗効果を目指します。
  • 対象となるお悩み(例)
    • 長年改善しない肩こりや腰痛
    • 原因不明の慢性的な痛みや重だるさ
    • 強い冷え性や血行不良
    • 婦人科系の不調(瘀血が関与する場合)
  • 丁寧な説明と同意
    施術前には、瘀血吸圧法の目的、期待できる効果、施術後の反応(施術痕など)について詳しくご説明し、ご納得いただいた上で施術を行います。ご不安な点があれば、遠慮なくご質問ください。

7.料金について

瘀血吸圧療法の料金については、以下のページでご確認いただけます。
鍼灸治療など他の施術との組み合わせも可能ですので、お気軽にご相談ください。

料金一覧は⇒こちら